命売ります (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 6056
感想 : 639
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033727

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ三島作品。
    活字がゴキブリのようになってしまい自殺を試みたコピーライターの羽仁男。結局死に切れず、それ以来命を売ると新聞広告に出したところ、るり子と老人と三国人の事件、女司書と外人の事件、女吸血鬼の事件、玲子の事件に巻き込まれる。前半は死を引き受けた人間の強さ、全能感があるが、後半は追われるようになり、命を惜しむ羽仁男。

  • 読みやすくて、直ぐ読み終わりました。
    古い本と思っていましたが、時代を感じさせない内容でした。
    面白かったです。

  • 三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実を見て、三島由紀夫にとても興味を持ち読み始めた。
    話はぶっ飛んだ設定なのだが、やはり文才があるのかとても読みやすいし情景が浮かぶ。
    自分が操っていたつもりが、結局泳がされて翻弄されていたことに気づく。また、死んでも構わないと斜に構えていても一連の事件を経て生に執着していく。人間の性やエゴなどが剥き出しに描かれていれのだけど、本当に精錬された文章により美しさすら感じてしまった。

  • 実は三島は初めて読んだ。
    特に飯能に流れ着いてからの羽仁男の心の描写がとても美しい。死にたくないと執着する気持ちを表現する言葉羅列が美しく感じた。

    私の星評価基準は
    物語のテンポがよく、臨場感があり、登場人物および風景が容易に想像でき、かつ1cm以下の厚みの文庫本
    です。
    星1つ20点の100点満点で満足度を表しています。

  • 今まで持っていた、三島由紀夫に対するイメージとは全く違う印象の作品だった。

    文章がとても読みやすい。読む前はこんなにスラスラ読めるとは思わなくて、どんどん読み進めてしまった。
    語句や表現が現代とは異なる部分はあるけれど。

    私が惹かれたのは、3人目の依頼人の母親のセリフ。
    「焼け死ぬだけよ。バカね」
    何でか分からないけど…「バカね」に優しさの様な、何とも言えない気持ちを感じた。

    自殺に失敗したから、命を売り出したのに、最後は生きるために必死に走る。
    ACSという謎の組織に追われ続けるかも知れない…死にたいと願っていたのに、死にたくなくなってしまった。そりゃあ泣きたくなって喉の奥もひくひくするよね。
    羽仁男はこのあとどこへ行くのか。そしてどうなるのか。
    何だかんだで、生きるような気もするけど。

    読みやすさと序盤の雰囲気から、ついコメディの様な話を想像していたが、思ったよりも重いテーマだった。

  • 目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない―

  • 主人公がふと世の中の仕組みについて理解した瞬間、死に取り憑かれてしまうところから物語が始まる。出だしから物語が進行し、読んでる側はすぐさま引き込まれ次へ次へとページをめくってしまう。主人公は命を売るためにライフ・フォア・セイル社を立ち上げ、仕事中は「只今売切れ中」という看板を出すところが私的にツボだ。主人公は危険な目にあうが生き残る。死へ誘惑するのはいつも女性。ファムファタル的だ。
    三島作品の中でも、大衆文学として読みやすい内容だが、構成や内容は考えさせられる。さすが三島か。

  • 自殺に失敗した男が、新聞の三面広告に「命売ります」と広告を出すという話。ユーモアたっぷりで三島由紀夫らしくない作品に思う。

    前半は軽妙に話が進む。死んで良いと思いつつも何故か助かり、大金を得る。最後は組織に追われて、死が目前に迫るが、そこに至って必死に逃げようとするが・・。

    どこか自分の命を大切にしない人のことをふと思い出した。

  • 数人の女性と情を交わし、死にたいと思っていた頃には相手に置き去りにされ、一緒に死んでくれという女からは逃げ回る。
    初めのテンションの高さといいこの人は躁鬱状態だったんじゃないかなぁと思った。
    最後がなんとも人間らしくていいなと思った。

  • 面白かった。
    でも、最後が失速した感じがした。

    でも、
    この余韻が好きと感じる時もあるかも。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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