終わりなき日常を生きろ―オウム完全克服マニュアル (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033765

作品紹介・あらすじ

「さまよえる良心」と「終わりなき日常」をキーワードに、今最も活発な発言を続ける著者が、オウムと現代社会を分析する。社会が成熟し、幻想が共有されなくなった時代、人はそれぞれの物語を生きるようになっている。その後の事件、状況分析を加えたあとがきを新たに付す。

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  • 「終わりなき日常を生きろ」宮台真司著、ちくま文庫、1998.03.24
    206p ¥609 C0136 (2019.06.14読了)(2019.06.06購入)(1998.10.05/2刷)

    【目次】
    はじめに
    第一章 「オタク論・連赤論・二重組織論・邪宗論」はデタラメ
    第二章 「さまよえる良心」がアブナイ
    第三章 「終わらない日常」はキツイ
    第四章 コミュニケーション・スキルという知恵
    あとがき
    文庫版あとがき

    (「BOOK」データベースより)amazon
    「さまよえる良心」と「終わりなき日常」をキーワードに、今最も活発な発言を続ける著者が、オウムと現代社会を分析する。社会が成熟し、幻想が共有されなくなった時代、人はそれぞれの物語を生きるようになっている。その後の事件、状況分析を加えたあとがきを新たに付す。

  • 私にとっての90年代は0歳から7歳までの間だけで、しかし私は年賀状に「21世紀」と手書きで何度も書いた記憶があるので、90年代のことはうっすらと覚えている。不景気・そして社会不安・凶悪犯罪により、幼い娘を持つ両親は私に「知らない人は何をするか分からないから絶対に信用しては駄目だ」と教え込んだ。私はこの社会はディストピアであり、見知らぬ他人は容易に殺人犯に変容し、そして日本は永遠と不景気なんだと幼心にインプットしたおかげで、90年代は非常に灰色の記憶になっている。(あとから記憶を上塗りしているかもしれないけれども)
    という、その私の90年代と地続きになっているはずの、オウム事件から日をおかずに出版された本らしく、内容は今読むとかなり雑多で幅広い。途中にコラム・写真なども入り込んでいて、本全体としては論として時間をかけて練られたものという印象はなく、気鋭の若手社会学者が事件に応答をすべく動いた即応性を感じさせ、また宮台真司という人物の幅を見せる面白みにもなっている。「過渡的な近代」から「成熟した近代」への移行プロセスで共同体が空洞化し、承認が得にくくなった社会で、承認から見放された人間たちがどこに承認を求めていったのかというフローを、オウム事件だけではなく、その後の事件も含めて分析したあとがきが、とてもクリアで良い。「終わりなき日常」は、21世紀に突入して早19年もたってしまった現在でも非常に示唆的なワードな気がしてぞっとする。おそらく「成熟した近代」への移行に失敗したままである日本社会の「承認の供給不足」という事態は変わっていないはずで、社会の外はますます肥大しており、コミットすべき現実との乖離は拡大しているように見える。私の友人などは「会社にいるときの自分は自分ではないようだ」とまで言い出す始末だけれども、オタク的な消費行動に熱をあげることは「まったり生きる」ということに繋がるのだろうか?などという疑問はおそらく『制服少女たちの選択』などを読めば少しスッキリするのでしょう。

  • 【目次】
    目次 [003-006]

    はじめに 009
     「やっぱ地下鉄こわいよね!」「だよね!」
     「終わらない日常」と「さまよえる良心」

    第一章 「オタク論・連赤論・二重組織論・邪宗論」はデタラメ 017
     「オタク文化の悪しき影響」ではない
     「連合赤軍事件と同じ」ではない
     「オウムは二重組織」論のくだらなさ
     醜態をさらした宗教学者たち
     日本の知識人の宗教バージンぶり
    [宇宙の闇・白い光①]オウム・ここだけの私的年表
    [宇宙の闇・白い光②]故・村井、青山、林に贈る悲しきディストピアへの招待状

    第二章 「さまよえる良心」がアブナイ 043
     「末端の信者はいい人」ではない
     元教団幹部Aの人となり
     釈迦牟尼の挿話のウソ
     神秘体験というフック
    [宇宙の闇・白い光③]ブラックホール化をくい止める「人類補完計画」とは?
     私もサリンをバラ撒かせてみせよう
     「大いなる救済のため」という呪縛
     倫理なき社会で道徳が失われるとき
     良心――(倫理+道徳)=?
     「共同性と良心の空白」が神政国家をもたらす
    [宇宙の闇・白い光④]マンジュシュリー・ミトラ村井との架空インタヴュー
    [宇宙の闇・白い光⑤]元自衛官の語る「宗教より仁義が好き」の世界
    [宇宙の闇・白い光⑥]井上がサリン実行部隊に選ばれた理由の、ほんの小さな日蔭の芽

    第三章 「終わらない日常」はキツイ 087
     八〇年代の二つの終末観
     サリンばらまき犯は「顔が見える」
     「核戦争後の共同性」と震災ボランティア
     「輝かしさに裏切られた」世代
     イラだつ理科系のバージンたち
     「六〇年代SF」の思想
     「変革のとき」はやってこない
     「終わらない日常」を生きる知恵こそ必要だ
    [宇宙の闇・白い光⑦]双子の女子高生、ユミとユカがぜったいに洗脳されないわけ
    [宇宙の闇・白い光⑧]サナギの中の少女

    第四章 コミュニケーション・スキルという知恵 127
     「終わらない日常」を生きるためのスキル
     「世代的記憶」と結びついた喪失感
     「同じ轍」を私たち世代もまた踏むのか
     自意識を防衛するための「自己投射」
     世代から性別に変形した対立構図
     自己啓発セミナー渡り鳥の「激白」
     八〇年代以降の宗教ブームの変質
     コミュニケーション・スキルの代替は可能か?
     現実的な処方箋はどこにあるのか?
     「薄ぼけた自分」を抱えたまま生きろ!
    [宇宙の闇・白い光⑨]自分を愛し過ぎる自分に窒息して、自我を捨てるパラドックス
    [宇宙の闇・白い光⑩]マルクスもヒッピーもウッドストックも、何もなかった世代の恨み節

    あとがき [185-193]
    文庫版あとがき [195-204]

  • 日経エンタムックでお勧めされていたのを見てから気になっていて、ようやくそれをゲット&読了。何となく、オウムの歴史的な読み物を思い描いていたけど、全然違いました。オウムを通して見る現代社会の病巣というか、あくまで作者の論文でした。当時、社会とは隔絶された環境に生きていたこともあって、マスコミでどんな取り上げられ方をしたとか、擁護派も少なからずいたこととか、当時の雰囲気を味わえた点では良かったですが、読み物としては、やっぱり古臭さが否めず、結構読み飛ばしてしまいました。

  • 本書はオウム完全克服マニュアルとなっている。内容はなぜ1995年当時にオウムという悪夢が発生したか?を問う。以下に詳しい感想が有ります。http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou23001.html

  • オウム真理教の一連の事件にあまり関心を抱かないのは世代だからなのか、同時期に読んだ斎藤美奈子、姫野カオルコ、中村うさぎ、そして宮台に手を伸ばすきっかけだった上野千鶴子が、揃いも揃って「東電OL事件」をネタにしていてそっちに強い関心を持っていかれたからなのか、それとも単純に頭が弱くて意味が全く浸透してこない社会学の専門用語の羅列とオウム関係の写真に付されたわけわからんポエム的なものがうっとうしくてあまり読む気にならなくてポイしちゃったからなのか、いったいどれなのか。

    ③だな。

  • 『14歳~』を借りた時に隣にあって面白そう♪と思い背表紙借り。
    よって、家に帰って初めてオウムと知った(^^;
    あとがきに、緊急声明的な本…と書かれてたけど、充分普遍的。とっても興味深く読んだ。
    『透明な存在の不透明な悪意』に先に出会ってる自分としては文庫版あとがきが、特に面白く感じた。

  • ポストモダン的な90年代解釈。終わりなき日常は戦後を通じた日本全体の前提として存在していたが、世代によりその対処方法が異なっていた。高度経済成長、全共闘世代、しらけ世代、新人類、オタク、そしてオウムなどの宗教、ブルセラ。
    日本の大きな物語は東西冷戦構造共に崩壊したのではなく、戦後常にそこに存在し、個人をより小さな物語へと突き動かしつつあった。

  • 著者は、もはやユートピアを思い描くことが不可能になった「終わらない日常」を生きるために自意識を持たない道を選んだ女子高生たちの実態を解明した社会学者です。本書では、「終わらない日常」の閉塞感から逃れるためにオウム真理教にのめり込んでいった信者たちの軌跡をたどることが試みられています。

    速水由紀子のコラムや、オウム真理教の村井邦夫と著者の架空の対談などもあって、興味深く読むことができました。ただ、著者が長く考察をおこなってきた女子高生の「終わらない日常」を生きる戦略とオウム信者たちの姿を対比させるという構成に、最初から結論が決まっているのではないかという印象もあります。

  • 表現が理解できてない部分が多々あったものの、なかなか楽しく読めた
    でもオウムを肯定することはできないし、自分がオウム側の立場に立つ可能性、これに限っては絶対にないと断言できる

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著者プロフィール

社会学者。首都大学東京教授。著書に『日本の難点』(幻冬舎)、『どうすれば愛しあえるの 幸せな性愛のヒント』(二村ヒトシ共著/KKベストセラーズ)ほか多数。

「2017年 『子育て指南書 ウンコのおじさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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