- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480033963
作品紹介・あらすじ
半ズボンに坊主頭、リュックを背負って九州、山陰、東北とぶらりぶらりの珍道中。「わしも山下清に毛のはえたような男です」という言葉を耳にした清は、「ぼくのどこに毛がはえるとあなたになるのですか」-。笑いを誘い、かつ考えさせられる文章とスケッチで綴る放浪記。
感想・レビュー・書評
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スティル・ライフに続いて、こちらも、長崎のひとやすみ書店さんにオススメしてもらった本
昭和31年頃?、文藝春秋に連載されたものを纏められた本だそう。
山下清さんの、素直な語り口が的を得ていて、例えば、新聞には嘘と本当はどのくらいかわからない…や、連発するなぜ?の視点、お金の価値観、ぼくはそうは思わないけど言葉にするのは恥ずかしい、など。
自分をしっかり持っているようで、そうでもないようで、誰も傷つけない魅力がありますね。
山寺のすべり台のお話は声に出して笑いました。
最後まで楽しく読了。
山下清さんの作品は、20年ぐらい前に原画展に観に行ったことがあります。
有名な花火の貼絵は、細かくて、すばらしく、美しく、圧巻で、涙した思い出。
そんな記憶が甦ってきたのでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヨーロッパ編に続き、おもしろい。
山下清の作品をなんとかして見てみたいものだと思い、まずはネットで画像検索してみたものの、意外にあまり出てこないんですね。展覧会は今でも全国をまわっているよう(ちなみに今は北海道立釧路芸術館)だから、何かの折に必ず行ってみようと思います。
私も貼り絵やってみたいな・・・放浪でもいいな・・・ -
とにかく楽しい!
そのように生きたいが私には無理だ。
捨てられないものがたくさんある。
もっと山下清を知りたくなった。 -
昭和世代にはドラマでおなじみ裸の大将こと、山下清のエッセイ。
何かとルールや世間体を気にしながら生きる現代に、山下清の世の中を素直に真っすぐ見る視線に心が洗われる思いのする本でした。
いくつか例を書きます。
・女の人に目方(体重)を聞く
僕は美人も美人でないのもよくわからない。だから目方を聞く。正直に答えてくれる人とそうでない人がいる。目方が多ければ自慢してもよさそうなのに、どうして隠すか分からない。
・子供はパンツをはかなくても良い
桜島にて暑い日、子供たちがパンツをはかないで歩く。あれは子供だからだよ。いくつまでは裸でいてもいいんだろうか。
・世の中の本当と嘘
僕は新聞はめったにみないが、ときどきよむとみんな本当の事ではない気がするので、嘘と本当はどのくらいの割合に世の中にあるものだか、わからなくなる。おおぜいが本当と言えば嘘でも本当になるかもわからない。
・毛が生えるとは
清に毛がはえたような男です。ぼくはびっくりして、ぼくのどこに毛が生えるのですかと聞いたら、どっと笑った。似ているということに色を付けたのだと。色とは何ですか、と聞いたら、言い回しを変えたと言われた。ぼくは三十四で毛はみんなはえているのに。
・自分より弱い女中さんを選んで腕相撲
女中と腕相撲。男とはやらない。僕は負け惜しみがつよいのですか?劣等感が強いんだよ。劣等感と負け惜しみの違いはなんだろう。
・中国から文字を学んだが、どうして話言葉はこんなに違うのか。
日本の字はむかしシナから習ったそうだが、今はどうしてこんなにちがってしまったのだろうか。シナの伯父さんとおばさんが話していることはちっともわからない -
彼の作品が好きで。途中彼のスケッチがいくつも挿まっているのが嬉しい。素直な視点にはっとさせられる。
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すごくピュアな人が書いた、自然なありのままの表現がされた文章。
現代は、コンプライアンスが厳しくて、線路を歩くのはアウトだとか、この言葉は、差別用語だから使ってはいけないとか、制約が多すぎる。 -
めちゃくちゃ面白かった!
共感すること多数。そして、有名になってからもこんなふうに放浪ができた時代ってすごい。マジックで描かれた挿絵もどれも素敵。
才能と生命力のある人が放浪するとこんなすごいものを生み出せるんだなぁ。私も放浪したいけどなにもかもが中途半端な根性無しの凡人には無理だ…。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764791 -
素朴な語り口で捉えられる世界は、不思議と不安に満ちている。よく分からないから尋ねられたら笑われて、曖昧な答えを返されて、やっぱりよく分からないから、分からなくても黙っている。彼にとって、絵を描くとはどういう意味があったのだろう。生きがい?生きる術?生きるすべて?