Yasuji東京 (ちくま文庫 す 2-11)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 290
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480035578

作品紹介・あらすじ

井上安治、風景画家。元治元年、浅草生れ。十四歳の時、小林清親に入門。明治二十二年没。二十五歳。安治は東京に何を見たのだろうか。明治の東京と昭和の東京を自在に往き来しつつ、夭折の画家井上安治の見た風景を追い、清親との不思議な師弟関係を描く静謐な世界。他に単行本未収録作品を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 杉浦日向子の漫画を読んで、彼女はもっとも尊敬する女性のひとりになった。若くして逝かれたのが本当に残念。
    本作もすごくいい。何よりコマとコマの「間」。

  • 鏡斎まいるは予想外に面白い作品。

  • 2018/12/26 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1190.html
     
    2018/08/12 予約 9/26 借りて読み始める。 9/27 読み終わる。

    先日 なんかの展覧会で 「風景画家 井上やすじ」の絵を見ました。
    合わせてTV番組でも やすじの絵を見て興味が出たところで、友人がこの本をすすめてくれました。

    大好きな 杉浦日向子の 漫画です!
    アンニュイな感じで 摩訶不思議な世界に引き込まれます。

    この本では、チラ見?できる 井上安治の絵を ちゃんと見たいと思って調べました。

    ・ 明治東京名所絵 色刷り 井上安治/画 角川書店 (1981.11)
    ・ 色刷明治東京名所絵 井上安治 角川書店 (1981.00)

    ・ 『井上安治描く明治の上野・浅草 わが町の記録』 〜 台東区立台東図書館/編 台東区教育委員会 (1992.11)
     これは、図書館では 貸出不可になっています。(深川図書館で閲覧できるのかな?)

    安治の師匠 小林清親 の本も探しました。

    本書後半は、杉浦 日向子の 単行本未収録作品が併録されていますが、これがまた面白い。
    この世とあの世の間を垣間見る不思議な感覚が、これぞ杉浦日向子ワールド。

  • 夭折の画家・井上安治テーマに、明治の東京と昭和の東京とが交錯する。
    筋と言えるものもなく、淡々と安治の絵と現代とが相互に描かれるのだが、その淡々ぶりがまたよい。
    こういうテーマの選択も、杉浦日向子のすごいところ。

  • 日曜美術館で紹介されていたので興味を持って購入。
    タイトルの井上安治テーマの作品より他の陰陽道的な作品の方が面白かった。

  • 短命の浮世絵師・井上安治を主題としながら、現代の女子大生が彼氏であろう同級生と掛け合いをしてYASUJIの絵を紹介していく。師匠(と勝手に私が呼ばっている日向子さん)が井上安治に興味を抱いていることは他のエッセイ等から知れており、本書購入の動機にもなった。単行本未収録集も良かった。まんが日本昔ばなしのようだった。

  • 初・杉浦日向子。
    興味はあったもののなんとなく手を出さずにきましたが、別の本で紹介されていたのをきっかけに読んでみました。
    井上安治という明治の浮世絵師の話。最近、江戸の浮世絵に興味があったもので、そっちを入り口に。
    杉浦日向子といえば江戸時代?というイメージですが、この作品は昭和と明治の東京が舞台。詩的っぽすぎて私にはわからない部分も多かったが、東京が郷土である者の、ちょっと遠慮がちな地元愛みたいな、そんな感じが良かったなあ。

    安治の話の他に短編もいくつか収録されていて、そちらも楽しめました。これからは杉浦日向子本ももう少し真剣に、買うかもしれないつもりでパラパラ立ち読みしてみよう。

  • YASUJI東京は本当に傑作だと思います。杉浦日向子ファンの方には絶対におススメです。
    かつて江戸の街を描き続けた絵師『井上安治』について、少女とその彼氏が思いめぐらせるお話です。
    現代の東京で彼女たちは暮らし、過去を生きた絵師の作品を通して、東京という生き物を感じます。
    おそらく少女は杉浦日向子自身なのだろうと思います。その少女は安治に恋をしているようにも思います。彼氏が茶化すと、怒ってみせ、頬杖をついて安治について考えこむ様子は、とても可愛らしく、切なくも思えました。

  • 主人公が、アスファルトの下に眠る東京の原野を想うシーンに共感。東京で生まれ育った自分が感じていた違和感とか、嫌悪とか、そういったものが「そうだったのか」と氷解していくような感覚だった。

  • 主人公の女の子が東京のビル群を見てお墓と似ているというのが何とも不気味。戦争、地震、荒野になった東京は何度も復興して新しい街を作ってきた。杉浦さんが描いた当時よりさらに高層ビルが乱立する街をみて、また荒野になるのだろうかと恐れてしまう。安治の描いた東京が何か予知的なものを感じさせている様な気がするのは気のせいか。

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著者プロフィール

杉浦 日向子(すぎうら・ひなこ):1958年、東京生まれ。1980年、「通言室之梅」(「ガロ」)で漫画家としてデビュー。1984年、『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞受賞。1988年、『風流江戸雀』で文藝春秋漫画賞受賞。1993年に漫画家を引退し、江戸風俗研究家、文筆家として活動した。NHK「コメディーお江戸でござる」では解説を担当。主な漫画作品に『百日紅』(上・下)『ゑひもせす』『二つ枕』『YASUJI東京』『百物語』、エッセイ集に『江戸へようこそ』『大江戸観光』『うつくしく、やさしく、おろかなり』『一日江戸人』『杉浦日向子の食・道・楽』『吞々草子』等がある。2005年、没。

「2023年 『風流江戸雀/呑々まんが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

杉浦日向子の作品

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