文房具56話 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.53
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本棚登録 : 438
感想 : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480036063

作品紹介・あらすじ

文房具、身近な小道具でありながら、これほど使う者の心をときめかせる物はない。消しゴムで作ったゴム印、指先で糊をのばす風景、鳩目パンチ、吸取紙など、懐かしいものがたくさん登場する。手に馴染み、気持ちに寄り添う文房具。ちょっとした使いこなしがその価値を決める。どうすればこの小さな道具が創造力の源泉になりうるのか。文房具の想い出や新たな発見、工夫や悦びを語る随想集。

感想・レビュー・書評

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  • 著者が普段使っている文房具について、子どもの頃から使っているものだとか、どこで買ったものだとか、誰それからもらったものだとか、その文房具の使い勝手などについてあれこれ書いている。その文房具の歴史などにも触れているが、さほど詳しいものではない。要するに、際立って驚くようなことでもない地味な話なのだが、文房具への愛着がにじみ出ていて、なんだかひそやかに読書を愉しませてもらった。取り上げられた物の中には、今では余り使われなくなった、萬年筆や小刀、吸取紙、文鎮、便箋、カーボン紙、鳩目パンチ、ペーパーナイフ、状差のようなものもある。結構ノスタルジックだ。書かれたのは1970~1973年。たくさんある挿絵が16世紀のデューラー風の版画で素晴らしい。

  • 古書店にて、クラフト・エヴィング商會の装丁に惹かれて購入しました。
    タイトルの通り、身のまわりの文房具を1つ1つ取り上げたエッセイを56篇集めた1冊です。

    戦前から戦後にかけて生きた著者だからでしょうか、文房具1つ1つへの愛着やこだわりがしっとりと伝わってきます。
    土のにおいのする薄暗い日本家屋に差しこむ光。
    その中に静かに並ぶ文房具たちは、長年大切に使われてきたことがよくわかる、持ち主の手の馴染んだものばかり…。
    そんな雰囲気が漂う随筆は、ノスタルジックな気持ちを呼び起こします。

    使い捨てをよしとしない著者の目には、カッターナイフですら使い捨てのものとして映ったようです。
    すっかり現代の使い捨て文化に馴染んでしまった私は、本書を読みながら恥ずかしい気持ちになっていたのでした。
    使いこまれた道具を持つ人はかっこいいと思います。
    私も年を重ねていく中で「愛用の○○」と言えるものを増やしていけたらいいな~。

  • 文房具の想い出や新たな発見、工夫や悦びが語られた随筆集。
    カバーデザインがクラフト・エヴィング商會だったのと、なんとなく「文房具」というキーワードに惹かれて購入。

    戦争時代、モノが豊富に溢れている現代、両方を生きた方で文房具というか、モノに対する想い、考え方が目から鱗で、自分を、自分の周りに溢れるものの扱い方について省みる一冊となりました。

    素朴で慎ましい、落ち着く文章でした。そして、とにかく文房具愛、ものを大事に扱いたいという想いを感じます。「消しゴム」を不憫に思う人に私は初めて出会いましたが、確かに不憫だ…時にユーモアが混じり、現代社会への警鐘をも含ませるエッセイ。じっくり読みました。

    なじみのある文房具からはじめて聞くような文房具まであり、とても興味深く読みました。
    便利さのために進化する、または新しく生まれる文房具。便利さの代償はどんなものにもやはりあるのだなぁと感じさせられました。(読んでいるうちに確かに「セロハンテープ」は便利だけれど、少し思いやりのかけるものに思えてきました。)

    どれも魅力的なエッセイでしたが、中でも「地球儀」と「文化を守る力」、いろんな人に読んでほしいなと思いました。

    • 円軌道の外さん
      yamatamiさん、ご無沙汰してすいません!
      お元気でいらっしゃいますか?

      ホンマ久しぶりにこちらの本棚見させてもらって、
      懐か...
      yamatamiさん、ご無沙汰してすいません!
      お元気でいらっしゃいますか?

      ホンマ久しぶりにこちらの本棚見させてもらって、
      懐かしさとyamatamiさんのふくふくとして柔らかなレビューの数々に
      ゲリラ的にいいねポチ押しまくってしまいました!
      (驚かせてすいません!)


      実は、プロボクサーを引退して教える側に回ったのと、
      新しい仕事が非常に多忙だったのと、
      あとなぜか突然にしてレビューが書けなくなったことの三重苦で(笑)、
      気づけばな、な、な、なんと
      約2年もの間、ブクログを休んでおりました(汗)
      (そんなに長い期間休んでいたとは、自分でもビックリでした!)


      そうそう、文房具僕も大好きです!(笑)
      (あとホームセンターの工具マニアです笑)

      大きな百貨店やショッピングセンターの
      文房具売り場なら
      半日ぐらいはウロウロしてます。
      (熊のような大きな体と傷だらけの顔で、ニタニタ笑いながら文房具を試し書きする男がいたら、それが僕です笑)

      最近の文房具は日に日に進化して
      安くてスゴい商品がたくさん出てるので
      学校へ通う子供たちも楽しいでしょうね。

      カラフルな色のバリエーションも
      昔とは比べものにならないほど充実しているし。

      折れにくいシャーペンの芯や
      字の濃さや太さが安定して書けるシャーペンもあるし、
      小さくて可愛いホッチキスや筆箱、
      付箋ひとつとってもファッショナブルでお洒落なデザインだから
      選ぶのもいちいち目移りしちゃいます(笑)

      だからこの本、めっちゃ気になります!
      文房具の進化によって、何が変わって何が失われたのかも知りたいし。
      近所の図書館にあるかな~♪


      とまぁ、そんな感じで(笑)、
      まだまだ完全復帰とはいかないですが、
      まぁ、これからはボチボチやっていきたいと思います。
      こんなアホウですが、またよろしくお願いします!
      2018/01/21
  • 久しぶりのヒット!

    真摯な、謙虚な、文房具好きな、おじいさんによる読み物。

    吃驚仰天。矢鱈。
    おじいさん語は読んでいるときゅんきゅんする。

    そして版画のセンス!竹尾さんの少年!

  • 2019.10月。
    文房具って楽しいよね。こだわり甲斐がある。文書く人ならではだな。

  • 「串田孫一さん、こんなエッセイも書いていらっしゃるんだ!」と感激してすぐに手に取った本。
    串田さんの話す文房具は昭和の文房具が主だが、どれもこれも一緒にその話に参加したいようなワクワクとした気持ちになった。そして自分の忘れかけていた思い出も色々と蘇ってきて読んでいる時間が実に楽しかった。
    旅先の宿に置いてある便箋でとりとめのない手紙を書く楽しみ、鉛筆の削り屑をきれいだと思う気持ち、付き合いが深くなった道具は単なる物ではなくなっていく感覚、どれも共感するものばかり。すぐに取り替えがきくものが好きではなくて、使うものは大切に長く愛用したいと考える串田さんとは気が合いそうだ。
    山のことを書いている串田さんは少し遠い人に思えたけれど、文房具を語る串田さんとは距離がグッと近くなった気がしたのだった。
    安野光雅さんの装幀も章ごとに見られる挿絵もとても素敵である。

  • ただ文房具の思い出を語っているだけかと思いきや、要所要所ですごいことを言うので油断ならない。

    "文化というものは、ある底力を持った根強さはあるが、その上に築かれている部分は意外と脆いものであって、愚かな権力者が現れて、その文化を無駄なものだと無茶なことを言い出すと、簡単に崩れて、抵抗力がない。みんな落ちるところまで落ちると、却って気分がさっぱりしたような錯覚を抱いてしまう。"

  • かつてあった、ゆったりとした時間感覚。
    こんな時間の中で生活したいと思わせてくれる一冊。

    日々消耗している人へ。

  • 20210929読了。
    大学時代くらいから存在は知ってたけど、読んだことのなかった本。往来堂書店さんのD坂文庫で気になって購入。
    本棚やスクラップ・ブックの項目は、なかなか面白かった。

  • 少し懐かしい文房具の話。
    今はなんでもパソコン、スマホ、タブレットですませられるが、文房具への愛は消えない。

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著者プロフィール

一九一五年、東京生まれ。東京帝国大学でフランス哲学を専攻。中学時代から登山を始め、大学在学中から『山と渓谷』などの山岳雑誌に執筆する。上智大学、東京外国語大学などで講義を持つ傍ら、雑誌や新聞への執筆、講演活動など幅広く行い、五五年に『若き日の山』を刊行以降は、山に関する文章を書く機会が増える。主な著書に『山のパンセ』があり、他に、小説、哲学書、画集、詩集など、著作は多岐にわたる。

「2018年 『遥かなる山旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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