猟奇文学館 人肉嗜食 (3) (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2001年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480036131

みんなの感想まとめ

人肉嗜食をテーマにしたアンソロジーは、禁忌や恐怖を巧みに描写し、読者の好奇心を刺激します。作品は、カニバリズムにまつわるさまざまな視点を提供し、習俗、愛情表現、究極の美食といった多様な解釈を探求してい...

感想・レビュー・書評

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  • 解説に、水木しげるが別冊宝島228「死体の本」(1995)で、「そういうふうになりますよ、自然に」と事もなげに語っていた、と。
    これでもう尽きる。すべての短編に勝る。
    ツイッターで「水木しげる 死体の本」と検索してみたら、まあまあヒットした。
    なんでも町山智浩や柳下毅一郎が関わっていたころの「宝島」。
    つまり悪趣味やバッドテイストや、狭義の意味でのサブカルの文脈でもありそう。

    特に好みの作品には★印。



    ■「悪魔の舌」村山塊多 ★
    何度か読んだことのある作品だが、やはり凄い。
    この作家の文章や絵に触れると、息苦しくなる。

    ■「狐憑」中島敦 ★
    ハードボイルド読書探偵局 2022.05.26
    で興味を持って、青空文庫で既読。
    面白い。
    物語ることそのものに手を伸ばそうとする小説。

    ■「香肉」生島治郎
    筒井康隆・編「異形の白昼 恐怖小説集」(ちくま文庫)で、「頭の中の昏い唄」のみ読んだことのある作家。
    やや構図的かな。

    ■「秘密(タプ)」小松左京 ★
    「霧が晴れた時」で既読のはずだが、すっかり忘れていた。
    兄、妻、妹の行いよりも、集まった警官や町の人たちの淡々とした行動のほうが、怖い。
    藤子・F・不二雄「流血鬼」の「真っ白い眼」を思い出した。

    ■「夜叉神堂の男」杉本苑子
    初めて読む作家。
    年に一度の衝動。呪いにより。
    割と耽美なところも。

    ■「子をとろ子とろ」高橋克彦
    「ドールズ」といくつか短編を読んだことのある作家。
    わかりやすい(CGっぽい)怪異に遭遇する……そこがどうにも安っぽくて興ざめ。
    いい話へ落ち着くあたりも。

    ■「ことろの首」夢枕獏
    「ひとをからかうのはおもしろい」という一文と、その後のサラリーマンのスケッチは一昔前のオッサンの小説だなぁと思っていたが、強烈なゴア描写を経て、あーなるほどというラストへ。
    巧み。

    ■「肉屋に化けた人鬼」牧逸馬
    フリッツ・ハールマン。まあ「ハンニバル・レクチャー博士」などポッドキャスト番組や、いろいろで知っているシリアルキラー。
    その人自身はまあどうでもいいっちゃいいのだが、個人的には島田荘司が「牧逸馬の世界怪奇実話」(光文社文庫)を編集しているので、気になっている作者。
    おそらく島田荘司にとって、乱歩と並んで、読書原体験だったりするんだろうな。

    ■「血と肉の愛情」筒井康隆 ★
    描写の記号性は、それこそ藤子・F・不二雄の絵柄で思い浮かべるくらい、マンガチック。
    だが、おそらく筒井康隆がフロイトやユングにハマっていたころで、「人間モーセと一神教」の原父殺害の件が参照元にあるのだろうけれど、さらに進んで、テレパスゆえにわかる食われる物の残留感情が美味につながる、という凄い設定は、さすが筒井康隆。

    ■「薫煙肉のなかの鉄」山田正紀
    押井守に導かれて「神狩り」を読んだが、全然ぴんとこなかった。
    ジョージ・ミラー「マッドマックス2」の4年前とのこと。
    確かに押井守の「ケルベロス鋼鉄の猟犬」などのハードボイルド文体に影響を与えてそう。
    あるいは「マッドマックス」経由で、東山彰良「ブラックライダー」や「罪の終わり」を強烈に思い出した。

    ■「姫君を喰う話」宇能鴻一郎 ★
    タイトルがネタバレしているが、姫君を喰った滝口の武士が鬼となり虚無僧となって現代、モツ焼き屋で、私に語る。
    私が開陳する、内臓喰い、ニアリーイコール、アナル攻め、という論もまず強烈な上、
    出会った男が鬼でしたという、どういう頭の構造してたら思いつくんだ、という。
    後半が白眉なのは間違いないが、意外と前半の論も面白くて、アナルのにおいに、〈ほのぼのとして、おおらかで、なつかしい……いわばごくごく、人間的な匂いです〉と。
    ここで稲垣足穂を強烈に連想した。A感覚の郷愁……。

    ということで、アンソロジー猟奇文学館、三冊を団子三兄弟に見立てるならば、串が貫いた部分は宇能鴻一郎で、なかんずく尻の穴で……ということでよろしかったのであろう。

    ◇解説 七北数人

  • カニバリズムをテーマにしたアンソロジー。
    人の肉を食べるという禁忌は、怖いけど指の隙間から覗いてみたい的な怪しげな魅力があって、結構好きなテーマだったりします。
    しかし一冊丸々は結構こたえるものがありました。濃い……。
    実在の人物のことを書いた「肉屋に化けた人鬼」が凄まじかった。
    「秘密(タプ)」は他の本で既読でしたが、理不尽な怖さがじわじわ来る。
    他は「夜叉神堂の男」「ことろの首」が好きです。
    最後の「姫君を喰う話」はテーマであるカニバリズム以外の表現がえぐすぎて、受け付けられなかった…。

  •  カニバリズムをテーマにした短編集。
     美食による人肉喰いから愛情による人肉喰い、食べた本人が幸福な結末から後悔して自死を選ぶ最後まで、様々な物語を読めるので、カニバファンには一読の価値あり。
     全てが気に入る、ということはないだろうが、恐らく何作かは自分好みのカニバに出逢えると思われる。


     食べてしまいたいくらいに愛している、というカニバリズムの話は少ないので、一押しは「血と肉の愛情」、「燻煙肉の中の鉄」、「姫君を喰う話」。
     「夜叉神堂の男」は、一年に一度だけ人肉が喰いたくなる呪いをかけられた男の話。
     一年に一度だけ極楽の美味を食し、一年の残りの364日は、人肉食いである自分を絶望して過ごす日々を想像すると、すさまじい。
     

  • 「猟奇文学館」と銘打たれた全3巻シリーズの3冊目。それぞれ「監禁」「獣姦」テーマと来て今回が「人肉食」テーマのアンソロジー(1、2巻は未読)。

    一口に人肉食と言っても、そこには習俗としての食人(厳密にはカニバリスムとはこの事のみを指すらしい)、飢餓ゆえのものから、究極の美食(悪食)として、あるいは愛情表現の最終形態……等々、様々なものがあるわけだが、このアンソロジーではタイトルの“嗜食”が示すように「飢餓からの食人」を除くテーマの作品が収録されている。

    村山槐多「悪魔の舌」、宇野鴻一郎「姫君を喰う話」はタブーを越えた狂的な快楽を描ききって凄まじい。が、収録作中最もおぞましいのは、20世紀初頭、ドイツに実在した人肉嗜食鬼を描いたノンフィクション「肉屋に化けた人鬼」か。

  • 「悪魔の舌」村山塊多
    「狐憑」中島敦
    「香肉」生島治郎
    「秘密(タプ)」小松左京
    「夜叉神堂の男」杉本苑子 ◯
    「子をとろ子とろ 高橋克彦
    「ことろの首」夢枕獏
    「肉屋に化けた人鬼」牧逸馬
    「血と肉の愛情」筒井康隆
    「薫煙肉のなかの鉄」山田正紀 ◯
    「姫君を喰う話」宇能鴻一郎

    この猟奇文学館シリーズはどれも面白のでぜひ復刊、続刊して欲しい。にしても、このシリーズは宇能の◯◯◯◯趣味だけは受け付けない。

  • カバーをかけずに電車で立ち読みはやめたほうがいいタイトルでした。おばさんにぎょっとされた。中身は割りとよし。名立たる作家さんが寄せててわりといい。生島治郎の「香肉」は割りと好きだ。グロテスクというよりホラー系とか怪奇系か。

  • 2005/5/8

  • 現在読破中

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