作品紹介・あらすじ
日本の最先端技術を支える町工場。しかし、その町工場は男たちだけのものではなかった。「粋な旋盤工」小関智弘が訪ね歩いた町工場のおんなたち。機械工、CADの設計士、手帳屋、仕立て屋、印刷工…男社会にもまれ、時代にもまれた彼女たちが、明るくたくましく生きる姿を絶妙な筆致で描き出す。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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2001年(底本1994年)刊行。
女主人、女工場主(おやじ)、肝っ玉母さん。様々な呼ばれ方がされているようだが、町工場で夫を助け、あるいは未亡人として、あるいはホントの主人として働きまくる女性たちに関する評伝が本書だ。一言で言って、仕事漬けの人生模様が語られる。
そういう意味では、武勇伝的に語られる余暇皆無ということ自体に大きな問題を孕んでいることが伝わってくる。ただ、この問題を置くとすれば、女性の奮闘記としてはある種の感動をもたらすものではある。
つまり、一見、職業的な美談風の読み物ではあるが、それだけではなく、描かれる模様の是非については突き放して読んだ方が良いような気がする書と言えそうだ。
著者プロフィール
1933年、東京生まれ。
都立大学附属工業高校卒業後、旋盤工として町工場に勤務する。
そのかたわら、執筆活動をつづけ、作品を発表する。
◎おもな著書
『大森界隈職人往来』(朝日新聞社、81年)--第8回日本ノンフィクション賞
『粋な旋盤工』(風媒社)、『春は鉄までが匂った』(晩聲社)、『羽田浦地図』(文芸春秋)ほか
「1985年 『鉄を削る 町工場の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」
小関智弘の作品