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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480036674
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「情痴小説」とは、分別あるべき中年から初老にかけての男が色香に迷って理性を失う物語を扱った小説のことです。本書は、徳田秋声から渡辺淳一まで33人に及ぶ「情痴小説」の系譜をたどり、そこに描かれた男たちの「ダメ男」っぷりを明らかにしています。
なお「解説」を担当している清水良典は、田山花袋、徳田秋声、近松秋江など明治・大正時代の情痴小説に比べると、現代の渡辺淳一に近づくほど、「小説の力が薄れ退屈になっていく感が強い」と述べていますが、どうもありきたりな指摘のような気がします。立原正秋や渡辺淳一が、明治・大正時代の作家たちとスケールの大きさに違いがあるというのは、いまさら指摘されるまでもないことで、むしろ近代日本文学の幹を形成している私小説を、現代の渡辺淳一まで至る「情痴小説」という系譜のもとで見なおす視座を設定したところに、本書のおもしろさがあるように思うのですが。
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