- Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480036711
作品紹介・あらすじ
老人力とは何か?物忘れ、繰り言、ため息等、従来ぼけ、ヨイヨイ、耄碌として忌避されてきた現象に潜むとされる未知の力。20世紀末に発見され、日本中に賞賛と感動と勘違いを巻きおこし、国民を脱力させた恐るべき力。あの笑えて深い名著が正続2冊あわせて文庫に。
感想・レビュー・書評
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タイトルで手に取ってしまった。
駐輪禁止の立札の前に止めるたくさんの子供連れを見て、
正直、日本に未来はないなと思っている。
老後に関しては不安しかなく、早く老衰したいとさえ思ってしまうようになった。
赤瀬川源平という名前は知っていたけど、
現代芸術なるものが好みに合わないので素通りしていた。
でも、誘いに負けてしまった。
老人力とは、人生の酸いも甘いも噛み分けた後の
ゆるゆるでいいではないか、と楽しめる心境で、
まだまだ若い者には負けんぞという、年寄りの冷水的な頑張りでは
ないらしい。
そういったことを、中古カメラに例えたりして、
繰り返し語っているが、途中からもう話題が尽きた感が否めないのが残念。
老人力の講演会は、ご年配の方が多かった様だけど、
読んだ感想としては、定年前の50代(ラッキーな人)、60代の方が読んでみて、
きたるべき定年後ライフを楽しみにするのが良いかも。 -
「物忘れはをするのは力だ」というところから始まった「老人力」について、様々なテーマごとに老人力にまつわるエピソードを綴る。
寡聞にして知らなかったのだが、1990年代の終わり頃に「老人力」ブームが有ったそうな。発症者は著者の赤瀬川原平、発見者が南伸坊。おう、よく読んでた人らじゃないか。というのも、「トマソン」をはじめとした、路上観察学会であり、街角考現学のメンツである。両方当然読んだ。ただ、何かって言うとジョーダンに持っていきがちな南伸坊に比べ、赤瀬川原平は、弾けているか内にこもっているかの両極端で、こもるタイプは苦手だったのだな。
本作は、割と軽く綴られているし、なんでそういう方向に進むかなという部分もあるので、割と読みやすい。途中で「路上観察」らしい、一言を添えた写真が入っているのも、読みやすさに良い意味で効いている。
老人力と関係ないが、夜眠れない話などは、私小説を書く際の参考になる。長らく寝かせていたが、こういうタイミングで読んだのは良かったと思う。
でもまあ、カメラの話はちょっとやりすぎかな。コンピューター、インターネット、デジタルを、必要以上に嫌うスタイルは、あまり好きではないな。そういう世代の人なのだと言われたらそうなんだけど。
「『老人力』の言葉の乱れ」という項が、メタ視点で非常に良い。これはちくま文庫版にしか含まれないのだろうし、そこは単行本よりも絶対に良い。 -
2018年11月18日、読み始め。
2018年11月24日、91頁まで読んだ。 -
何かを忘れるということはマイナスの作用でしかないのか。
自分の嫌なことがあって、その嫌なことが頭から離れないのなら、それは忘れたほうがプラスになる。
老人力は力を抜くエネルギーの事だという。
自力だと一向に自分に力がいってしまう。しかし、他力をつかうと他の人にエネルギーが循環する。昨今では誰も信用できない世界になりつつあるから、この考え方は誰かを信用するための力なのかもしれない。
頭が固いと身体も自然と固くなる。固さは丁度よく保っていなければならないのだが、固すぎる。その調度よさをこの本はしめしてくれているのかもしれない。
頭の柔らかい、老人がゆったりとしているような文体で、その力を解明してくれる一冊。 -
老人力とはいいものだ。素朴で、カラッとしたポジティブさがある。「老い」という不可避なものを前に、抗うでも自虐するでもなく、受け入れ培っていってしまう。一番いいなと思ったのは「老人力」という言葉が免罪符になって失敗をしても、自分を責めるでなく仲間と一緒に笑い飛ばせてしまうこと。老いを原因とする失敗に限らず、いつもきっちり正しくやれることなんてまずない。責任逃れの意ではなく、そういうこともあるよね!って寛容になれて許しあえる「老人力」のような言葉が、老若男女問わず使える単語としてほしいと思った。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/763890 -
最初の1/4くらいは、すごく面白いんだけど、だんだん失速してきて、最後の方は老人力関係ない単なるエッセイになってしまった。
老人力っていう発想自体面白くて、人生で初めて老人力付けたいって思ってしまった。
老人力のエピソードとして、
分裂病の人が診察を受けてて、最初はたいそう暴れたけど、話を聞いてたはずの先生が寝ちゃって、諦めて入院を決めた話が面白かった。老人力すごすぎ。