眺めのいい部屋

  • 筑摩書房 (2001年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480036766

みんなの感想まとめ

恋愛と自立をテーマにしたこの小説は、100年以上前のイギリスのアッパー階級を舞台に、自由や民主主義に目覚めていく若い女性の成長物語です。映画の原作としても知られ、登場人物たちの個性が丹念に描かれ、読者...

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな映画の原作を初めて読みました。あの映画が、小説に忠実だった事がよくわかりました。
    いとこ役のマギースミスは小説を読んでさらに、はまり役だったことがわかります。
    この映画のヘナムボナムカーターはとてもかわいくて、まさかあんな悪女(ベラトリックス)になれるとは思わず。(小説の感想なのにまるで映画の評)
    100年以上前のイギリスアッパー階級の恋愛小説。
    イギリス片田舎で育った娘とフィレンツェ旅行で知り合った青年との恋物語で、自由や民主主義に目覚めていく、第一次世界大戦前のお話です。
    ちょいちょい作者の主観が書かれているところは読まないとわからないので、読んでよかった。
    エマーソン父の熱弁で、私の好きな一節を。
    「ジョージに二度と会うことがなかろうが、あいつの名前さえ忘れてしまおうが、ジョージは死ぬまであなたの心に残り続ける、愛しているものから離れることはできないのだ」
    また、あの映画、見たくなりました。

  • 「この熱意。この無私無欲。シャーロットの人生はずっとこうだった。」「もし淑女たるものが自ら事に当たれば、まわりの人に眉を顰められ、それから軽蔑され、最後は無視されるのです」「僕はたぶん生きたいのだと思う」「女に決めさせないのだ。ヨーロッパを千年もの間このままにしておいたのはセシルのような人間だ。彼は一時も休まずに君を作り上げ、どんなことが魅力的で、楽しくて、淑女らしいかを君に教えている。そして君は、君たち女の人は、自分の声に耳を貸さずに彼の声に聞き入るんだ。」「婚約してからはじめて彼はルーシーを見た。ルーシー越しに何かを見たのではなく。ルーシーはダ・ヴィンチの女から現実の女に変わっていた。」
    「眺めのいい部屋を断った時のことを憶えているかな?あれが自分を見失ったということなのだ。些細なことだ」「人生はとても美しいものだが、とても難しいものでもある」

  • 『人生とは、聴衆の前でヴァイオリンを弾くようなものだ。そして君は弾きながらヴァイオリンのことを学ばなくてはならない』
    人は生活をしながら、自分のもっている力の使い方を見つけなければならない、とくに愛の使い方を

    封建的な風潮が強い時代においては、恋愛をするのもとても大変だったんだなあ。その中で、エマースンさんが息子に教えてきたことや、言動は、とても説得力があって共感できる。

  • 慣習や宗教の型にはまって思考を放棄した生き方は楽だろう。
    けれど、それでは決して見ることの出来ない美しい「眺め」があるのだ。
    登場人物達がとても丹念に描かれていて、「いるいるこういう人!」と思わず笑ってしまうのだけど、ステレオタイプで終わることなく、必ず多面的に造形しているのが素晴らしい。
    そしてこの時代にこの女性への眼差し。
    結婚してもしなくても女性の自立は可能なのだと書いてくれたフォースターに、拍手喝采!
    選び抜かれた文章の的確さと美しさは今作でも見事。

  • 何度読み返したか知れない、大好きな本。先行訳のみすず書房版と比べるとよりこなれて、くだけた現代日本語になっている。ルーシーやフレディの言葉遣いなどはみすず版の方が好みな部分もあるけれど、概ねちくま文庫版の方が読みやすい。

    処女長篇『天使も踏むを恐れるところ』とともに「初期イタリア二部作」として語られることが多いという。『天使も…』との違いは、フィレンツェはモンテリアーノよりさらに魅力的に、そしてサマー・ストリートはソーストンよりはるかに好意を持って描かれているところ。そしてなんといってもルーシーはアボット嬢と違い愛する人と結ばれる。この明るく幸せな空気の中に、さりげなく前作にも共通する諷刺と真摯なメッセージが込められている。

    解説では英国文学の伝統である「キャラクター」がこの小説で最大限に発揮されていることに触れられている。映画の配役があれほど見事に嵌っているのも、原作で各登場人物の魅力が余す所なく描かれているゆえのことだろう。マギー・スミスの名演を得てシャーロットはますます愛嬌たっぷりの人物になった。

  • イギリスの片田舎の娘が年とった従姉妹とイタリアに旅行し、ホテルで口さがない宿泊客たちと交際するはめになる。交際に疲れた娘は一人街にくりだすが、偶然、殺人事件に出くわし、その場にいた一人の男に助けられる。男は同じホテルで他の客たちに疎まれていた卑しい生まれの青年だった・・・云々。ヴィクトリア朝式の保守的な家に生まれた女が、結婚と恋愛をつうじて、周囲の人々の間違いに気づき、やがて自分の本心を知るにいたるというジェイン・オースティン的なテーマ。でもオースティンよりずっとバロックで、登場人物も決して「類型」にはまってない。フェミや同性愛のテイストもそこここに見られて、思わずにんまりしてしまう。タイトルに見合う不思議な魅力をたたえた傑作。


  • ヴィクトリア朝が終わってもなお、
    自らの階級やしきたりに縛られ、自分が好きな人を正面から素直に愛することのできない時代は、
    女性にとって辛いことも多かっただろうなと思いました。

    「肉体に対する軽蔑がなくなったとき、僚友となった男女はエデンの園にいけるのだ」

    というエマーソン氏のセリフは、はじめは意味がよく分からなかったのですが、全文読み終わった今、
    このセリフこそが本書の主題なんだなと感じることができました。

    原作が古いので、翻訳で全ての意味を汲み取るのは少し難しいですが、原作と照らし合わせて読むと理解も深まるとおもいます。

  • 翻訳に問題があるような気がして、ずいぶんと読むのに手間取ってしまった。ストーリー自体は面白かったが、「天使も〜」に比べてややプロットのダイナミズムに欠ける気もする。誰のセリフか分かりづらいのがキツかったな。

  • うーんちょっとあっさりしすぎ??

  • 階級が描かれ、紳士淑女のたしなみが描かれるところが、英国の小説だと思わせられる。

    語り部がいて、事件が時系列に描かれるところが、古典的だと思わされる。

    英国的な古典という立ち位置で、約束事を守りながらきめ細かく丁寧に言葉を積み上げると「眺めのいい部屋」のような小説が建築されるのだろう。

    解説で紹介される、著者自身が語る後日談「部屋のない眺め」がお得でよい。

  • 2016/09/10

  • ハワーズエンドを読んでからフォースターの作品は気になっていたが、読むまで時間が空いてしまった。
    実際読んでみると、中世貴族の形而上的禁欲主義vs現代の労働者階級の実存主義(肉体での経験を称揚する考え方)という共通点があるように感じた。
    肉体での愛を褒め称えている点ではある意味ロレンスのチャタレイ夫人の恋人も彷彿とさせられて比較して再読したく思った。

  • イタリアのフィレンツェに、従姉のシャーロットと旅行に来たルーシー。彼女は旅行先の宿で親切だが紳士らしくないエマースン氏と、その息子ジョージと出会う。自分の気持ちを隠そうともしないジョージに、ルーシーは反発しつつも気になっていく。

    品位のある女性なら、女性らしくたおやかに振る舞うことが当たり前な時代で、守られる女性を演じる。なんて生きづらい時代だろうと思いました。
    詩的な文章で書かれているので、人物の会話の意味を理解するのに、何度も読み返す必要がありました。その難しさに、また再読したいと思いました。

  • 映画が先でしたので映像に引きずられる感はあります。小説が先ならつまらなかったかも。

  • 20年ぶりくらいに再読。初めて読んだときより深く味わえた気がする。A Room with a View(原題)は主人公ルーシーのa passage to a viewの物語である。

  • イギリスとイタリアを舞台にした令嬢ルーシーの恋愛物語。知性と情熱どちらを選ぶのか、どのような人生の選択をするのか見所。

  • Graded reader で読んだ(読んでしまった)本を邦訳で読み直し.原作を読んだあとに映画を見るときのあの感じを味わった.さすがに細部までよくわかるし,情報量もずいぶん違う.そして,やっぱりいい.筋だけを追えばよくある恋愛小説なんだけど,くっきりした人物像と,読者を飽きさせないストーリー,そしてなんといってもそれをリードする会話の展開がうまい.ディケンズとかオースティンの伝統を感じてしまう.
    映画も見てしまうかも.

  • 映画化されている
    河田学先生推薦本

  • アマルフィなどを舞台とした作品です。

  • 以前、この表紙になっている映画を観たことがあります。綺麗な映画でした。その後、原書を読んでみようと挑戦し、見事に玉砕した思い出が…。

    映画は原作にとても忠実に丁寧に作られたんだなあ、と言うことが良くわかりました。それにしても文庫一冊分、よくあれだけ綺麗にまとめたものだなあ。そこかしこに映画での場面が思い起こされてもう一度映画も観てみたくなりました。
    バートレット嬢みたいな人って世界中にきっと存在するんだろうな。ある意味影の主役かも?

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著者プロフィール

1955年生まれ。翻訳家、作家。著書に『世界の果ての庭』『蕃東国年代記』『ヘディングはおもに頭で』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』ほか。訳書に『郵便局と蛇』コッパード、『第二の銃声』バークリー、『ヘミングウェイ短篇集』など多数。電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」主宰。

「2022年 『郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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