これで古典がよくわかる (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.78
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本棚登録 : 426
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480036902

作品紹介・あらすじ

あまりにも多くの人たちが日本の古典とは遠いところにいると気づかされた著者は、『枕草子』『源氏物語』などの古典の現代語訳をはじめた。「古典とはこんなに面白い」「古典はけっして裏切らない」ことを知ってほしいのだ。どうすれば古典が「わかる」ようになるかを具体例を挙げ、独特な語り口で興味深く教授する最良の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 軽いタイトルと軽い表現の裏に濃厚な味がする本でした。
    古典の内容よりも、漢字・漢文という外国語が日本に到来して、それをいかに日本人が悪戦苦闘の末、克服して現在に至ったかを、古典を通じて、橋本流の面白い比喩を駆使した解かり易く丁寧な説明で、楽しく読むことが出来ます。

    漢文だけで書かれた『古事記』や『日本書紀』、漢字を使った万葉仮名の『万葉集』、そして「ひらがな」だけで書かれた『源氏物語』『枕草子』などを経由して、鎌倉時代にはいり『方丈記』をへて『徒然草』の和漢混淆文の完成にいたり、現代使用されている日本語に近づいたとの道筋をチョコチョコと寄り道をしながら楽しく読ませてくれます。

    カタカナは漢字のカンニング用に考え出されたという話、句読点や濁点がなく、ただだらだらと連続した「ひらがな」だけで書かれた源氏物語というのも想像すると壮絶ですし、男女の関係がイスラム原理主義のような時代に、唯一男女を取り結んだ「和歌」の話も楽しく、またその和歌が近代になり「生活必需品」から「教養」へと「転落する」という表現もなるほどと思わせる。

    この本を読み終えて、以前に読んだ「おどろきの中国」の中で橋爪大三郎が中華文明としての基準を『中国>韓国>日本』と評価していたのを思い出しました。
    わが国の先人の苦労を知るにつけ、漢字の発祥の中国やその模範生である韓国から見れば、漢文や漢詩の下手くそな東の海の向こうの野蛮な国が、如何に自分たちの独自性を崩さずに独立自尊の精神で苦労してきたかを誇りにすら思えます。

  • これは良い本。古典に苦手意識を持ってる子にすすめてあげたい。
    和漢混淆文の成立を軸に、日本語の文字や文体の歴史、古典作品との向き合い方を教えてくれる。
    文法的には授業で教えるのと少し違う説明をしている部分もあるけど、そういう細かいところはどんまい。全体像が見えるようになるのが大事。

  • 難しいことを分かりやすく書く天才の本。実に参考になります、そこだけでも

  • 職場の大先輩からの頂き物。

    これで古典(との向き合い方)がよくわかる、といった趣きの良書。
    古単語のゴロ合わせやら助動詞の働きやらを萌え絵やマンガで解説する参考書の類を何十冊読むよりも、この本で「なぜ古文はわからないのか」をレクチャーされた方が、よっぽど「生きた」古典への理解が深まりましょう。
    とは云えコレだけでいきなりセンター古文で満点取れるようになったりはしないので、まだ時間がある高校1・2年生、その指導者、もう受験の必要がなくなった大人向け?

    「古典は、体で覚えるもの」とか超納得。
    私も中学生時代、『枕草子』『平家物語』『奥の細道』の冒頭文を暗唱させられたものですが、20年経ってもまだ諳んじること出来ますもんね。一度身体に叩き込まれたことってなかなか忘れないもんです。どんなに学習指導要領が変わっても、中学古典名物「冒頭文の暗唱」だけはやめないでいただきたい。

    そしてせっかく覚えた文章(なり和歌なり)に血を通わせるためには、「”きれい”ということ」をわからなきゃ!ってもう眼からウロコでした。
    桜の美しさに感動しまくった人が詠んだ歌を「意味わかんね」で片付けてしまう人は、じゃあってんで「意味」を教えてもやっぱり「全然わかんね」って顔してることが多いかも。まあ私の教え方がマズかったんじゃないかというのはこの際置いておいて、そもそもその人自身が桜の美しさに感動したことがないという可能性は大いにあり得るような。桜の美しさに心打たれていれば、和歌そのものの「意味(現代語訳)」を正確には知らなくても、なんかイイ気分で口ずさめるような気がするんですよね私の場合。

    そんな事を考えながら読んでいたら、ただでさえ山のように積みあがっている「読みたい本」の中に、古典文学まで加わってしまいました。

  • *日本語の歴史。
    文字はないけど言葉はあったところに、漢字がやって来る。漢文の時代。英語にカタカナでルビをふるように、レ点をわきにふって読む。(古事記、日本書紀)
    →漢字の読みだけを拝借した万葉仮名。(万葉集)
    →漢字を崩して読みだけを拝借したひらがな。(竹取物語)
    →ひらがなで、より複雑な内容も書き表すようになる。(源氏物語、枕草子)
    →書き下し文方式で漢字+カタカナの和漢混淆文。(方丈記)
    →漢字+ひらがなの和漢混淆文。やっと現代文の原型といえる形。(徒然草)
    ↑こうした変化が大体100~200年周期で起こった。という話。
    *昔の人たちもその時代の現代人。今の私たちと一緒だよ、という話。源実朝は都会に憧れる、田舎の中小企業社長の息子でオタク青年の元祖だとか、兼好法師はパッとしないサラリーマンだったが会社が倒産して、でもそこそこ豊かな家の子だったから再就職せずぶらぶらして、そのまま物書きになったとか。
    *古文がわかるようになるには、辞書なんかひかなくていいから古文を浴びるように読んで口ずさみ暗唱し、とにかく慣れることだ、という話。
    *「大江戸歌舞伎はこんなもの」という別の本を読んだときも思ったが、橋本治さんのものの言い方はわりと強引で、理屈と例証と裏付けと文章の巧さによってスマートに納得させる、というよりは、俺はこう思う、こう理解してる、そうするとわかるぜ、な!という力業。それも、(どうせ古文も歴史も正解なんてわからないんだし)とっかかりにはこういうのこそ大事なんだ!という確信犯。好みは別れるところで、正直、私は好きですと言い切れるほど好きでもないのだが、確かにとっかかりには良いと思う。

  • 難しそうなイメージで今まで手付かずの分野。古典の楽しみ方を知っている人の視点を知りたくて興味を持った本。

  • 古典を読んでみようと思い立ったので、手にとってみた本。

    古典作品とその成立の過程が平易に語られる。
    どの作品も面白そう。
    源実朝の和歌が紹介されていた。
    共感できるもので、興味が湧いた。

    古典をまず、土佐日記から読んでみたくなった。

  • かなり満足しました。
    漢字やかたかな、ひらがなが使われた歴史的背景、また源実朝や兼好法師の実像など、「なるほどそうだったのか~」って、読みながら何回も納得しました。
    時間をおいてまた読みたい。

  • 難しいことをわかりやすく書くには、難しいものを読まなきゃいけないと言うことがグッと来た。あと孤独な和歌オタクの実朝に萌えた。

  • 「これで古典がよくわかる」→ なんで、古典がわからないか?、を、いろんな視点から、考えてみることを試みてる本だったと思います。

    日本語の変遷、作品の生まれた時代背景、著者の生い立ち、現代との関係性、それらを主たる道具にして、
    「古典」に漠然と覆われている「わからない」を、ゆっくりと紐解いて、いろいろな視点から丁寧に解剖していっている様な内容だったと思います。

    古典を描き、また古典に描かれているのは、自分たちと同じ「人間」であるということ。
    「教養」もあるにこしたことはないんだろうけど、それよりも「感性」が実質的に重要だということ。
    この二つが、古典に近づく際には重要な鍵になるんだろうな、と、この本を読んで思い馳せた次第です。

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プロフィール

1948年、東京生まれ。イラストレイターを経て、77年小説『桃尻娘』を発表。『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞を受賞。著書多数。

「2018年 『おいぼれハムレット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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