阿房列車―内田百けん集成〈1〉 ちくま文庫 (ちくま文庫 う 12-2)
- 筑摩書房 (2002年10月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480037619
感想・レビュー・書評
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ヒマラヤ山系君
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なんともいえぬユーモア。
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面白い。
何がどぅって訳でもないし、
旅行記でもないけど面白い。
当時の電車や駅の雰囲気が伝わってくるのも良い。
集成で読んでしまったので阿房列車1と
阿房列車2の二編だけが入ってるけど
阿房列車シリーズは全部読破したいと思う。 -
汽車は来る時と同じ調子の軽い足取りで、雪原の中を走り続けた。
車窓から見る半晴の空の向こうがすいている。空の境に連なる群峯をぬきんでて、聳え立った山の頂きの雪に、遠い日がきらきらする。 -
何度目かの再読。
この味わいは百閒独特のもの。
筑摩の文庫全集読破するぞ。 -
余りにも有名な冒頭、そういう旅が好き。
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いわゆる紀行文学のたぐいの一冊。僕が鉄道に興味を持つきっかけとなった本の一冊でもあります。
通常の紀行文学であれば、風光明媚な景色や、その土地の美味しいものなんぞをつらつらと書き連ねるのが常ではあるのですが、流石は内田先生。「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ」という一文から分かるように、飄々とした語り口で淡々と話しが進んでいきます。
基本的には、電車に乗っている間はずっとお酒を飲んでいる、目的地についても観光はしない、会いにきた人は基本的には断る、朝は起きられないから午前中出発はしない(仙台に行くのにどうしても上野を午前中に出ないといけないときは、前の日に福島まで行って前泊し、福島を午後出発するといった徹底ぶり)、列車には必ず一等に乗る、といったよく分からないこだわりを持つ内田先生に振り回されながら、乗った電車と本のページだけがどんどん進んでいきます。
ちなみに第一作目の特別阿房列車は、一等列車に乗るためにお金を借りなければならず、そのお金の工面と、東京駅で迷った話で全体の七割くらいを占めており、あんまり電車の描写ありません。
そんな内田先生の魅力は、自ら官僚的と称するガチガチの形式主義とそのユーモア。旅の途中、本当に些細なことをとらえて、延々と書き連ねるくだりは読み手を「先生はしょうがないなぁ」と苦笑しながらついつい言わせてしまうところでしょうか。
旧字・旧仮名遣いに厳しく文章全体はやや堅苦しいのですが、読み進めるうちに汽車・電車の魅力に取り付かれ、同じように旅がしたくなること請け合いです(経験者は語る -
相当な偏屈者なのですが、その偏屈加減に一本筋が通っていて納得させらてしまいます。人嫌いのくせに、酒宴にはほいほい出て行くところが憎めないです。
また、お供のヒマラヤ山系さんのすっトボケぶりもいい味をだしています。この後のシリーズも読んできます。 -
何の目的も無しに旅に出る、こんな贅沢なことが有ろうか、それも借金をし、行く先々での宿も手配してもらい、挙げ句、夜毎酒を飲むのだ。こんな至極の贅沢をしながら、百けん先生は言いたいことを言い、大声で歌うのだ。もっとも、受けたくない取材をこなし、気疲れする付き合いをこなすことも有るのだが…。
こういう男性が自分のつれあいでなくて良かった、とつくづく思う典型のようなオジサンである。
しかしながら、思ったより読みやすく、当然のごとく、旅に出たくなった。こんな贅沢な旅は元から出来ないが、せめて、何の目的も無しに夜毎ご当地の銘酒を味わう…というのくらい真似てみたいものだ。 -
百閒さんは聞きしに勝る変てこ親父だ。
よくもまあ、こんな企画を考え付いたものだし、こんな企画に乗るものがいたものだ。