贋作吾輩は猫である―内田百けん集成〈8〉 ちくま文庫 (ちくま文庫 う 12-9)

著者 :
  • 筑摩書房
3.76
  • (21)
  • (24)
  • (29)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 292
感想 : 28
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480037688

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 贋作という形で、夏目漱石の吾輩は猫であるの続編として描かれた小説。
    解説で、漱石の猫にはある二つのアイデアが、隠されているということが書かれていて納得。そのアイデアとは、次の二つ。
    1.人間でないものの眼から人間を見て、人間というものの奇怪さ、滑稽さ、醜悪さに気がつかせるという、いわば『不条理の眼』とでもいうべき視点の設定。
    2.日本の文学史のなかで、高貴な愛玩動物か怪異の元という、2パターンで描かれていた猫を、普通の家族としてあつかったこと。
    この、贋作でも、同じくこの2つアイデアが十分に活かされている。
    そして、じゃりん子チエの小鉄とジュニアも、実はこうしたアイデアを具現化したキャラクターなのだということに気がつく。家族に属する普通の猫の不条理の視点から人間の業を描くことは、文学、滑稽小説の伝統、王道としての様式なのだということを教えて頂いた。

内田百けんの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×