新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 1069
レビュー : 124
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480039279

感想・レビュー・書評

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  • 本棚の隅っこにいた本。
    単行本にはあった写真が文庫にはないことが、なんだかとても物足りない気がしてちゃんと読めずにいた。
    でも文庫は単行本よりも静かに「アゾット」の物語を語ってくれる気がして、今はむしろその静けさが嬉しい。

    「目に見えぬ「さかさまに降る雨」。
     わたしたちは、いつでもその中を歩いている。」

    今回1番心に残った箇所。
    いや、もしかしたらこの前もこの部分に感動したかもしれない。
    でもその時の感動はいつの間にか薄れ、ぼんやりとした輪郭を思い出せるだけになってしまった。

    この物語の中にはこの世界の秘密が書かれている気がしてならない。
    私の今立っている(正確には座っているけれど)この場所にも同じ秘密が隠されている。きっと。
    そういうことだったのか!と開眼しては忘れ、また読み耽り、まるで太陽王の暦を読むアゾットの人達そのものではないだろうか。

    でもこの本には秘密が書かれているということはきっと忘れない。
    この本とアゾットはいつまでも私の世界の隅っこにいてくれるはずだ。


    (以下は蛇足。隅っこについて考えたことを忘れないように)

    最近は片づけに憑りつかれて、本棚から(何があるかちゃんと分かっていない)隅っこを無くす方向で動いていた。
    何度も読むお気に入りの本だけが並ぶ本棚のイメージがキラキラ輝いて見えていた。
    でも、隅っこのない本棚は果たして本棚と呼べるのか?
    と、この物語を読みながら疑い始めてしまった。

    「アゾット」の物語だって今は使われていない旅行鞄の隠しポケットからやってきた。
    ずっとそこにあったのに気付かなかった冒険の物語なのだ。
    本棚で眠っていた古い本を開いたら…とか、お隣のお屋敷が実は…とか、
    よくよく考えてみれば、心ときめく謎や冒険はいつだって詳細不明な隅っこからやってくるのではなかっただろうか?
    「隅っこ」というのは結局私の世界における「隅っこ」で、視界には入っているけど注目していないところだ。
    もし私の世界がきっちり整理整頓されていて、「隅っこ」にはほこり一つ落ちていません!なんてことになったら…
    ドキドキ、ワクワクする謎や冒険はいったいどこに行ってしまうのだろうか。
    なんて、それが家や部屋が片付かない言い訳になったら情けないけれど。
    けれど、詳細不明なドキドキを秘めた「隅っこ」を永久追放してしまわないようにしなくては…!と物語には関係ない事をぐるぐると考える。

    • takanatsuさん
      kwosaさん、素敵なお話ありがとうございます!
      「遺跡の壁が剥がれて発見された輝く古代の絵のように」
      分かります、分かります!
      私も...
      kwosaさん、素敵なお話ありがとうございます!
      「遺跡の壁が剥がれて発見された輝く古代の絵のように」
      分かります、分かります!
      私も似たような経験があります!それは本棚の隅っこに相違ないと私は思います。
      本棚二重はずぼらですか…
      うちの本棚はさらに立てている本の上に横になった本が2、3乗っているのです…
      あわわ…やはりちと問題ですかね
      2014/04/20
    • kwosaさん
      takanatsuさん

      >うちの本棚はさらに立てている本の上に横になった本が2、3乗っているのです…

      あはは、一緒です。うちもま...
      takanatsuさん

      >うちの本棚はさらに立てている本の上に横になった本が2、3乗っているのです…

      あはは、一緒です。うちもまったく一緒です。
      自戒を込めて「ずぼら者」なんて言ってしまったのですが、まさかお仲間がいたとは。
      すみません。
      2014/04/20
    • takanatsuさん
      kwosaさん

      いえいえ、大丈夫です!
      お仲間でしたか。何やら心強いような…(笑)
      「理路整然としたものからはみ出す余白から生まれ...
      kwosaさん

      いえいえ、大丈夫です!
      お仲間でしたか。何やら心強いような…(笑)
      「理路整然としたものからはみ出す余白から生まれる「物語」は大切にしたいですよね。」
      どの程度はみ出すかが個人のバランス感覚ということなのかなと思いました。
      心地よいバランスを探っていきたいです。
      2014/04/21
  • クラフト・エヴィング商會の初代傳次郎さんが残した不思議な国「アゾット」の記録を主人公である三代目が読み解くお話。
    架空の国の冒険記なので、奇妙で不思議な人物や風景がたくさん出てきて読みながら自分もその世界に取り込まれる感じがした。人が色々なものを忘れていくのは歴史を繰り返すため…深いなぁ。たまに感じるデジャヴは、もしかしたら忘れてしまった何かなのかもしれないな。
    涙の事とか、音楽の事とか、星の事とか、雲の事とか、気に入ったフレーズがたくさんあった。私もいつかアゾットへ旅する日が来るだろう。

  • 3月に世田谷文学館で開催されていたクラフト・エヴィング商會の展覧会で購入しました。

    展覧会の説明を少ししますと、クラフト・エヴィング商會の扱う商品やら何やらを虫干しするついでに、ご紹介しちゃおうとコンセプトで、様々なものが展示されていたのであります。

    作品に関するものがほとんどで、この本に出てくる品々も多く展示されていたので、見終わった後、興味がわいて購入した次第です。
    展示品の中でこの小説にでてくるものだと、サラマンドルの尻尾やクラウドコレクターの小瓶、お酒のラベル、雲母でできた書物などが記憶に残っています。

    余談ですが、展示の中で強く印象に残っているのが、「入場券から切り取られた星」です。
    入場券はよく見る細長い長方形ではなく、正四角形で、入場するときに端を三角形に切り取るようになっていました。
    そして中央に星型の穴が開いていたのです。
    そのくりぬいた星、まさに星屑が収められた箱があって(展示品は多くが白い靴箱のような箱に収められていた)、
    "あなたの入場券の星もこの中にありますよ"という趣旨のことが説明に書いてありました。
    見ながら、くりぬいた数以上のお客さんがきたらどうするんだろう??日ごとに数は増えるのかしら?などと思っていました。


    展示会で見たものが出てきた!という感動の方が大きく、あまり話自体に入り込めなかったのですが(笑)、
    21種類のお酒がそれぞれが個性的で気に入りました。
    また、傅次郎さんの旅日記だけを読んでみたいなあとも思いました。
    一気に読まず、ちょっとずつ思い出したように読んでいたからかもしれませんが、読み終わって結局覚えていることといえば、雲は誰かが失った記憶だから、空をみていると懐かしい、切ない気持ちになる、というところぐらいでした…。
    クラウド・コレクターの"~がありますです"みたいな口調かわいかったです。

  • クラフト・エヴィング商會、吉田浩美氏、吉田篤弘氏を知ったきっかけ。記念すべき一冊。
    本屋で親友から「これいいよー」と勧めてもらい、後日購入したのが7年前?かな。
    以来、何度も読み返してる。
    独特で不思議な世界観や表現、素敵な挿絵。名作とは、このようの作品を指すのだろう。
    こんな世界を創りだせるってすごい。

    不思議な国アゾットに関する旅行記。
    読んでると、頭の中・心の中にアゾットがどんどん広がる。
    知らない土地にふらりと行ってみたい、そんな気分にもなる。

  • 1月の読書会課題本。作者が変わった名前になっているが、夫婦のユニットであり、本業は本の装丁デザインなどらしい。やはりそれもあって、装丁に可愛い遊びがたくさんあって、視覚的にも楽しい本である。また中身の方も、いかにも絵描きさんらしい遊びや仕掛けがたくさんあって、本の楽しさはストーリーの面白さだけではないと気づかせてくれた一冊だった。

  • それにしては少々言い回しが難しいかも知れないが、思い切って空想の世界が丁寧に語られるのは児童向けの正統派ファンタジーとも思える。と思いきや時々ほんわかとした現実へ。ひい、ふう、みい。魔法の言葉を唱えたくなる。

  • 祖父が残した架空の国の旅行記を三代目(孫)が解読していく多重構造の物語。ちりばめられたいくつものモチーフ、ファンタジーでオブラートされているけれど哲学的なテーマ、そして繊細なイラスト全部ひっくるめて、隅から隅まで凝った1冊でした。

    旅行記の部分だけでも十分面白いのだけれど、それだけでは解釈の難しい部分を三代目が注釈してくれるのがありがたい。架空の国アゾットの21の地区で作られている蒸留酒がどれも美味しそう(だけでは済まされないものもあるけれど)で飲んでみたかった!

  • ひょんな事から知った“クラフト・エヴィング商會”
    ちょっと見てみようと思い、書店で数冊パラパラ。気になったこの本を読んでみました。


    結論、大好き。

    文調も、挿絵や文字のフォントも
    内容も好き。

    想像の余地があるのも好き。

    何度も何度も読み返したくなるヘビロテ本の仲間入りです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「想像の余地があるのも好き。」
      隙間に誘われてる感ありありですものねぇ~
      「想像の余地があるのも好き。」
      隙間に誘われてる感ありありですものねぇ~
      2014/04/24
  • 面白い!寝る前の読書に最適。

  • 過去に読んだ本。クラフト・エヴィング商會さんの小説。

    面白い。レトロな雰囲気の世界観と、こちらの世界とあちらの世界がが交錯する物語。

    イチオシである。

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