- Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480039286
作品紹介・あらすじ
「この事典はね。見るたびに中身が変わってゆくのだよ」クラフト・エヴィング商会の先代吉田伝次郎がそう言い残した書物「アゾット事典」。孫である三代目が、書棚の隅から、この不思議な書物を見つけてきた。遊星オペラ劇場、星屑膏薬、夕方だけに走る小さな列車、エコー・ハンティング、ガルガンチュワの涙という蒸留酒、雲母でできた本、忘却事象閲覧塔…。茫洋とした霧のなかにあるかのような懐かしい場所アゾットの、永遠に未完の事典。
感想・レビュー・書評
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『クラウド・コレクター』を読んだら、すぐにこの本を読まなくてはならないと信じている。
それもこちらを後に読むべきと思っている。
『クラウド・コレクター』で語られた「アゾット」のその後が語られている。
形式は事典だが、これは物語だ。と信じている。
『クラウド・コレクター』は過客のアゾット旅行記だったけれど、こちらは「アゾット」に属する人の視点で書かれている。
その違いがとても面白い。
また時が経って、「アゾット」がどう変わったか、どう変わりつつあるかという点も興味深い。
写真や絵も素敵。
もうほとんど言うことはないのだが、ただひとつわがままを言わせてもらえば、もっとひとつひとつのエリアの情景を掘り下げて欲しかった。
「アゾット」という世界のことももちろん知りたいのだけど、中のエリアのことももっともっと知りたかったな…と思ってしまう。
それほど「アゾット」に夢中になってしまったということなのでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
クラウドコレクターの番外編?
アゾットのイロイロな物や人が辞典となって紹介されてる、なんとも不思議な一冊。
傳次郎さんが訪れた頃よりもさらに時は進んでいて、クラウドコレクター時代とは違う解釈もあったりして、読み比べるとまた面白い。 -
昨日読み終えたばかりの「クラウド・コレクター」に登場する、アゾットという国に関する事典。
「クラウド・コレクター」を読んでからだったので、よく意味が分かり、逆にこういう事だったのかと気付かされた事もあった。
すぐそこの遠い場所、つまり自分の心の中にアゾットはあり、自分の想像するままにアゾットは作り上げられる。時に過去に考えた事など忘れて、新しくまた設定し直したりしながら。この本を読みながら自分なりのアゾットを作ってみてはいかがでしょう。 -
辞典の記載から紡がれる架空の世界の物語。目を閉じて想像に彩られた物語に、どっぷり浸かれる一冊。毎日に疲れたら読んでほしい本です。
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「アゾット」は近くて遠い。
きっと誰もが行ったことがるのに
忘れてしまう、そんな気がする。
だから、ちょっと懐かしい気さえする。
スター・ダスト・リップクリームは手に入れたいし、
素敵な黄昏時を過ごしたい。
エラノス・カフェで「あああ」と言ってみたい。
でも、私のことだ、
きっと、睡魔に魂を売っていることだろう。
クラフト・エヴィング商會、贅沢だ。 -
ロマンティック。
もしこの本を見つけたのが小学生のころだったら。
大人の本棚にひっそりとたたずんでいるこの本そっと抜き出したら。
きっとアゾット国のことを真に存在させることができただろう。
大人になったわたしは想像力が足りない。
世田谷文学館での展示のチラシを挟んで本棚にしまっておきたい。
そうはいっても半信半疑だった、睡魔を眠らせるための枕や、読んだそばからキラキラした砂になってしまう雲母印本は本当にあるんだ…。て、ドキドキしてそっとまた本棚に戻したい。 -
出会うのが遅かったような早かったような、不思議な本。
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この本は〝クラウド・コレクター〟の姉妹本なのだそうですが、それを知らずに先に読んでしまいました。
これはアゾットという世界のことについて書かれた事典です。アゾットの風俗や習慣や歴史、そこに存在する物のことなどが断片的に書き記されています。読み進むうちに、ぼんやりアゾットの全体像が浮かんでくるようで、知らない場所のはずなのに、なんだか妙に懐かしく、一度は訪ねてみたくなるのです。
挿絵もたくさんあって、とても面白い本でした。ただし、この事典は、見るたびに中身が変わっていくそうですよ。 -
この本はいつだって僕に、想像力で遊ぶ方法を教えてくれる。