日本の歴史をよみなおす (ちくまプリマーブックス)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 215
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480041500

作品紹介・あらすじ

後醍醐天皇の出現が、日本の歴史全体を変えた驚くべき事実。「一遍聖絵」から読み解く差別の発生。ひらがな文字や銭の普及の背景とその意味。今日の私たちを束縛し、重大な影響を与えた14世紀の出来事から、新しい日本史像にいどむ刺激的な試み。

感想・レビュー・書評

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  • 古本で購入。

    筑摩書房の社員向けに行った5回の講義をまとめたもの。
    社員教育として第一線で活躍する歴史学者を呼ぶなんて、すごいし羨ましい。
    他の出版社はわからないけど、筑摩の真摯さみたいなものが見えるな。

    少し長いけど本文から。
    「現在の転換期と同じように大きな転換が南北朝動乱期、14世紀におこったと考えられるので、この転換期の意味を現在の新しい転換期にあたってもう一度考え直してみることは、これからの人間が進む道を考えるうえでも、また日本の文化・社会の問題を考えるうえでも、なにか意味はあるのではないかと思うのです」
    この視点から、「文字」「貨幣と商業・金融」「畏怖と賤視」「女性」「天皇と『日本』の国号」の5つのテーマで話していきます。

    まさに網野史学のエッセンス満載の1冊。
    その史学の是非はともかくとして、網野の著作を読むなら必ずリストに加えておくべき本かと思います。

    読んでいておもしろかったのは「文字」の問題。
    平仮名と片仮名の使い分け、というのは初めて知った。

    文書での仮名の使用において、カタカナは圧倒的に少数派だとか。
    近世になると助詞に使われる程度だったカタカナは、「文書の世界では基本的には口頭でいわれた言葉を記す文字」であったらしい。
    文字の持つ機能や意味といったものが非常に意識されていたんだろうね。

    他のテーマについての講義も抜群におもしろい。
    個人的には、網野の天皇制度に対する態度には全然賛同しないんだけど。
    でも本のおもしろさは間違いなし。中世史をかじろうとする人にオススメの本。

    一緒に買った『続』の方も楽しみ。

  • 日本人の識字率は高かったことに驚く。また、差別がいつごろから発生したかも興味深い。天皇についてはいろいろな見方、考え方があるようだ。宿から夙の発生、長更。非人、犬神人は、特別な存在として身分保障されていた。穢れをはらう=神仏に直属。
    天皇とは?皇帝の顔と神聖王的な顔。

  • 授業や物語だけでは知らない歴史。

  • 2016/1/26読了

  • 目から鱗。どうしても歴史上の出来事は現代のフィルターをとおして、見てしまいがち。しかし、本書のように当時の背景、価値体系を露わにして、見えてくるものが現在と違うことを味わうのは、異文化交流にも似て、興味深い。賤民について、もともとは神に連なる人だったなど。

    ・片仮名は口頭で語られることばを表現した。起請文、裁判記録など。
    ・和同開珎は一種の呪術的な意味を持った使われ方もしれいる。
    ・利銭、利息は神物、仏物の貸出として、始まっている。
    ・「無縁所」という寺院は、財政的に弱くなく、商業や金融で儲けていた。
    ・フロイス:16世紀。女性が西洋と違って、日本は奔放、力強かった。
    ・鎌倉時代、女性が所領を持ち、譲渡、売買をしていた。室町から不動産の面で多少弱くなるが、動産については財産権を持っていた。
    ・平安時代から地名を苗字として名乗る習慣が広がるが、豊臣秀吉も豊臣は天皇から与えられた形になっている。その意味で、ルーツをさぐるとみな天皇になってしまう。
    ・日本という国名は中国からみて定着した。天皇も。

  • 百姓が農民ではない。百姓という漢字を考えてみると、其の通りだ。
    其の視点から考えていくと、既存の日本史そのものが覆されてしまう。
    非情に面白い考えかただし、内容も理解しやすい。

  • 時代が下るにつれて、非人の扱われ方が変わっていく過程が興味深い。
    生きるための行いは全て神聖だ、という考え方は好きだ。

  • この世の外にいた人たち。
    それが私の目指す場所。

  • ☆彡日本の歴史全般におけるトピックエッセイ

    〈概要〉
    日本の歴史をよみなおす
    ・はじめに
    ・文字について
     村・町の成立 遺跡の発掘から
    ・貨幣と商業・金融
     神仏、天皇の直属民/聖なるものから世俗のものへ
    ・畏怖と賤視
     古代の差別/悲田院の人びと/ケガレの問題/「非人」の出現とその仕事/特異な力への畏れ/神仏に直属する「非人」/河原者/放免/童名を名乗る人たち/聖別から卑賤視へ/差別の信仰/東日本と西日本の相違
    ・天皇と「日本」の国号
     天皇という称号/「日本」という国号の歴史/天皇の二つの顔/日本列島には複数の国家があった/天皇家の危機
    ・あとがき
    続・日本の歴史をよみなおす
    ・はじめに
    ・海からみた日本列島
     日本は孤立した島国か/縄文文化/弥生文化/西と東の文化の差/周囲の地域との交流関係/「日本国」の誕生/「日本国」の範囲/海の交通と租税の請負
    ・あとがき

     

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]210.4/153/B [資料番号]2003100772

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プロフィール

1928年山梨県生まれ。東京大学文学部卒業。都立北園高校教諭、名古屋大学文学部助教授、神奈川大学短期大学部教授、同大学経済学部特任教授を歴任。専門は日本中世史、日本海民史。著書に『日本中世の非農業民と天皇』『無縁・公界・楽』『異形の王権』『蒙古襲来』『日本の歴史をよみなおす』『日本社会の歴史(上・中・下)』『「日本」とは何か』『歴史と出会う』『海民と日本社会』ほか多数。2004年逝去。

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