怖さはどこからくるのか

  • 筑摩書房 (1991年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480041555

みんなの感想まとめ

民俗学の視点から、私たちの生活に潜む「怖さ」の源や、文化的な価値観を探求する内容が魅力的です。特に「ケガレ」という概念を通じて、古代から現代にかけての人々の心の動きや、都市伝説が反映する心理を深く理解...

感想・レビュー・書評

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  • 単純に民俗学の解説が面白く、特にケガレという言葉が原初的にはケシネビツ(米びつ)が空っぽになる状態を指すという内容は楽しく読んだ。
    題名自体は「民俗事象を支えているさまざまな「心意」のあり方を探っていくと、今生きていることへの不安、それは「畏れ」とか「怖さ」という用語で説明される内容ではないか」という終盤の一言で全て説明されているのだが、中身を読むことでいかにそれが身近なものか感じられる大変わかりやすい本だった。

  • 冒頭、著者は女人禁制の山や相撲の土俵に女性が入ってはいけない「伝統」に対して女性差別の問題を指摘する。こういった現在の問題を対処していくのに民俗学で原因究明していくことが必要だと述べている。昔を懐かしむのではなく、必ずいま自分が立っているところへ戻ってきて、現在を生きる私たちがどう対応していくかという姿勢をもたなければならないと。
    柳田國男も同様のことを主張していて、著者も柳田國男の民俗学の捉え方として書いている。また、見聞を広めて最後に自分のいるところ=故郷に立ち返るという見方は坂口安吾にも通じるところがあると感じた。

    本書ではケガレや生まれ清まりといった概念と事例を中心に簡便な言葉で説明されている。
    ケガレとは、今の私たちのイメージは汚いとほぼ同義だが、当時は弱っている状態も指していて気離れをケガレと言っていたという。
    お産をケガレというのも、汚いと言った意味ではないようだ。また、言葉の音の変化についても述べていて、白シラと生まれることもシラといい、沖縄では妊婦のいる家をシラヤーと呼んでいたことに触れていた。日本人にとって白は特別な色であることと生まれることを表すことをシラということに着目している。言語の音の面からのアプローチでわかることもあるということがよく理解できる事例だった。

    また、江戸時代から現在にいたるまでの都市伝説にも触れられており、現在は都会に出てきた人の不安な心理が都市伝説に反映されていると言ったことが書かれている。ということは、穢れた状態というのを身体感覚として持つという意味なのか?それは外国でも共通する感覚なのだろうか?ホラー 映画などでは霊体験をする主人公は多くが友人や家庭あるいは職場で問題を抱えている設定であることにも通じる感覚だと思った。

    神様を新たに祀る過程として、個人の体験が発端でも、流行り病などでそれが集団、世の中を清めなくてはいけないという認識の変化や、社会の体制を維持する目的で被差別民という役割を当てはめる。といった話も興味深く印象に残った。

    本書は1つのことを深め解に導くと言うよりは、民俗学の視点から見る上での「気づき」や基本的な考え方について理解するための本。興味ある分野を見つけて少しずつ掘り下げて行きたい。

  • 民俗学の基礎や、これからの民俗学の視点が書かれていた。その時代の人々の畏れや怖さが流行り神を作り、またそれが時代背景・願いを表しているものだと感じた。

  • 実際の師匠の師匠。宮田登先生。民俗学をシンプルに捉え直す際に読み返す本。入門編としても大変好著。

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著者プロフィール

宮田 登(みやた・のぼる):1936年、神奈川県生まれ。筑波大学教授、神奈川大学教授、国立歴史民俗博物館客員教授、文化庁文化財保護審議会専門委員、江戸東京博物館客員教授、旅の文化研究所所長等を歴任。その関心は民俗学から日本史学、人類学等、周辺諸学におよんだ。柳田賞、毎日出版文化賞特別賞受賞。著書に『江戸のはやり神』『日本の民俗学』『神の民俗誌』『妖怪の民俗学』『山と里の信仰史』『都市とフォークロア』『宮田登 日本を語る』(全16巻)等がある。2000年、没。

「2024年 『柳田國男全集 別巻2 補遺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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