- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480056023
作品紹介・あらすじ
交換と市場、需要と供給、企業・政府などミクロ経済学の基本問題から、国民所得、財政金融政策などマクロ経済学の基礎までを、豊富な例示とたくみな比喩で説く明快な入門書であるとともに、今日の複雑な経済・社会を正しく読み解きたいという読者にむけて、現実の経済・金融問題などを幅ひろくとりあげ解説する、役にたつ生きた「再」入門書である。
感想・レビュー・書評
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初版は1994年。
日本経済新聞を読んでいて、日頃からもっと深読みしたいなと思っていた。ちくま新書は今から25年位前の学生時代、出版される本はどれも興味を喚起させる書名ばかりで、読みたい本がたくさんあり、実際に何冊か読んではいたが、全然追い付かない状態だった。筑摩書房はいい新書出すと好印象をもてる出版社だった。現在は当時ほど注意して書名をチェックしていないのでわからないが、この本はちくま新書の30年前の経済学の本である。
当時の社会状況は今となっては少し古いが、経済学の内容は古くなく普遍的。この本を読んでみて基本的なことを説明するのに、わかりやすさの点で、この本を超える経済学の本はなかなか無いような気がする。ちなみに、著者岩田規久男のちくま新書の本である「マクロ経済学を学ぶ」「日本経済学を学ぶ」もこれから読む予定だ。何とも贅沢、ハズレの可能性もあるが…。ちなみにちなみに、以前岩田規久男は日本銀行副総裁を務めている。
これまで経済の本は数冊読んではいた。しかしこの本のように経済学の初めを言葉の定義から丁寧に経済学の内容を適宜、例を示したり、喩えを用いたりして内容を発展させて説明してくれる本はなかった。既知のことは頭の整理になったし、未知の経済学の特殊な思考を要する部分は、読む速度が異様に落ちたり、止まったりしたが、考えると必ず腹に落ちるように説明されているので、自分に足りない部分を補えるとても良い教科書だと思った。経済学を語れるほどではないので、全体のどのレベルかというのも気になるけどね。
具体的な内容面では、比較優位の原則の所で、職業は1つしかつけないですよ、という説明はとても印象的で、最近自分の力で色々考えて、人が就ける職業って1つだなと気づいたのに、経済学で簡単に説明されている。また、需要(供給)の価格弾力性が大きい(小さい)の説明は、初めて出会った概念で、例に当て嵌めて考えるのにやや時間がかかった。最後に、不完全雇用の方が一般的、というのもそう考えた方が自然だと唸ってしまった。登場した人物はアダム・スミスとケインズで、アダム・スミスは「神の見えざる手」と言ったが、彼こそ神だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良書。経済学の入門書として最適では?簡潔かつ親しみやすい文章で、スラスラ読めます。高速道路の料金や学生の映画割引など、経済学で説明できるものだとは知らなかった。昔の本ではあるけども、最近のシニア割引や京急の有料特急にも当てはめて考えることができるなぁと。満員電車緩和のための料金設定案は本当に実現してほしい。
「神の見えざる手」が労働市場ではすんなりいかない理由、日銀の金融政策が社会に大きな影響を与える訳など勉強になりました。 -
すこし古い本ですが、経済学の基礎をわかりやすく解説している良書です。
著者自身の経済学上の立場を文章の端々に感じることはあり、バランスのとれた叙述といえるかどうかは若干疑問もありますが、読者をみずからの意見に同調させようとすることは控えられており、あくまで経済学の基礎をかみ砕いて解説することに努めているように感じられました。
現在日銀の副総裁としてアベノミクスの経済政策を推進している著者の立場に違和感を覚えているという読者にとっても、有益な入門書ではないかと思います。巻末の文献案内も役に立ちます。 -
書かれたのが1994年で古いが、内容は普遍的なもの。
基本的な経済学の教科書として読める。
まず価格の話から経済に切り込む。価格はどのように決まるのか?価格は世の中にどのような影響を与えるか?という事から、失業の問題や景気変動の問題にまで切り込んだ内容になっている。
しかし、教科書的な内容では現実は全く測れるものとは限らない。
例えば、本書に書かれてる景気後退と失業の問題。景気後退時は企業は雇用を減らす。それにより人件費が減り利益が出て設備投資が増え、利益が増えまた雇用を増やす・・・なんて本当か?と思ってしまう。
理論は理論として必要だけれど、理論によって政策を決めるのは危険だと思う。 -
経済学の基礎が分かりやすく書いてある。
経済学部の授業ってこんな感じなのかな?と思った。
新書に求めちゃいけない気がするが、図があればもっと分かりやすいかと。
私達は物を買うやサービスを受ける時にお金を払います。
この時の「価格」ってどんな役割があるのでしょうか?
実は、価格には物やサービスを誰にどれだけ分配するかを決める役割もあるのです。
価格を上げれば買う人は減り、下がれば増える。
つまり、この法則を使えば、高速道路が渋滞して困っているなら、
価格を上げて利用者を減らすことで解消できるということになる。
言われれば当たり前なんだけど、この考え方って「なるほど!」って感じだ。
価格にはこういう役割もあるんですね。 -
同じ著者が執筆した「マクロ経済学を学ぶ」のもう一つ前、もう一つ基礎的で総論的な内容を解説した本。
具体的にはミクロ経済学の解説が加わっている。
ミクロ経済学は普段接する消費行動と近いところにある内容なので親しみやすくわかりやすい。その分、今まで全く知らなかった眼から鱗的な内容というわけではない。
入門書として「経済学を学ぶ」→「マクロ経済学を学ぶ」の順に読むのが想定されているのだろうけれど、自分の興味の中心はマクロ経済学にあったため「マクロ経済学を学ぶ」から読み始めてしまい、こっちはまぁ読まなくても、という感じだった。
内容は非常にわかりやすくて良書と思う。 -
高校の政治経済や現代社会から少し進んだような内容。「経済学の入門の入門」といったものであり読みやすい。
刊行されたのが90年代半ばであるので、最終章に書かれた読書案内含めて内容が古くも感じるが、バブル崩壊直後、失われた10年、20年と言われる前、平成不況とまだ言われていた当時の目線から書かれており、かえって新鮮味も感じる。 -
経済学の基礎がよく分かる。随所で具体例を上げて説明してあり、より詳しい内容への興味が湧いた。
著者の他の著作にも目を通してより詳しい経済学を学んでいきたいと思う。 -
"カンザキメソッド"志望理由書のルールで
文系「経済学」の推薦図書として紹介されていた本。
「高校では習わない経済学」というプロローグが興味深い。私たちの生活すべてが経済に関わっているのもかかわらず、高校までは、経済学的要素が取り入れられていないということだ。そのことにもいささか問題を感じるが・・。
いずれにせよ、「経済学とは何か」を知るには良い本だと思う。 -
経済学を再学習するために読んだ。
新書なので、経済学ってどういう学問?
ということを知りたい人には適した読み物である。
多少はグラフなどがあってもよかったと思う。
マクロ、ミクロと細分化する前に、そもそも経済学って?という本はあまりないのかもしれない。
けど、冒頭に「経済学とは、私たちの社会において、さまざまな経済活動がどのように営まれ、その営まれた結果が・・・」とあるが、経済学を説明する内容に「経済」って言葉を入れてしまうのは、どうなんだろう・・・。
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(目次)
第1章 経済学の考え方
第2章 市場経済とは何か
第3章 ミクロ経済学の基礎
第4章 現代企業の行動
第5章 市場と政府
第6章 マクロ経済学の基礎
第7章 マクロ経済の安定と変動
第8章 経済学の学び方