経済人類学への招待: ヒトはどう生きてきたか (ちくま新書 13)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480056139

作品紹介・あらすじ

豊かな文明、貧しい未開だなんて、ほんとうにそうなのだろうか。経済成長という死の舞踏を踊りつづける「豊かな」現代文明。コンピュータ・シミュレーションによる未来予測では、大量の生産と消費の果てに二十一世紀末には地球規模のカタストロフィが全人類を襲うという。はたして、現代の経済システムの危機をのりこえる道はあるのか。今こそ、未開社会のモデルから定常と共生の原理を学ぼう。本当の豊かさとは何かを考える現代人のための必読の経済人類学入門。

感想・レビュー・書評

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  • 豊かさの指標を、一日の余暇時間で考え、文明以前の未開の状態の方が豊かであった事。現代のGDPで示す経済状況は、金の介在する活動を示しているだけであり、当てにならないとの論調である。GDPの話はそうだが、余暇時間については、寿命を勘案せずに論が進む事に違和感を覚える。医療技術の発展を切り離して考えたとしても、世界が単一国家ではない限り、防衛のための軍事力、交易で不利益を被らないための余剰資産の生産は必要になるのである。

    昔が良かったという切り口は面白い。しかし、前提が単一国家であれば、論点が違う。評点の難しい図書である。

  • 古びてしまって読むに耐えない。バブル期の関西の裕福な私学の教授がどんなもんだったかを知るにはいい本。

  • 経済人類学の入門書。豊かな現代文明と貧しい未開社会という図式に問題が含まれていることを、いくつかの観点から示している。

    もう少し思想的な側面の紹介を期待していたのだが、贈与経済やコモンズについて紹介した最後の章だけは多少そうした議論がおこなわれているものの、全体としてはやや期待外れだった。

  • 「経済成長とは何か? 豊かさとは何か?」ということに関して、読者に新しい視点とともに再考を迫ってくる書。

    「未開社会は貧しくて、知能が低くて、その日暮らしの原始的な生活を営んでいる」とする、未開社会への偏見のほとんどは虚構であり、彼らは調和的な倫理観にもとづいた社会経済を営んでいた。

    人の営みと切り離せない経済、しかし、「経済性」を有しているのは、文明化・近代化された社会だけなのだろうか。人が生きるのにもっとも大切なものは何なのかを考える、経済人類学の入門書。

  • 豊かさとはなんだ?
    この本では自由時間と定義してます。24時間は平等に与えられていて、そこから睡眠時間と労働時間を引いたものが自由時間。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。京都大学仏文学科卒業。同大学院(旧制)修了後、パリ大学高等研究院に留学。元・大手前大学教授、甲南大学名誉教授。著書:『食具』、『もののけ Ⅰ・Ⅱ』(ものと人間の文化史)、『ロマンの誕生』、『現代フランスの文学と思想』、『経済人類学への招待』、『タブーの謎を解く』。訳書:マンデル『カール・マルクス』、マレ『労働者権力』、サーリンズ『人類学と文化記号論』『人類学と文化記号論』、ゴドリエ『人類学の地平と針路』『観念と物質』『贈与の謎』、プィヨン編『経済人類学の現在』、ロダンソン『イスラームと資本主義』、トマス『人間と自然界』、アタリ『所有の歴史』、テスタール『新不平等起源論』ほか。2006年死去。

「2014年 『贈与の謎 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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