カント入門 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.59
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本棚登録 : 904
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480056290

作品紹介・あらすじ

真理の最高決定機関であるはずの理性が人間を欺く二枚舌をもつとしたら、一大事ではないだろうか。この理性の欺瞞性というショッキングな事実の発見こそが、カント哲学の出発点であった。規則正しい日課である午後の散歩をするカントの孤独の影は、あらゆる見かけやまやかしを許さず、そのような理性の欺瞞的本性に果敢に挑む孤高の哲学者の勇姿でもあったのだ。彼の生涯を貫いた「内面のドラマ」に光をあて、哲学史上不朽の遺産である『純粋理性批判』を中心に、その哲学の核心を明快に読み解き、現代に甦る生き生きとした新たなカント像を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 世界は存在しない!時間や空間はない!

    相対性理論や量子論などが発見される前に脳の中の思考のみで宇宙の真理にたどり着いたカントがすごい。

    カント曰く時間や空間はないものであるということだ。あるとも言えるしないとも言える。ただし絶対的な意味での時間や空間というものはない。 人間から見た時に初めて時間や空間というものがあると言える。 人間は時間と空間に縛られているのであたかも絶対的にあるものと思い全てを考えてしまう。この理性をカントは批判している。これが純粋理性批判である。

    どうやって時間や空間がないものであるかを証明したかと言うと、
    ①もし時間が無限であるとすると、私たちが感じている今この瞬間というもの以前にも無限の時間が経過していることになる。無限の時間ということは一生たどり着くことのない時間という意味である。それなのに現在という完結した時間がある。そこに矛盾が生じる。 無限なのに辿り着いているからである。つまり時間は有限である。
    ②もし時間が有限(始まりがある)であるとすると、その始まり以前には空虚な時間があることになる。何もないところから何かが生じることになる。無から有が生ずることだ。 これはあり得ないことなので、それにより時間は無限であるということになる。

    これにより時間は有限でもあるし無限でもあるという矛盾を生じる。時間があるものとして極地まで思考を飛ばすと矛盾を生じる。つまり時間はないのだ。
    しかし人間は時間と空間があるものとして世界を認識してしまう。よって人間の理性というものが信用できないということをカントは発見した。

    このように極地まで話題を持っていくと理性や言語そのものが矛盾を生じることになる。 日本から見れば北極は北の方角だがもし北極点まで行けばもう北という概念は成立し得ない。所詮言葉も人間が作り出したものなので万能ではないのだ。つまり絶対ではない。 北極点まで達した時点で北という言葉の存在が 怪しくなる。

    カントは人間が三次元四次元までの世界に縛られていて、それより高次の次元については思いも至らないということに18世紀に気づいている。

    アインシュタインは数学によって時間や空間が絶対的なものではないことをを発見し、カントは言葉によって時間や空間が絶対的なものでないことを発見した。

    また、知性の種類を分解していくことによりダーウィンより先に進化論を発見していた。

  • 「哲学は難しい」というイメージを絵に描いたようなカント。

    わたしの経験では、「永久平和のために」は、あっさりと読めてしまったのだけど、主著とされる「純粋理性批判」は、全く歯が立たない。1ページも読めない感じですね。

    カント自身による入門書ということになっている「プロレゴメナ」も数ページでギブアップ。

    「日本語への翻訳が難しくしているだけで、日常的なドイツ語としてはそんなに難しくない」とか、「インドーヨーロッパ系の言語である英訳で読むと、意味が通じる」みたいなことをいう人もいた気がするが、アメリカで政治思想のコースを取ったときの先生も、「正直言って、カントは何言っているか、わからない」と言っていました。

    やはり「カントは難しい」のだと思う。

    さて、そういうわけで、「純粋理性批判」を読む日がやってくるとは、思わないけど、どうも、そこが近現代の哲学の出発地点であるようで、いろいろな哲学者がそこに言及しながら、議論を進めることが多いので、まったく無視するわけにはいかない感じがしている。

    あと、アーレントの主著を年内に読破するプロジェクト(?)の最後にそびえ立つのは、難解なアーレントのなかでも最も難易度が高いとされる「精神の生活」で、これを読むためには、カントの3批判を理解するのが前提条件となる。というのは、「精神の生活」は3部作として構想されていて、内容的には、概ね、カントの3批判に準じる順番になっているらしい。。

    というわけで、新書でカントに入門することにした。

    入門といっても、結構、難しい。が、大きな見取り図というか、どういう問題意識をもって、カントがなにを、どう考えようとしていたのかというところがとてもよくわかった。(カントは、思考の結果を本にして、そのプロセスはあまり書かないのでわかりにくいという面があるようですね)

    何が問題なのか?がわかると、だいぶ、接近できる可能性が増える感じがする。

    なるほどと思ったら点はいろいろあるが、1点だけ紹介すると、「純粋理性批判」でやろうとしていたのは、形而上学が、考えることができる領域とそうでない領域を線引きしたこと。

    カントの時代には、論理的に考えれば、なんでも理解できるという思想が主流だったらしい。その中心のヴォルフは、同一律と矛盾律。つまり、A=Aというロジックですべては説明できるという考え。

    一方、カントは、ロジックをどんどん遡っていくと証明不可能な命題にたどり着くと考えた。

    たとえば、「世界は空間・時間的に始まりを有する」ということは説明できない。
    というか、その反対の命題「世界は空間・時間的に無限である」と同様にどちらも正しいと論理的に証明できてしまうという矛盾。

    カントは、この問題は、空間・時間のなかにいる我々にはもともと説明できる範囲を超えた問題であると考える。

    こうした線引きをすることで、いわゆる「物自体」はわれわれの認知の範囲外であり、知りえない。われわれは、認知の限界の範囲で哲学すべきである、ということのようだ。

    これによって、伝統的な形而上学のお題だった「神」「自由」「魂の不死」は、学問としての形而上学から排除されることになった、そうである。

    そういう話だったわけか!!!

    と驚きつつ、それって、ウィトゲンシュタインが「論理哲学論考」でやったことと同じじゃないの?という疑問もわく。

    ウィトゲンシュタインが「哲学的な「問題」への最終解答」と言っていたのも、「語り得ること」と「語りえない・沈黙すべきこと」を峻別することのはず。。。

    カントがずっとさきにこの峻別を行なっていたとするなら、ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」がどうしてそんなに衝撃的だったのか、どこが新しい発見だったのかがわからなくなった。

    まあ、そんな感じで、まだ、カントの著作を読む気力はないが、カント関係の入門書を将来の読書リストに入れておくことにする。

  • たいていのカント入門書は『純粋理性批判』の構成通りに解説が進んでいくが、この本はアンチノミー論(超越論的弁証論)を軸にして進んでいく。この構成のおかげで、カントがなぜ超越論的観念論という一見奇妙にも思える主張をしたのかがよくわかるようになっている。すぐれた入門書といえる。

  • カントの入門書として分かりやすいと聞いたので読んでみた。
    「二律背反」という、聞いたことあるけど、あんまりよく分かってないことについて理解が深まった気がする。
    ただ、一度読んだだけでは、理解しきれていない感が否めない。
    また、再読するか、他のカントについての本を読む機会を持つ必要を感じた。
    けれども、難解なことを要点をつまんでできるだけ分かりやすく理解させようとしている点で、やはりカントへの入口としてはいいのではないかな、と思う。

  • カントを通して、目的と手段のエセ関係と根本目的を学ぶ。本文に回心とあるような、哲学する醍醐味を存分に味わった。たしかに生きることに厳格な哲学だ。真の批判だ。

    ・哲学においては定義は出発点ではなく、むしろ目標とすべき終着点。
    ・根本真理は原理的に証明不可能。
    ・アプリオリは先天的と訳すのではなく、経験に由来しないという意味。
    ・仮言命法と定言命法。
    ・定言命法は有限な人間にあっては、大なり小なり「~にもかかわらず」という意識を伴う。
    ・道徳法則は、その起点(理性)から落着点(感性)の方向において命法となる。
    ・悪への性癖は英知的所行。根源的である自由に基づいているから。
    ・現代的意味とは何であろうか。現代的意味があればあるほど、束の間の意味しかないということ。現代的意味を問うパラドックス。もし、ある哲学が時代の制約を受けながらも、どの特定の時代にも拘泥せずに営まれたものであるとすれば、その意味を問う者は時代を超えたスケールをもってしなければならない。

  • 哲学の基礎知識が不足していたためか、難解でした。初心者はもう1冊読んだ「純粋理性批判入門」のほうが理解しやすいと思います。
    認識論はとても興味深い。誰でも自分の見えている世界は存在するのかと考えたことがあるかと思います。カントは現象と物自体で論理を展開していきます。素朴にあると思っている世界が様変わりするのは痛快です。考え出すと眠れなくなります。

  • 分かりにくかった

  • やー面白かった

    これ読みはじめて、うわ、これあかんわ、と、フランシス・ベーコンまで遡ったのは、あれは去年の末のほうか?戻ってきて読み終わるまでに半年以上かかってる、、、

  • 面白かった。
    カント自身の著作は何度も挫折してしまったが、この本は分かりやすくカントの大まかな思考に触れることが出来た。
    第5章の2部で定言命法についての考察が書かれているのだが、ここで述べられている「道徳的仮象」、「動機づけの倫理にひそむパラドックス」の事例は、本当にその通りだと思う。

  • カントの三批判書プラス『単なる理性の限界内における宗教』の内容について、原書の章立てに拘らずに再構築して簡潔に紹介した本。

    アンチノミー論を軸に、カントが何を疑問に思い、なぜそう考えるに至ったのかという視点が示されている点が分かりやすく、非常に工夫を感じた。はっきりといえば、本書も十分に難解であり、高校現代文の問題を解いているような気分になることも多々あった(「それ」が指すものはなに?的な)が、完全な迷子にならずに最後までついていけたのは、構成の勝利だと思う。

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