日本古典への招待―古典を楽しむ九つの方法 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 36
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480056900

感想・レビュー・書評

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  • 文学だけでなく、絵巻物、能楽まで含めた古典入門エッセイ。源氏物語がお目当てだったので他は飛ばし読みしたが、とはずがたりのところは面白かった。

    源氏など古い書物は活字になる前は写本で広まったため、自筆オリジナルは存在しがたい。写本の際に誤字があったり読めない筆跡を推測したりして写すこともあれび、また書き手が自分のために書いたコメントなども、次の写し手によって写されたりすることもある。当然全文ではなくほしい箇所だけ写すこともある。オリジナルからは少しずつ離れてゆくことを前提に古典を読もう。

    現代語訳は訳者の思い入れや現代のフィルターがどうしてもかかる。例えば寂聴さんが訳する「とはずがたり」の二条は私小説に寄せていて女の情念を全面に描かれており出家の巻がだいぶ省略されているし、永井さん杉本さんの二条像は、70年代当時に進歩的だった女性がもっていた女性観による価値フィルターを通しているので、軽蔑すべき愚かな女となっている。どちらにしても、訳者の解釈がおおいに盛り込まれているので、現代語訳を鵜呑みにするのではなく、自身の目で見、自分の読み方をするのでなければ、古典とつきあったことにならない。

    余談だけど、涅槃図では猫は滅多に登場しないらしい。仏教における猫、今度調べてみよう。

  • 若い読者に向けて、日本の古典文学や演劇などのたのしみかたを紹介している本です。

    最初は、努めて軽い語り口で書かれているところにかえって読みにくさを感じてしまいましたが、古典に縁のない若い読者がその世界のおもしろさをすこしのぞき込むことのできる内容になっていると思います。それはともかく、1996年の刊行なのに、田中康夫を参照しているのはどうなのだろうかという疑問を感じてしまいます。

  • [ 内容 ]
    日本の古典文学がとっつきにくいのはなぜなのだろう?
    それは、国文学という学問の世界に閉じこめられているからだ。
    では、芸能や絵画や生活を楽しむのと同じように、説話や物語の世界の面白さを満喫する方法はないものだろうか?
    本書では、博物館でデートしたり、都大路の怪異スポットを探検しながら古典を楽しむ方法をお教えしよう。
    どんな遊びにも基本的なルールがある。
    一見ミーハーと呼ばれる態度に撤しつつも、いつのまにか王道を進むポップな日本古典案内。

    [ 目次 ]
    第1章 博物館でデート
    第2章 ミーハーと呼ばれてもいい
    第3章 おいしい古典
    第4章 自己流「大河ドラマ」を作ろう
    第5章 歴史小説とタネ本のあいだ
    第6章 ゴヒイキを作ろう
    第7章 京都怪異散歩
    第8章 『源氏物語』は誰が書いたのか?
    第9章 おたく的文章の楽しみ

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著者プロフィール

一九六〇年、京都生まれ。広島大学大学院博士課程修了。甲南大学文学部教授。中世国文学。著書『<悪女>論』(紀伊國屋書店)、『外法と愛法の中世』(砂子屋書房)ほか。

「2017年 『図説 百鬼夜行絵巻をよむ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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