最後のロシア皇帝

  • 筑摩書房 (1998年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480057679

みんなの感想まとめ

ニコライ2世の人間的側面に焦点を当て、彼の生涯を通じて帝政ロシアの終焉を描いた作品は、歴史の流れを直視しなかったことがもたらした悲劇を浮き彫りにしています。読者は、彼の複雑な感情や状況に共感し、時代背...

感想・レビュー・書評

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  • ニコライ2世の人間的側面に焦点を当て、帝政終焉を招く経緯を述べる。
    時代の流れを直視しなかったことが、ロシア的なロシアとしてのソフトランディングを不可能にさせ、全体主義的な暗黒時代を招いたとする。
    イギリ映画「ニコライとアレクサンドラ」の副読本、もしくは映画の方が本書の映像教材とみなせるほど、内容的に通じるものが多い。

  • この本を読んでかなりびっくりしたことは、ロシア革命(というよりはロマノフ王朝滅亡)のまさにその時に、ニコライ二世は一番の当事者であるにも関わらず首都にはいなかったという事実と、醜聞まみれのラスプーチンは実は第一次大戦へのロシア参戦に大反対し、革命運動激化を考慮して農民層の減税などを皇帝に進言するような一面をも持った人物だったということでした。  

    ま、逆説的に言えば、それだけロシアの政治に口を出していた人物だったとも言えるわけだけど、少なくともニコライ二世はその進言に動かされたことはなかったようだし、だからと言ってラスプーチンが何かをしたということもなさそうだし、要するに KiKi が手前勝手に思い描いていた権勢欲みたいなものがあった人物というわけではなかったみたい・・・・・。  しかも金銭的にも決してゴウツクバリというわけではなく、個人財産を溜め込むことにはまったく無頓着だったとのことなので、要は皇帝一家に近づきすぎた普通の人(まあ、新興宗教の教祖みたいな人だから普通ではないけれど ^^;)だったのかもしれません。

    ラスプーチンを稀代の悪人にしたてあげたのは当時のロシア宮廷と革命政府、そして図らずもその遠因を作っていたのは彼を信頼していたアレクサンドラ皇后ということなのかもしれません。

    いずれにしろ最後の皇帝一家惨殺の模様は陰惨を極め、その後の一家の遺骸の扱い方を見ると、それまでの圧政に対する報復という面もあるかもしれないけれど、それ以上に人間性の欠如みたいなことを感じずにはいられません。  否、人間というこのどうしようもない生き物は本来残虐性に満ちた生き物なのかも・・・・・。  

    個人的にはニコライ二世もアレクサンドル皇后もあの大国ロシアの絶対統治者としての器ではない人物(よき家庭人という感じ?)だったと感じられました。  いずれにしろ、一家の死の後にあの「得体の知れない、秘密主義の、謎のヴェールに包まれたソ連」ができあがったことはまぎれもない事実で、その原点がこの一家の惨殺事件にあったようにも感じられました。

    (全文はブログにて)

  • 10/07/29 ニコライ2世に同情的である。わかる気もする。

  • 最後のロシア皇帝ニコライ2世の生まれから最後、そして彼の死後のことまで詳しく述べられており、リアルな描写はまるで自分が帝政時代のロシアを生きているような錯覚すらさせる。

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著者プロフィール

うえだ・しげる
1940年生まれ。東京外国語大学ロシア科卒業。NHK記者として、元モスクワ特派員(旧ソ連・東欧担当)、ワルシャワ移動特派員(ワレサの連帯運動)、テヘラン移動特派員(ホメイニ革命、イラン・イラク戦争)、解説委員。元・日ロ交流協会 顧問、副会長。
著訳書に『カーター回顧録』(共訳、持田直武 他訳、日本放送出版協会、1982年)、『新・ロシア人 上・下』(共訳、ヘドリック・スミス 著、飯田健一 監訳、日本放送出版協会、1991年)、『最後のロシア皇帝  ちくま新書』(植田樹 著、筑摩書房、1998年)、『コサックのロシア  戦う民族主義の先兵』(植田樹 著、中央公論新社、2000年)、『チェチェン大戦争の真実 イスラムのターバンと剣』(植田樹 著、日新報道、2004年)、『キャラバン・サライのロシア  歴史・民族・地政学 上・下 ユーラシア選書8・9』(植田樹 著、東洋書店、2008年)、『ロシアを動かした秘密結社 フリーメーソンと革命家の系譜』(植田樹 著、彩流社、2014年)、『諜報の現代史 政治行動としての情報戦争』(植田樹 著、彩流社、2015年)、『デーモンの画家ミハイル・ヴルーベリ その生涯と19世紀末ロシア』(植田樹 著、彩流社、2016年)、『ロシア・ナショナリズムの深層 ドストエフスキーの視線から』(植田樹 著、彩流社、2019年)などがある。

「2022年 『ロシア民族精神の深淵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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