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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480057730
みんなの感想まとめ
物語の核心には、語りの重要性があり、歴史的背景や日本社会との関連性が深く掘り下げられています。『平家物語』は、単なるフィクションにとどまらず、語り手の声を通じて生き続ける文化的遺産としての側面が強調さ...
感想・レビュー・書評
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同じ筆者の『平家物語の読み方』のほうが、新しくよくまとまっている印象。
紅白の概念が平家物語に由来するとは、実は最近知ったのだけど、そう思うと今日の日本社会にも充分根付いている。
物語はフィクションだけれど、その影響が今の私たちに繋がっていると考えると面白い。
「その対抗形式じたいが、日本社会という全体の枠組みを保証している。日本的な内乱の形式が、日本的な「祝祭」のスタイルをつくりだしたのである。」
「物語世界は文字テクストとして在るのではない。それは語られるそのつど、語り手の声をとおして一回的に呼びおこされる。」
平家物語を語ることの意味とは、何か。
その背景を知ることの魅力は大きい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『平家物語』の内容を時代背景のなかに置いて紹介するとともに、それがテクストとして定着する以前に「語り」として人びとのあいだにつたえられてきたことの意義を論じている本です。
「語り」としての『平家物語』にいち早く着目したのは、民俗学者の柳田國男でした。柳田はとりわけ、鬼界ヶ島に流罪となりただひとり京に帰ることを許されなかった俊寛をめぐるエピソードに着目し、彼の娘の手紙をたずさえて島にわたった有王が高野聖となり、「語り手」としての役割を演じたことの意義について考察をおこないました。
一方で、テクストとしての『平家物語』の成立にかんしては、筑土鈴寛が柳田の説の修正をおこない、慈円のもとにつどう「供僧」たちによってまとめられたという見解を提出しました。しかし著者は、たんに成立論の観点に立って「語り」からテクストへと移行がなされたことを見るだけでは、『平家物語』における「語り」の意義を十全にとらえたことにはならないと批判します。むしろテクストは、「平曲」というかたちで語られるたびごとに、「語り」の発生した〈起源〉へと反復的に回帰するのであり、そのことが「盛者必衰の理」のもとで死んでいった者たちへの鎮魂の意義をもつと著者は考えます。
「語り」という観点から『平家物語』の意義を考察することは、高木市之助などの研究者たちもこぞってとりあげてきたテーマですが、本書では文章の表層に現われてはいないものの、現代の文学理論を踏まえたうえであらたにこの問題を考察しなおす試みがなされており、興味深く読みました。 -
平家物語を語り物として捉える観点は兵藤裕己さんがこの書でやったことであり、一般読書にんにも面白く読めるように作られています。
特に、平家物語の存在意義と鎮魂の役割の話は面白い。平家を学ぶ上では欠かせない一冊ですし、日本文学をやるなら一度は読んでおきたい作品です。考え方が強くなります。 -
[ 内容 ]
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」に始まる詠嘆口調の名調子と雄渾無双のスタイルで、今も人々の心を魅了する『平家物語』。
それは浄土教信仰による終末論と無常観を背景に、源氏と平家の興亡を通して人の栄華のはかなさを描いたものとされている。
しかしこの物語には、武家政権を王朝の秩序に組み入れるという、王権の側の隠された意図があった。
「語り」から「文字」へのテクスト生成の現場を検証し、日本史と国文学の境界を超えた斬新な入門書。
[ 目次 ]
第1部 歴史の構想(祇園精舎 清盛と重盛 頼朝の挙兵 源平交替史)
第2部 反転する世界(終末の不安 怨霊・天魔・物の怪 テクストの流動)
第3部 「平家」語りの生成(語りのネットワーク 鎮まらざるもの 悪人の往生 潅頂巻の成立)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
『平家物語』がなにがしかの〈歴史〉を語るテクストであるととらえたとき、そのような〈歴史〉を〈語る〉=〈騙る〉ことの持つ意味とは何か。〈歴史〉をカタることの政治性、というのは、じつは現代的でアクチュアルな問題だと思うし、そういう意味でも非常に興味深く読めました。同様の内容は<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894761564/toraushi-22/" target="_blank">『物語・オーラリティ・共同体』</a>に収録されているいくつかの文章と、内容的には重複しています。が、やっぱり面白い。(20070227)
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