知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代 (ちくま新書)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058256

作品紹介・あらすじ

日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。

感想・レビュー・書評

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  • いいと思う。

  • 発刊は1999年だったが、今の時代にも適応される考えが記載されている書物のように感じた。
    自社がSECIモデルで経営できているかや、知識経営のステップに照らすと道のりは遠いように見える

  • 暗黙知と形式知のフローがわかり易く、キレイにまとまってる。

  • やはりデカルト的思考からの脱却がなされない限り、個の自己超越、組織の形式知のブラッシュアップは困難である...。

  • 新書だが、とてつもなく中味が濃い。本当は「知識創造企業」を読みたかったが、分厚くて断念し、この本で済ませようと思ったのだが、甘かった。新書は、通常1−2日で読むが、4日もかかってしまった。概念的・抽象的な話が多いので、噛み砕くのに時間がかかる。噛み砕けば、よく理解できる。

    目次
    第1章 情報から知識へ
    第2章 二十一世紀の経営革命
    第3章 第五の経営資源
    第4章 「場」をデザインする
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営


    〜ポイント抽出〜
    第1章 情報から知識へ
    p13 米国企業がKMへ向かう理由
     (1) 企業の内部資源への注目
      コア・コンピタンス経営、リエンジニアリングの反動、アジル競争
     (2) 知識・デジタル経済への注目
      IBMやGEのサービス志向

    p19 クリントンーゴアの経済政策三点セット
     インターネット(新国家情報基盤)
     シリコンバレー(新産業地域)
     企業価値経営(高株価・強いドル)

    p23 知識を活かす経営とは
     (1) 知識を用いて競争力を高める
     (2) 知識を核に事業を再構築する 従来型の製造業から知識製造業へ
     (3) 知識が商品そのものになるーソフト・コンサル・教育・エンタメ

    p33 知識の経済的特性
     (1) 減らない=収穫逓増資源(Increasing Returns)
     (2) 移動できる=非有限的資源(Mobility)
     (3) 使うは創る=生産と使用の非分離(Continuous Evolution)
        →ユーザエクスペリエンス、プロシューマ
     (4) 意味の経済=文節による価値創出(Categorization)

    第2章 二十一世紀の経営革命
    p55 狭義のナレッジマネジメント
     「知識の共有・移転、活用のプロセスから生み出される価値を最大限に発揮させるための環境の整備とリーダーシップ」

    p70 ナレッジマネジメントの4つのタイプ
     横軸 知識資産活用目的 改善<=>増価
     縦軸 知識資産活用手段 集約<=>連携
     改善&集約=ベストプラクティス型(組織的知識資産集約と活用)
     改善&連携=専門知ネット型(リアルタイムに組織知をネットワーク)
     増価&集約=知的資本型(知識資産からの収益創出)
     増価&連携=顧客知共有型(顧客知による成長)

    p81 ナレッジマネジメントのイネーブラー
     (1) イニシアティブ(率先・牽引役の存在)
     (2) 組織支援(知識コミュニティへの住民参加)
     (3) 知識業務環境(情報技術利用)

    p95 知識経営の発展段階
     第一段階:知識共有と活用=ナレッジ問題を解決する
     第二段階:知識ベースで事業展開=知識創造と知識資産のダイナミックな連携
     第三段階:知識経営企業=組織デザインとリーダーシップ、企業革新

    第3章 第五の経営資源
    p102 「知識はいつでも正しいとは限らない。知識とは、これまでのところ正しい「真」だと信じること。」

    p109 「情報の受け手が自分の知識として獲得するには、「文脈」のギャップを埋めてやる必要がある。」
       情報の受取り+文脈理解=自分の知識

    p111・P122 SECIモデル
     共同化(Socialization)  暗黙知からあらたに暗黙知を得るプロセス
     表出化(Externalization) 暗黙知からあらたに形式知を得るプロセス
     結合化(Combination)   形式知からあらたに形式知を得るプロセス
     内面化(Internalization) 形式知からあらたに暗黙知を得るプロセス

     共同化 個対個、場、経験の共有、歩き回り、「私」は相手の中に「入り込む」
     表出化 言語化・図像化、形式知化、共有化
     結合化 他部門・外部からの形式知の取込み、伝達・共有のための情報技術
     内面化 身体化、OJT・研修

    p119 IBM Knowledge Management Institueのプルーサック
    「知識は現場的で(local)粘々していて(sticky)、状況によって変わってしまう(contextual)」
    知識は暗黙知を根に組織に生態している。

    p121 「企業の強み、他社には模倣のできないコンピタンスの多くの部分は、暗黙知から成っている。」
    p121 個人・集団・組織が自己発展・自己超越する。主観的問題。

    p129 知識は未活用・未整備の資産
     組織の壁、知識の断片化
     その背景は、市場・製品の複雑化、組織の複雑化

    p135 知識資産の構造的分類・機能的分類
     構造的分類(知識資産はどこにあるのか?)
      市場知識資産(市場知・顧客知)
      組織的知識資産(組織知・人間知)
      製品ベース知識資産(製品知)
     機能的分類(知識資産はどんなタイプか?)
      経験的知識資産(経験・文化・歴史)←共同化
      概念的知識資産(コンセプト・ブランド・デザイン)←表出化・形式知化
      定型的知識資産(ドキュメント・マニュアル・フォーマット)←結合化
      常設的知識資産(実践法・プログラム・ガイド・教育システム)←内面化
     意味的分類(知識ビジョンは何か?)
      その表現方法:知識マップ・系統樹・ネットワーク図など
      知識資産の分類や構造が固定化されないことも大事。

    p154 知識経営のモデル
     (1) 知識資産の開発・調達・維持
     (2) 知識創造プロセスのリード
     (3) 知識資産の共有・移転・活用
     (4) 知識資産の蓄積
     (5) 知識資産からの収益創出
     (6) イノベーション・問題解決・知識提供による収益創出

    p155 知識経営への取り組みの景気
     (1) 事業変質の閾値
       事業や製品内容の変化が閾値に達していない場合、KMはリアリティを持たない。
     (2) 効率化(知識ワークの生産性)への要求
     (3) 知識資産の利回りの向上
     (4) 知識資産からの収益期待
     (5) 知識社会へのビジョン

    第4章 「場」をデザインする
    p161 「場」とは
       「共有された文脈ーあるいは知識創造や活用、知識資産記憶の基盤になるような物理的・仮想的・心的な場所を母体とおする関係性」
       文脈(その場にいないと分からないような脈絡・状況・場面の次第・筋道)と、その場にかかわる人々の関係性
    p163 知識経営=f場(知識資産・知識創造)・・・(知識経営は場の関数)
    p165 哲学者西田幾多郎「場とは経験の生まれるところ」
    p165 暗黙知は身体的・感覚的な環境との交わりから生まれ、身体的共経験を介して伝達する
    p165 知識は、文脈・状況を補うことで初めて外部に伝達したり記憶したりできる
    p167 場は、SECIプロセスを実際に駆動させる媒介・触媒

    p169 場の4タイプ
     共同化:創発場(Originating Ba)
      個対個、時間・空間の同時性、物語・エピソード・手柄話、アフォーダンス、ハーレー
     表出化:対話場(Dialoguing Ba)
      ディスカッション、アイデア・マップ
     結合化:システム場(Systemizing Ba)
      サイバースペース、工場、ベストプラクティス
     内面化:実践場(Exercising Ba)
      学習の場・研修の場、OJT、顧客への商品説明

    p178 知識創造<==>場<==>知識資産
    p179 場所的記憶パターンは人間の脳内にある
       場所ニューロン:ある場所におこなった時にだけ発火する

    p180 形式知<==>場(文脈と参加者の関係性)<==>意味的情報

    (書きかけ)
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営

  • 「ナレッジマネジメントとは、簡単にいえば、個々人の知識や企業の知識資産を組織的に集結・共有することで効率を高めたり価値を生み出すこと。そして、そのための仕組みづくりや技術の活用を行うことです。」 (P7)

    この本は、知識経営(ナレッジマネジメント)を説明しようとしている本です。
    この知識経営という概念自体は活用できれば面白そうな概念に感じました。

    が、3回ほど読み返しても、概念の説明なのか、具体的方法の提示なのかよくわからず。
    また、見返しには「大転換を迫られている日本的経営の未来を探る」みたいな記述もあり、この本の目的がどうにもはっきりしない。
    そういう点から、残念ながら、概念もはっきりしなかったし、即実践・活用とはいかないだろう。
    「知識経営」という言葉とその意義がわかった点では良かったが、もっとよい入門書があるだろうからそちらを読むべきと思います。

  • 知識を第五の経営資源と位置づけ、知識を中核に据えた組織経営を提起している、のだが、本の分量に比してかなり大きなフレームワークであるため、一冊だけで概要をとらえるのはかなり難しい。ものごとの整理で個別に参考になることも多く、読むべき本であることは間違いないが、関連書籍も何冊か押さえるべき。

  • 自分の組織への適用エクササイズ。

    狭義のナレッジマネジメント:知識の共有・移転・活用
    +知識ベース事業
    +知識経営組織、組織デザインとリーダーシップ、組織改革

    ・知識創造プロセス
    暗黙知
    ↓ 共同化 (創発場)
    暗黙知
    ↓ 表出化 (対話場)
    形式知
    ↓ 結合化 (システム場)
    形式知
    ↓ 内面化 (実践場)
    暗黙知
    以上を、個人、集団、組織の各レベルで

    ・分類
    知識資産の把握、議論、活用のための分類
    構造的分類
    機能的分類

    ビジョンの把握、議論、活用のための分類
    意味的分類

    ・観察→定義→分類→仮説(測定のための)→活用→検証→フィードバック

    ・ハイパーテキスト型組織
    自律的な知識創造プロセスをまわす
    発展的、多元的、動態的

  • なんとなく読んでみたが、畑違いでも全く得るものなし……ということはなかった。

    一般論やグローバルな視座での話をしておきながら、終盤も終盤において、通俗的な理解のもと各国の哲学者を挙げながら、(ページ数にして若干ではあるが)日本特殊論を示唆するのは極めて興味深い。
    こう言ってよければ、PLANETS 8のようだ。

  • 「知識経営」(ナレッジ・マネジメント)を、従来よりもいっそう包括的な視点から捉えなおそうとする本です。

    90年代半ばから欧米で関心が高まった「知識経営」は、個人の知識や企業の知識資産を組織的に集結し、共有することで、効率を高めたり価値を生み出すこと、そして、そのための組織作りや技術の活用をおこなうことを意味します。しかし著者たちは、従来の知識経営が、私たちの「頭の中にある」知識よりも、データベースなどに蓄えられた情報が対象となっており、それを応用する「知識管理」の段階にとどまっていたと述べます。

    知識経営は、知識ワーカーたちの組織的行為を通じて、単に知識を活用するだけでなく、新しい価値を創出するような経営として捉えられる必要があります。本書ではそうした知識の活用による価値創出のプロセスを説明するために「SECIプロセス」というモデルが示されています。これは、知識の「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「結合化」(Combination)、「内面化」(Internalization)から成り、知識ワーカーたちの体験が共同化されることで言葉へともたらされ、組織の「知」にまで成長し、それが個々人に内面化されることで、それに関わった人びとがひと回り大きく成長する……というプロセスを表わしています。

    さらに著者たちは、こうした知識による価値創出がおこなわれる「場」についての理論への展望をおこなっています。そこでは、アフォーダンスや現象学、M・ポランニーの暗黙知の理論や、西田幾多郎の場所の哲学などとのつながりが示唆されていて、おもしろそうに思えます。ただ、その内容は十分に展開されておらず、もどかしく感じました。

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著者プロフィール

野中郁次郎(一橋大学名誉教授)

「2019年 『賢者たちのダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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