知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代 (ちくま新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058256

感想・レビュー・書評

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  • 新書だが、とてつもなく中味が濃い。本当は「知識創造企業」を読みたかったが、分厚くて断念し、この本で済ませようと思ったのだが、甘かった。新書は、通常1−2日で読むが、4日もかかってしまった。概念的・抽象的な話が多いので、噛み砕くのに時間がかかる。噛み砕けば、よく理解できる。

    目次
    第1章 情報から知識へ
    第2章 二十一世紀の経営革命
    第3章 第五の経営資源
    第4章 「場」をデザインする
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営


    〜ポイント抽出〜
    第1章 情報から知識へ
    p13 米国企業がKMへ向かう理由
     (1) 企業の内部資源への注目
      コア・コンピタンス経営、リエンジニアリングの反動、アジル競争
     (2) 知識・デジタル経済への注目
      IBMやGEのサービス志向

    p19 クリントンーゴアの経済政策三点セット
     インターネット(新国家情報基盤)
     シリコンバレー(新産業地域)
     企業価値経営(高株価・強いドル)

    p23 知識を活かす経営とは
     (1) 知識を用いて競争力を高める
     (2) 知識を核に事業を再構築する 従来型の製造業から知識製造業へ
     (3) 知識が商品そのものになるーソフト・コンサル・教育・エンタメ

    p33 知識の経済的特性
     (1) 減らない=収穫逓増資源(Increasing Returns)
     (2) 移動できる=非有限的資源(Mobility)
     (3) 使うは創る=生産と使用の非分離(Continuous Evolution)
        →ユーザエクスペリエンス、プロシューマ
     (4) 意味の経済=文節による価値創出(Categorization)

    第2章 二十一世紀の経営革命
    p55 狭義のナレッジマネジメント
     「知識の共有・移転、活用のプロセスから生み出される価値を最大限に発揮させるための環境の整備とリーダーシップ」

    p70 ナレッジマネジメントの4つのタイプ
     横軸 知識資産活用目的 改善<=>増価
     縦軸 知識資産活用手段 集約<=>連携
     改善&集約=ベストプラクティス型(組織的知識資産集約と活用)
     改善&連携=専門知ネット型(リアルタイムに組織知をネットワーク)
     増価&集約=知的資本型(知識資産からの収益創出)
     増価&連携=顧客知共有型(顧客知による成長)

    p81 ナレッジマネジメントのイネーブラー
     (1) イニシアティブ(率先・牽引役の存在)
     (2) 組織支援(知識コミュニティへの住民参加)
     (3) 知識業務環境(情報技術利用)

    p95 知識経営の発展段階
     第一段階:知識共有と活用=ナレッジ問題を解決する
     第二段階:知識ベースで事業展開=知識創造と知識資産のダイナミックな連携
     第三段階:知識経営企業=組織デザインとリーダーシップ、企業革新

    第3章 第五の経営資源
    p102 「知識はいつでも正しいとは限らない。知識とは、これまでのところ正しい「真」だと信じること。」

    p109 「情報の受け手が自分の知識として獲得するには、「文脈」のギャップを埋めてやる必要がある。」
       情報の受取り+文脈理解=自分の知識

    p111・P122 SECIモデル
     共同化(Socialization)  暗黙知からあらたに暗黙知を得るプロセス
     表出化(Externalization) 暗黙知からあらたに形式知を得るプロセス
     結合化(Combination)   形式知からあらたに形式知を得るプロセス
     内面化(Internalization) 形式知からあらたに暗黙知を得るプロセス

     共同化 個対個、場、経験の共有、歩き回り、「私」は相手の中に「入り込む」
     表出化 言語化・図像化、形式知化、共有化
     結合化 他部門・外部からの形式知の取込み、伝達・共有のための情報技術
     内面化 身体化、OJT・研修

    p119 IBM Knowledge Management Institueのプルーサック
    「知識は現場的で(local)粘々していて(sticky)、状況によって変わってしまう(contextual)」
    知識は暗黙知を根に組織に生態している。

    p121 「企業の強み、他社には模倣のできないコンピタンスの多くの部分は、暗黙知から成っている。」
    p121 個人・集団・組織が自己発展・自己超越する。主観的問題。

    p129 知識は未活用・未整備の資産
     組織の壁、知識の断片化
     その背景は、市場・製品の複雑化、組織の複雑化

    p135 知識資産の構造的分類・機能的分類
     構造的分類(知識資産はどこにあるのか?)
      市場知識資産(市場知・顧客知)
      組織的知識資産(組織知・人間知)
      製品ベース知識資産(製品知)
     機能的分類(知識資産はどんなタイプか?)
      経験的知識資産(経験・文化・歴史)←共同化
      概念的知識資産(コンセプト・ブランド・デザイン)←表出化・形式知化
      定型的知識資産(ドキュメント・マニュアル・フォーマット)←結合化
      常設的知識資産(実践法・プログラム・ガイド・教育システム)←内面化
     意味的分類(知識ビジョンは何か?)
      その表現方法:知識マップ・系統樹・ネットワーク図など
      知識資産の分類や構造が固定化されないことも大事。

    p154 知識経営のモデル
     (1) 知識資産の開発・調達・維持
     (2) 知識創造プロセスのリード
     (3) 知識資産の共有・移転・活用
     (4) 知識資産の蓄積
     (5) 知識資産からの収益創出
     (6) イノベーション・問題解決・知識提供による収益創出

    p155 知識経営への取り組みの景気
     (1) 事業変質の閾値
       事業や製品内容の変化が閾値に達していない場合、KMはリアリティを持たない。
     (2) 効率化(知識ワークの生産性)への要求
     (3) 知識資産の利回りの向上
     (4) 知識資産からの収益期待
     (5) 知識社会へのビジョン

    第4章 「場」をデザインする
    p161 「場」とは
       「共有された文脈ーあるいは知識創造や活用、知識資産記憶の基盤になるような物理的・仮想的・心的な場所を母体とおする関係性」
       文脈(その場にいないと分からないような脈絡・状況・場面の次第・筋道)と、その場にかかわる人々の関係性
    p163 知識経営=f場(知識資産・知識創造)・・・(知識経営は場の関数)
    p165 哲学者西田幾多郎「場とは経験の生まれるところ」
    p165 暗黙知は身体的・感覚的な環境との交わりから生まれ、身体的共経験を介して伝達する
    p165 知識は、文脈・状況を補うことで初めて外部に伝達したり記憶したりできる
    p167 場は、SECIプロセスを実際に駆動させる媒介・触媒

    p169 場の4タイプ
     共同化:創発場(Originating Ba)
      個対個、時間・空間の同時性、物語・エピソード・手柄話、アフォーダンス、ハーレー
     表出化:対話場(Dialoguing Ba)
      ディスカッション、アイデア・マップ
     結合化:システム場(Systemizing Ba)
      サイバースペース、工場、ベストプラクティス
     内面化:実践場(Exercising Ba)
      学習の場・研修の場、OJT、顧客への商品説明

    p178 知識創造<==>場<==>知識資産
    p179 場所的記憶パターンは人間の脳内にある
       場所ニューロン:ある場所におこなった時にだけ発火する

    p180 形式知<==>場(文脈と参加者の関係性)<==>意味的情報

    (書きかけ)
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営

  • 『SECIは単純な機会的プロセスではありません。知識創造という点で一番重要なことは、SECIの背後にある大きな目的意識、存在論だといえます。何のために存在するのか、いかにあるべきか、他社とは何が違うんだ、どんな理想状態をめざすのか。こういうところまでつながる存在論がないと知識の根本が崩れていってしまいます。
    それは究極的には自己を越えた世界の“知”の追求です。その意味で知識というのは「真・善・美」を追求するものであります。』

    ナレッジマネジメントについて極めてシンプルに整理されていて良かった。

    それにしても、グローバル・ナレッジ・リーダーの資質がすごい。
    1.確立された個(individuality)
    2.マーケット・ビジョナリー(visionary)
    3.意思決定力あるいは「意志力」(will)
    4.価値創出力あるいは価値経済感覚(value)
    5.場をデザインし駆動させるリーダーシップ(ba)
    こんだけ兼ね備えていれば、そりゃ〜できるに決まってるわな。

  • あわせて読みたい野中郁次郎『経営は哲学なり』。

  • ナレッジマネジメントの草分けが日本にいらしたとは、驚きました。暗黙知と形式知の利用サイクルがとってもためになりました。外資IT業界で育ってきましたが、ユーザーにツールを乱暴に与えて、使えないのはリテラシーが足りないと嘆くのは、そろそろ終わりにしたいと思っています。本書のように知識の循環までデザインして、初めて使用者側も「なぜ」使わなくてはいけない納得するのだと思います。知識を会社の中でどのように生かしていくのかを知るのに、とてもよいスタートになりました。

  • 購入日:2010409

  • すっかり経済の低成長が定着し新商品の上市のペースも鈍ったこと、あるいはリストラやアウト・ソーシングによって現場の実務知識が流出してしまったことなどを背景に、最近は日本でもソリューション・ビジネスやナレッジ・マネイジメントという言葉だけはかなり浸透した感がありますが、本書は、そのナレッジ・マネイジメント、そして知識経営がどのような思想のもとで、どのように推進されるべき概念のものか、実際にどのように活用されているか、などを概述しています。
    前半は、観念哲学の概念論張りの説明で難しく感じるかもしれませんが、言語哲学のロゴス/パトスのような循環関係を持つSECIモデル、形式知/暗黙知をキータームを使っての説明は分かりやすく、知識経営とは何か、それを実践する為のプロセスや組織はどうあるべきか、などを全体的に見通すには最適の入門書です。

  • 知識経営のすすめという表題に胡散臭さを感じた。
    第4章が、場をデザインするという題目になっているので、逆に、親しみを感じた。
    知識では役に立たないが、場が共有できれば、役にたつかもしれないからだ。

    内容が、やや抽象的すぎて、現地、現物の地から強さが感じられない点が、読み終わった不安感をかきたてている。
    結局、経営は不安との戦いなのだろう。

  • 初めて読んだのは高校時代。
    あれから大分たって今大学生の私だが
    果たして野中先生、紺野先生の理論が理解
    できるか。。。。。
    多分これは今のところ私が読んだ本で一番
    消化不足で、一番難しく、一番面白い本だと思う。

  • ▼2008/01/22購入。

著者プロフィール

一橋大学名誉教授
1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、富士電機製造勤務を経て、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D取得。著書に『失敗の本質』『戦略の本質』(各共著)など。

「2019年 『知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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