知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代 (ちくま新書)

  • 筑摩書房
3.35
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本棚登録 : 448
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058256

作品紹介・あらすじ

日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。

感想・レビュー・書評

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  • いいと思う。

  • 発刊は1999年だったが、今の時代にも適応される考えが記載されている書物のように感じた。
    自社がSECIモデルで経営できているかや、知識経営のステップに照らすと道のりは遠いように見える

  • 暗黙知と形式知のフローがわかり易く、キレイにまとまってる。

  • やはりデカルト的思考からの脱却がなされない限り、個の自己超越、組織の形式知のブラッシュアップは困難である...。

  • 新書だが、とてつもなく中味が濃い。本当は「知識創造企業」を読みたかったが、分厚くて断念し、この本で済ませようと思ったのだが、甘かった。新書は、通常1−2日で読むが、4日もかかってしまった。概念的・抽象的な話が多いので、噛み砕くのに時間がかかる。噛み砕けば、よく理解できる。

    目次
    第1章 情報から知識へ
    第2章 二十一世紀の経営革命
    第3章 第五の経営資源
    第4章 「場」をデザインする
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営


    〜ポイント抽出〜
    第1章 情報から知識へ
    p13 米国企業がKMへ向かう理由
     (1) 企業の内部資源への注目
      コア・コンピタンス経営、リエンジニアリングの反動、アジル競争
     (2) 知識・デジタル経済への注目
      IBMやGEのサービス志向

    p19 クリントンーゴアの経済政策三点セット
     インターネット(新国家情報基盤)
     シリコンバレー(新産業地域)
     企業価値経営(高株価・強いドル)

    p23 知識を活かす経営とは
     (1) 知識を用いて競争力を高める
     (2) 知識を核に事業を再構築する 従来型の製造業から知識製造業へ
     (3) 知識が商品そのものになるーソフト・コンサル・教育・エンタメ

    p33 知識の経済的特性
     (1) 減らない=収穫逓増資源(Increasing Returns)
     (2) 移動できる=非有限的資源(Mobility)
     (3) 使うは創る=生産と使用の非分離(Continuous Evolution)
        →ユーザエクスペリエンス、プロシューマ
     (4) 意味の経済=文節による価値創出(Categorization)

    第2章 二十一世紀の経営革命
    p55 狭義のナレッジマネジメント
     「知識の共有・移転、活用のプロセスから生み出される価値を最大限に発揮させるための環境の整備とリーダーシップ」

    p70 ナレッジマネジメントの4つのタイプ
     横軸 知識資産活用目的 改善<=>増価
     縦軸 知識資産活用手段 集約<=>連携
     改善&集約=ベストプラクティス型(組織的知識資産集約と活用)
     改善&連携=専門知ネット型(リアルタイムに組織知をネットワーク)
     増価&集約=知的資本型(知識資産からの収益創出)
     増価&連携=顧客知共有型(顧客知による成長)

    p81 ナレッジマネジメントのイネーブラー
     (1) イニシアティブ(率先・牽引役の存在)
     (2) 組織支援(知識コミュニティへの住民参加)
     (3) 知識業務環境(情報技術利用)

    p95 知識経営の発展段階
     第一段階:知識共有と活用=ナレッジ問題を解決する
     第二段階:知識ベースで事業展開=知識創造と知識資産のダイナミックな連携
     第三段階:知識経営企業=組織デザインとリーダーシップ、企業革新

    第3章 第五の経営資源
    p102 「知識はいつでも正しいとは限らない。知識とは、これまでのところ正しい「真」だと信じること。」

    p109 「情報の受け手が自分の知識として獲得するには、「文脈」のギャップを埋めてやる必要がある。」
       情報の受取り+文脈理解=自分の知識

    p111・P122 SECIモデル
     共同化(Socialization)  暗黙知からあらたに暗黙知を得るプロセス
     表出化(Externalization) 暗黙知からあらたに形式知を得るプロセス
     結合化(Combination)   形式知からあらたに形式知を得るプロセス
     内面化(Internalization) 形式知からあらたに暗黙知を得るプロセス

     共同化 個対個、場、経験の共有、歩き回り、「私」は相手の中に「入り込む」
     表出化 言語化・図像化、形式知化、共有化
     結合化 他部門・外部からの形式知の取込み、伝達・共有のための情報技術
     内面化 身体化、OJT・研修

    p119 IBM Knowledge Management Institueのプルーサック
    「知識は現場的で(local)粘々していて(sticky)、状況によって変わってしまう(contextual)」
    知識は暗黙知を根に組織に生態している。

    p121 「企業の強み、他社には模倣のできないコンピタンスの多くの部分は、暗黙知から成っている。」
    p121 個人・集団・組織が自己発展・自己超越する。主観的問題。

    p129 知識は未活用・未整備の資産
     組織の壁、知識の断片化
     その背景は、市場・製品の複雑化、組織の複雑化

    p135 知識資産の構造的分類・機能的分類
     構造的分類(知識資産はどこにあるのか?)
      市場知識資産(市場知・顧客知)
      組織的知識資産(組織知・人間知)
      製品ベース知識資産(製品知)
     機能的分類(知識資産はどんなタイプか?)
      経験的知識資産(経験・文化・歴史)←共同化
      概念的知識資産(コンセプト・ブランド・デザイン)←表出化・形式知化
      定型的知識資産(ドキュメント・マニュアル・フォーマット)←結合化
      常設的知識資産(実践法・プログラム・ガイド・教育システム)←内面化
     意味的分類(知識ビジョンは何か?)
      その表現方法:知識マップ・系統樹・ネットワーク図など
      知識資産の分類や構造が固定化されないことも大事。

    p154 知識経営のモデル
     (1) 知識資産の開発・調達・維持
     (2) 知識創造プロセスのリード
     (3) 知識資産の共有・移転・活用
     (4) 知識資産の蓄積
     (5) 知識資産からの収益創出
     (6) イノベーション・問題解決・知識提供による収益創出

    p155 知識経営への取り組みの景気
     (1) 事業変質の閾値
       事業や製品内容の変化が閾値に達していない場合、KMはリアリティを持たない。
     (2) 効率化(知識ワークの生産性)への要求
     (3) 知識資産の利回りの向上
     (4) 知識資産からの収益期待
     (5) 知識社会へのビジョン

    第4章 「場」をデザインする
    p161 「場」とは
       「共有された文脈ーあるいは知識創造や活用、知識資産記憶の基盤になるような物理的・仮想的・心的な場所を母体とおする関係性」
       文脈(その場にいないと分からないような脈絡・状況・場面の次第・筋道)と、その場にかかわる人々の関係性
    p163 知識経営=f場(知識資産・知識創造)・・・(知識経営は場の関数)
    p165 哲学者西田幾多郎「場とは経験の生まれるところ」
    p165 暗黙知は身体的・感覚的な環境との交わりから生まれ、身体的共経験を介して伝達する
    p165 知識は、文脈・状況を補うことで初めて外部に伝達したり記憶したりできる
    p167 場は、SECIプロセスを実際に駆動させる媒介・触媒

    p169 場の4タイプ
     共同化:創発場(Originating Ba)
      個対個、時間・空間の同時性、物語・エピソード・手柄話、アフォーダンス、ハーレー
     表出化:対話場(Dialoguing Ba)
      ディスカッション、アイデア・マップ
     結合化:システム場(Systemizing Ba)
      サイバースペース、工場、ベストプラクティス
     内面化:実践場(Exercising Ba)
      学習の場・研修の場、OJT、顧客への商品説明

    p178 知識創造<==>場<==>知識資産
    p179 場所的記憶パターンは人間の脳内にある
       場所ニューロン:ある場所におこなった時にだけ発火する

    p180 形式知<==>場(文脈と参加者の関係性)<==>意味的情報

    (書きかけ)
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営

  • 「ナレッジマネジメントとは、簡単にいえば、個々人の知識や企業の知識資産を組織的に集結・共有することで効率を高めたり価値を生み出すこと。そして、そのための仕組みづくりや技術の活用を行うことです。」 (P7)

    この本は、知識経営(ナレッジマネジメント)を説明しようとしている本です。
    この知識経営という概念自体は活用できれば面白そうな概念に感じました。

    が、3回ほど読み返しても、概念の説明なのか、具体的方法の提示なのかよくわからず。
    また、見返しには「大転換を迫られている日本的経営の未来を探る」みたいな記述もあり、この本の目的がどうにもはっきりしない。
    そういう点から、残念ながら、概念もはっきりしなかったし、即実践・活用とはいかないだろう。
    「知識経営」という言葉とその意義がわかった点では良かったが、もっとよい入門書があるだろうからそちらを読むべきと思います。

  • 知識を第五の経営資源と位置づけ、知識を中核に据えた組織経営を提起している、のだが、本の分量に比してかなり大きなフレームワークであるため、一冊だけで概要をとらえるのはかなり難しい。ものごとの整理で個別に参考になることも多く、読むべき本であることは間違いないが、関連書籍も何冊か押さえるべき。

  • 自分の組織への適用エクササイズ。

    狭義のナレッジマネジメント:知識の共有・移転・活用
    +知識ベース事業
    +知識経営組織、組織デザインとリーダーシップ、組織改革

    ・知識創造プロセス
    暗黙知
    ↓ 共同化 (創発場)
    暗黙知
    ↓ 表出化 (対話場)
    形式知
    ↓ 結合化 (システム場)
    形式知
    ↓ 内面化 (実践場)
    暗黙知
    以上を、個人、集団、組織の各レベルで

    ・分類
    知識資産の把握、議論、活用のための分類
    構造的分類
    機能的分類

    ビジョンの把握、議論、活用のための分類
    意味的分類

    ・観察→定義→分類→仮説(測定のための)→活用→検証→フィードバック

    ・ハイパーテキスト型組織
    自律的な知識創造プロセスをまわす
    発展的、多元的、動態的

  • なんとなく読んでみたが、畑違いでも全く得るものなし……ということはなかった。

    一般論やグローバルな視座での話をしておきながら、終盤も終盤において、通俗的な理解のもと各国の哲学者を挙げながら、(ページ数にして若干ではあるが)日本特殊論を示唆するのは極めて興味深い。
    こう言ってよければ、PLANETS 8のようだ。

  • 「知識経営」(ナレッジ・マネジメント)を、従来よりもいっそう包括的な視点から捉えなおそうとする本です。

    90年代半ばから欧米で関心が高まった「知識経営」は、個人の知識や企業の知識資産を組織的に集結し、共有することで、効率を高めたり価値を生み出すこと、そして、そのための組織作りや技術の活用をおこなうことを意味します。しかし著者たちは、従来の知識経営が、私たちの「頭の中にある」知識よりも、データベースなどに蓄えられた情報が対象となっており、それを応用する「知識管理」の段階にとどまっていたと述べます。

    知識経営は、知識ワーカーたちの組織的行為を通じて、単に知識を活用するだけでなく、新しい価値を創出するような経営として捉えられる必要があります。本書ではそうした知識の活用による価値創出のプロセスを説明するために「SECIプロセス」というモデルが示されています。これは、知識の「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「結合化」(Combination)、「内面化」(Internalization)から成り、知識ワーカーたちの体験が共同化されることで言葉へともたらされ、組織の「知」にまで成長し、それが個々人に内面化されることで、それに関わった人びとがひと回り大きく成長する……というプロセスを表わしています。

    さらに著者たちは、こうした知識による価値創出がおこなわれる「場」についての理論への展望をおこなっています。そこでは、アフォーダンスや現象学、M・ポランニーの暗黙知の理論や、西田幾多郎の場所の哲学などとのつながりが示唆されていて、おもしろそうに思えます。ただ、その内容は十分に展開されておらず、もどかしく感じました。

  • 『SECIは単純な機会的プロセスではありません。知識創造という点で一番重要なことは、SECIの背後にある大きな目的意識、存在論だといえます。何のために存在するのか、いかにあるべきか、他社とは何が違うんだ、どんな理想状態をめざすのか。こういうところまでつながる存在論がないと知識の根本が崩れていってしまいます。
    それは究極的には自己を越えた世界の“知”の追求です。その意味で知識というのは「真・善・美」を追求するものであります。』

    ナレッジマネジメントについて極めてシンプルに整理されていて良かった。

    それにしても、グローバル・ナレッジ・リーダーの資質がすごい。
    1.確立された個(individuality)
    2.マーケット・ビジョナリー(visionary)
    3.意思決定力あるいは「意志力」(will)
    4.価値創出力あるいは価値経済感覚(value)
    5.場をデザインし駆動させるリーダーシップ(ba)
    こんだけ兼ね備えていれば、そりゃ〜できるに決まってるわな。

  • 古いのに古さを感じさせない。経営や知識についてわかりやすくまとめてあって興味深かったです。ただ横文字が多すぎる…わざわざ日本語で注をつけるくらいなら最初から噛み砕いて書けばいいのに、と不満があるので★3
    毎年読み返すとよさそうなので未来の自分頑張れ~。

  • 経営学者の野中郁次郎氏による経営論。1999年刊行です。

    目次構成は以下のようになっています。

    第1章 情報から知識へ
    第2章 二十一世紀の経営革命
    第3章 第五の経営資源
    第4章 「場」をデザインする
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営

    本書では、経営において知識が持つ重要性や活用法を説いています。その中で、ナレッジマネジメントは、個々人の知識や企業の知識資産を組織的に集結・共有することで効率を高めたり価値を生み出すことであり、そのための仕組みづくりや技術の活用を行うことと定義しています。

    また、知識創造のプロセスは、暗黙知と形式知からなる相互作用で説明されるとし、それは、主観的で言語化・形態化困難な暗黙知と、言語または形態に結晶された客観的な形式知の相互変換であると説明しています。

    更に、知識創造のプロセスを共同化、表出化、結合化及び内面化の4つの要素から成るSECIプロセスというものでモデル化しています。

    本書は、著者のこれまでの著作をまとめたような内容になっているのですが、新書という限られたボリュームの中に収めているため、いくらか駆け足の説明になっているように感じました。
    ただ、巻末に参考文献リストがあるので、楽に詳細を調べることができそうです。

    知識を体系的に取り扱うという意欲的なテーマであり、興味深く読むことができました。

  • 現場のリーダーシップが重要になる。
    そして戦略部門の質的変化が不可欠になる。
    まさにそのとおり。

  • (2001.08.05読了)(2001.05.02購入)
    ナレッジマネジメントとその時代
    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。

  • 1999年当時の「ナレッジマネジメント」に関する著書である。
    初版当時は、Lotus Notesが企業を席巻していかに会社の中にある「知」をソフト上に集積するかが重要なテーマだったように思う。一方、ナレッジマネジメントの動きに当時はデータの流量やそのもの量の保管に充分にインフラが充分なソリューションを提供でなかったことや、「暗黙知」の集積の先のその利用にまで手が回らなかった。

    テキストマイニングやデータマイニングが充分に発達したのは21世紀にはいってからである。

    本書は、その背景にあった理論の書である。理論はソリューションを伴って、始めて活きるということであろうか。

  • ちくま新書らしい学術書の入口って感じ。
    ナレッジマネジメント、知識経営については野中先生のお話を何度か聞いていた上での読破だったので腹落ちしやすかったが、一般的にはけっこうタフな内容だったような気もする。
    いずれにしてもブレなく同じ論理をきちんと説明できるってことでやっぱり権威なんでしょうね。この道の。

  • 20120525

  • あわせて読みたい野中郁次郎『経営は哲学なり』。

  • ナレッジマネジメントの草分けが日本にいらしたとは、驚きました。暗黙知と形式知の利用サイクルがとってもためになりました。外資IT業界で育ってきましたが、ユーザーにツールを乱暴に与えて、使えないのはリテラシーが足りないと嘆くのは、そろそろ終わりにしたいと思っています。本書のように知識の循環までデザインして、初めて使用者側も「なぜ」使わなくてはいけない納得するのだと思います。知識を会社の中でどのように生かしていくのかを知るのに、とてもよいスタートになりました。

  • p.21 優良事例を分析して取り入れることによって成果を上げることに慣れてしまうと、自分で考え、挑戦、失敗する風土がなくなってしまう。
    p.66, 84 個々人の持っている知識は個人が組織の中で認められるための財産なので、それを同僚と分かち合おうという呼び掛けには必ず心理的抵抗が生まれる。でも個人が抱え込んでいるのは知識資産を腐らせているようなものだし、こういう知識は組織の仕事を通じて得たものなので「公共財」としての性格ももっている。
    共有しよう、という組織文化がないといけないが、これにはトップダウンの強力なイニシアチブが求められる。
    p.89 古い組織に新しい技術を導入しても、複雑さを増すだけ。組織変革をともなわないとダメ。
    p.103 データ-情報-インテリジェンス-知識-知恵 というピラミッド構造。
    データは記号、数値。情報はデータから構成された意味や意義。知識は情報を認識し行動に至らしめる秩序。知恵は知識を現実に適応させて得られた成功事例集。
    p.105, 106 暗黙知はそれを持っている本人がなかなか体系的に理解できない、場合によってはそうした知識をもっていることを知らない。こうした七気を得たり、伝えるには時間がかかる。そこではマニュアルなどの形式知が意味を持ってくる。
    p.124 個人の暗黙知が体系的な知識として組織で客観化・正当化され、ふたたび実践に向けて個に向かう。この螺旋的サイクルによって個も組織も新たに創造された知識を得て拡張していく。

  • 購入日:2010409

  • なんとなくはわかるんだけど、どうも抽象的で自分にはあまり理解できなかった。

  • すっかり経済の低成長が定着し新商品の上市のペースも鈍ったこと、あるいはリストラやアウト・ソーシングによって現場の実務知識が流出してしまったことなどを背景に、最近は日本でもソリューション・ビジネスやナレッジ・マネイジメントという言葉だけはかなり浸透した感がありますが、本書は、そのナレッジ・マネイジメント、そして知識経営がどのような思想のもとで、どのように推進されるべき概念のものか、実際にどのように活用されているか、などを概述しています。
    前半は、観念哲学の概念論張りの説明で難しく感じるかもしれませんが、言語哲学のロゴス/パトスのような循環関係を持つSECIモデル、形式知/暗黙知をキータームを使っての説明は分かりやすく、知識経営とは何か、それを実践する為のプロセスや組織はどうあるべきか、などを全体的に見通すには最適の入門書です。

  • 知識経営のすすめという表題に胡散臭さを感じた。
    第4章が、場をデザインするという題目になっているので、逆に、親しみを感じた。
    知識では役に立たないが、場が共有できれば、役にたつかもしれないからだ。

    内容が、やや抽象的すぎて、現地、現物の地から強さが感じられない点が、読み終わった不安感をかきたてている。
    結局、経営は不安との戦いなのだろう。

  • 本棚登録

  •  本書はナレッジ・マネジメントの導入書である(といってよいと思う)。ナレッジ・マネジメントは、この本の著者の1人である野中郁次郎が提唱した企業マネジメントの方法論であるが、この本では、ナレッジ・マネジメントの胆となる概念である「知識」と、組織の成員が集まって知識を創出する「場」の重要性を説いている。

     私自身が本書を読んで重要だと感じた点は、以下の3点である。

     (1) 「知識」と「情報」は、曖昧な形ではあるが、ある程度は区別することができる概念である(著者はあまりこのことを重要視していないようではあるが)。「知識」は「個人や組織(集団)が認識・行動するための、道理にかなった秩序(体系・手順)」(101-102ページ)である。その際、知識を用いる人がその知識内容を正当なものとして認識していることがポイントとなる。一方で「情報」は、(一般的には)「データから構成された意味や意義」(103ページ)のことを指し、「情報」は「知識」の形成に寄与するものである。

     (2) 「知識」はさらに、「形式知」と「暗黙知」に区別されて考えられる。「形式知」とは言語化が容易な知識のことを指す。例としては、マニュアルや文書情報などが挙げられる。こうした形式知は、言語を媒体として共有や編集が可能である。
     一方で、「暗黙知」とは言語化しえない、あるいは言語化しにくい知識のことを指す。例としては、熟練の職人の技術などが挙げられる。暗黙知は言語化の難しい知識であるが、身体経験によって個人に取り込むことができる知識である。
     知識の創出の際には、形式知を暗黙知へ変換したり、逆に暗黙知を形式知へと変換する作業などを通じて、組織に所属する人々の間で形式知や暗黙知を共有するプロセスを構築し、分析することが肝要である。ちなみにこのプロセスは「SECIプロセス」と呼ばれている(cf. 111-115ページ)。SECIプロセスは繰り返されることが重要であり、それによってこのプロセスにかかわる人々の成長が期待できるのだという。

     (3) 「場」は、組織に属する人々が知識(形式知・暗黙知の両方)の共有や創出を行う結節点となるために、重視されるものである。そしてまた、「場」の様態は、SECIプロセスに沿って分類し分析することができる。

     「知識が重要だ」と指摘すること自体は簡単である。しかし、実際には現場の知識を持つ人々(組織に所属する人々)の参加意識が必要であり、知識共有に人々が貢献することで人々にメリットが感じられなければならない。そのため、知識共有に対して人々が自発的に取り組んでくれるような状態とすることが重要となる。

     本書は、ナレッジ・マネジメントという方法の要点を整理しており、それゆえに私はこの本をナレッジ・マネジメントの「導入書」であると見なした。しかし、本書の内容だけでは、組織の中での具体的な実践へと結び付けることは難しいだろう。ナレッジ・マネジメントは魅力的な方法論のひとつであると思うが、当然ながら、組織の状態をよくふまえた上で用いることが肝要となる(本書の著者は、ナレッジ・マネジメントが短期的に成果をもたらすような方法でもなければ、体系的に商品化されたような「便利な経営手法」でもないことをきちんと記している)。このマネジメント手法についてさらに深く知りたい方は、『知識創造企業』も併せて読むとよいかもしれない。

  • 陰と陽、その一方を極めて行くと、必ず次の展開のときには、その反対の中に芽が出てくる。今一度知の組織的創造を自らで見直してみる、自らの有り様を徹底的に反省してみる必要がある。

  •  1回生夏季休暇の課題図書として先生が複数の書籍を紹介した中から、タイトルに惹かれ選択。
     近年叫ばれる「知識経営」についての著作。勉強している方にとっては当たり前のことばかり書かれているのかもしれませんが、読んだ当時の私にとっては学ぶことの多い本でした。この本で得た知識は、他の経済論やマーケティングの授業でも役に立っています。
    「知識経営」と言われると何だか仰々しく聞こえますが、無形の知識を商品にする、あるいは知識を組み込んだ商品を提供することで収益を得る経済・企業の話(コンサルティング業など)で、これはまさに現在の経済の姿です。よって、是非知っておくべき内容です。
     一番重要なのは、やはり人であり、そのリーダーシップや行動力、コミュニケーション。

  • 2000年にでたとは思えない。まずはこれから。

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著者プロフィール

一橋大学名誉教授
1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、富士電機製造勤務を経て、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D取得。著書に『失敗の本質』『戦略の本質』(各共著)など。

「2019年 『知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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