戦略思考ができない日本人

  • 筑摩書房 (2001年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480059024

みんなの感想まとめ

日本文化と西洋文化の違いを深く掘り下げた本書は、戦略的思考が難しい日本人の特性を探求しています。著者は「無常感文明」と「要塞文明」という対比を通じて、日本人の主体性や連帯感の特異性を明らかにし、文化的...

感想・レビュー・書評

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  • 戦略思考という言葉を聞くと、普段仕事において常に目の前のタスクに時間を奪われ、深夜パソコンが切れるギリギリで、ああ、今日も一日何も終わらなかったと憔悴する自分の顔を思い浮かべる。若しくは虚な目でウロウロと目の前を幽霊のように通り過ぎる部下の顔か。とても中長期の戦略を頭に描きながら、それに向かって意気揚々と未来を築く仕事、と言ったようなワクワク感は感じられない。勿論、数年前にはよくある2030年を見据えた百ページを超える中期計画を描き、来年は再来年はこんな風に過ごそうと、みんなを集めて計画を発表した。その為に必要な戦略と一つ一つをタスク分解した時の取り組みに必要な戦術も説明した。だが、実際に取り組みを始めると、(私のいるIT業界だけではないが、特にIT業界に於いては)人手不足で、やらなければならないことにどんなに優先順位をつけても、やり切れない!とまぁ、こんな日々が毎日続く。何となく日常的に起こる細々したタスクに目を(心も)奪われ、わかりやすいことに夢中になっている自分、同じような仲間に囲まれて、一緒になって目の前のタスクに向き合う自分に安堵してしまう。
    日本人は戦略的思考が苦手と言われる。それは島国であり、他民族から国を奪われる心配は、陸軍何十師団分もの防御力を持つと言われる四海に囲まれ、先ずは他国との戦になる機会がない。寧ろ、逃げられない狭い島の中で、他人と争うのではなく、仲間内の1人として、染まっていることの安心感を求める国民性に原因があると言われる。ヨーロッパの様な陸続きの国同士、民族同士は古い時代から侵略し侵略され、その度に自国のそれまで持つ文化も歴史も徹底的に破壊されるという世界で過ごしてきた。他国に負ければ全てを失い、他国を打ち破れば、自分たちの理念や考え方を押し付けて、相手を支配下に置くことができる。この様な関係性の中では長期的な思考に基づいた、戦略思考とそれをベースとした生きる術を十分に身につける事が必然だ。時には相手を服従させる為に、論理的にディベートで相手を説き伏せなければ、自分たちの利益を守れない。こうした関係性に慣れ親しんだ国民性と、前述した様な仲間内で相手に合わせながら生きる国民性(日本)がぶつかり合ったのが太平洋戦争である。敵国はアメリカ。キリスト教徒としてイギリスからアメリカを目指し、原住民であるインディアンを打ち負かして自らの国を作る。更には広大な北アメリカの大地を南北に分けて内戦し、勝った方が自分たちの主張を言う事ができた歴史も持つ。その様な西洋の好戦的な民族と、和を尊び平和に生きる民族日本とでは、戦略的思考にも大きな差があるばかりか、そもそも日本人には戦略がないと評価されてしまうのである。毎年決まった時期に米を育て収穫し、誰かが病気になれば他者が余分に働いて穴埋めする村社会。戦略よりも今の周りの雰囲気や生活を維持するその姿勢も、戦略的思考が育たない環境の中で培われたものと言えるだろう。まわりくどくなったが、戦略思考に基づいて強力な要塞を作ることに長けた民族には、絢爛豪華な城造りしかできない日本人が勝つのは難しい。
    本書は前述した様な例を含み、日本人が持つ国民性と西洋のそれを、成り立ちから分析し、その差異を明らかにすることを主な内容としている。差異を明らかにして見えてくることは、戦略思考の有無を原因に、国の成り立ちや歴史に明確に表れてくる事だ。筆者は特に太平洋戦争期に於ける日本の軍部首脳陣のあり方を例に挙げて、その分析結果の正しさの証明に用いる。これまで様々な書籍で、太平洋戦争敗北の原因分析を見てきたが、戦略的思考能力の差異を感じることはあっても、それに至った原因理由をメインで述べたものは少なかった様に思う。本書でもう少しその原因に近い部分に触れながら、今の自分にもそうした考え方や状況が一致していないか、反省する機会になる一冊。

  • えっと、著者は中学2年生だっけ? 「ぼくのかんがえた、さいきょうの文明論」にしか見えない。
    まず戦略思考とはどのようなもので、なぜそれを目指さないといけないのかの説得が欠落している。日本の国土と風俗に根付いた思考様式を捨て去るほど戦略思考とやらは素晴らしいのか? また無常感文明やら作用・反作用とやらは法則というほど普遍的な理論なのか? それらの根拠が全く示されないので、説得力に欠けることこの上ない。論を立てるには普通、「AならばB、BならばC、だからAはCだ」のような展開を辿るものだが、徹頭徹尾「AはCなのである」に終始している。頭悪すぎだろ。
    まあ言いたいことはわかる。毎年決まった時期に決まった作業が必要な米作文化の影響は少なからずあるだろう。そうであるからこそ、中国華南や南アジアなど同様に米作文化を持っている地域と文化が共通しているのかなどの検証が欲しい。それに「要塞文明」のアメリカ国民の半数がトランプ真理教やQアノンの妄想に取りつかれている所を見ると、日本だけが特殊なのかどうかも限りなく疑わしい。まずは著者自らの妄想を解いたらいかがだろうか。

  • 寝る前のフォトリーディング&起床後の高速リーディング。渡邉祐介著「ドラッガーと松下幸之助」の本と同じく、日本論についてとても良い本であると思った。単に私の興味かも知れないが、とても集中できる。

  • 要約を言えば、欧米とは異なる日本文化は全く異なるモノの見方をしており、戦略的なモノの見方ができないのだるということだと思う。

    最終章では、そんな日本人も変革しなければならないとしている。比較文化論的な要素が強いと思った。

  • 日本と海外との文化から育まれた思考の対比が面白い。
    なるほどと思う部分もあれば、違和感を感じる部分もある。

    興味深かったのは、
    「西欧人は人間マジノ線の包囲網(行動原理の共有)で連帯の輪を国家を超えて作れるが、日本は情緒共有で連帯するので、最大で国会の枠内でとどまり、連帯の強度は情緒共有で感じる一体感の強さにのみ依存する⇒西洋の連帯に比べてもろい」
    「西欧が歴史を受け止め、ヒトラーなどの人物は否定するが国民性は否定しない。対して日本は歴史に対して自虐的なのは、西欧は<契約・再契約の法則>であり、日本は<作用・反作用の法則>であるから」

    という部分。(上記は要約)

    また、結論として21世紀の日本はどうあるべきかを述べていたが、作者は大人の自己変革と子供の教育改革と述べていた。

    最近どの本を読んでも、結論は教育に行きつくのが面白い。

    現在教育として電子化や英語早期教育などがとりだたされているが、教育の根本の詰め込み教育の改革の方が重要だと思う。

    どちらにしても日本人的な理由がいくつか検証されていて、なかなか面白い本でした。

  • [ 内容 ]
    政府の景気対策はいきあたりばったり。
    教育改革は細部の手直しばかりで抜本対策は出てこない。
    官僚も企業のトップも「前例がない」といっては何もしない。
    これまで日本人はなぜ主体的な戦略思考ができなかったのか?
    本書では、西欧が堅固な守りで構築された「要塞文明」であるのに対して、日本は「はかなさ」の情緒を共感しあう「無常感文明」であると捉え、日本文明のもつ自我・法則性・宗教観などの分析を通して、日本人がグローバル・スタンダード時代を生き抜くために必要な自己変革へのヒントを提示する。

    [ 目次 ]
    第1章 「無常感文明」日本と「要塞文明」西欧―文明論(日本文明は無常感文明である;秀吉の「夢のまた夢」こそが無常感の理念型 ほか)
    第2章 日本人と西欧人の主体性の違い―自我論(「自我の要塞化」とは「主体性の強度」を高めることである;日本では「組織我」もまた「主体性の強度」が低い ほか)
    第3章 「無常感文明」と「要塞文明」を貫く法則―法則論(文明には基本法則がある;「作為の法則」と「自然の法則」 ほか)
    第4章 八百万の神々と無常感文明―宗教論(無常感はアニミズムが原点;宗教が人間を「遺伝子の呪縛」から解き放った ほか)
    第5章 日本文明を変革する道―変革論(日本文明は「情緒」という「透明なアイデンティティ」の文明;「透明なアイデンティティ」が「アイデンティティ不確実感」を生んだ ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 要塞文化の西欧
    無常感文化の日本

    異民族との戦い経験が少ないゆえ
    同民族での共通項により 自我の形成の必要性に迫られない

    自我を支えている共同体を守ろうとする

    契約による行動原理で動く西欧
    本筋と例外のダブルスタンダード

    日本のあいまいさ
    同一民族の以心伝心 感情としての
    本音と建て前

    農耕民族からくる過去の反復という行動傾向
    外発エネルギーによる 慣性が働き あいまいな本音と建前が逆転する

    文化や歴史としての
    日本人 西欧人の行動原理 行動傾向の事が書かれています

    なるほど と思う知的満足がありました

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