天下無双の建築学入門

  • 筑摩書房 (2001年9月1日発売)
3.44
  • (13)
  • (32)
  • (71)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 400
感想 : 32
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480059123

みんなの感想まとめ

建築の基礎から歴史的背景までを軽妙なエッセイ形式で解説する一冊で、読者は知らなかった雑学を楽しく学べます。縄文時代の住居の考察や、屋根に草花を植える芝棟の話など、建物の構成要素を掘り下げる内容が魅力的...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • おそらく建築マニアにはたまらない本だと思う。特に第一章「目からウロコ!?古代の建築学」は、専門家やマニアが喜びそうなトリビアや雑学が開陳されている。
    でもご安心ください、私の様な「建築」素人にも楽しめる第二章「アッと驚く!!住宅建築の技」で身近なお話が用意されています。
    そもそも本書は、雑誌「頓智」での連載記事(1995年10月〜1996年6月)と大成建設の社内報「たいせい」での連載記事(1998年1月〜2001年3月)39編を収録したもの。
    「シック・ハウスの代わりにシックイ・ハウスを!」はひとつの完成した読み物としても面白かった。

    以下は印象的だったポイントのみ列挙。
    ・日本独特の引き戸と海外のドアの歴史的経緯の説明から始まり、日本以外の海外ドアが内開きなのは外からの侵入を防ぎやすいから(さらに日本のドアが外開きなのには狭小な住宅事情もありそうだが…)
    ・家の中は靴を脱いで過ごす日本と靴のまま生活する海外の文化的違い(日本伝統の相撲や能の摺り足)と床建築の発展
    ・日本の畳や住居内の靴を脱ぐ裸足(スリッパ)の生活は床や畳も清潔なため、土足民族にはできない横に寝そべることができる⇒近年では北米や中国でも室内土足禁止が増えている、らしい
    ・平屋が主流だった日本と豪華な階段が建物内にある西洋建築の違いを民族の踊り文化で説明(日本の盆踊りや能や相撲も水平の摺り足が基本だが、海外のダンスやボクシングは垂直の動き)
    ・暖房については人類は火を起こしてから始められたが、冷房は電気と冷凍ポンプが発明された19世紀末からと50万年の差がある(もちろん、風通しを良くするとか日陰を利用したりと自然任せの消極策は存在したが)
    ・輻射冷房の原理を利用したエコな天井冷房はずっと結露問題が解決されなかったが、葉山成三氏の工夫で実用化された(しかしなぜか葉山方式は広がっていない、らしい)
    ・隙間だらけの日本家屋の部屋がちゃんと暖かくなるのは石油ストーブの登場からで、竪穴住居の暖房水準から数千年振りにやっと回復
    ・日本の建築学は明治10年イギリス人コンドル先生が建築にかかわるすべての分野を日本の学生4人に教えたのが始まり

    冒頭にも書いたが、内容は素人には少々専門店でマニアックすぎる点はあるものの、もしこの分野に興味がある人なら満点評価の作品となるであろう、しらんけど。
    あえてこの点を繰り返すのは、こうした良書が販売部数のみで評価されることなく(勝手に売れていないと想像してゴメンね)末長く読みつがれてほしいからでした、ちゃんちゃん。

  • [ 内容 ]
    人はいつから「家」に住むようになったのだろうか。
    自然の中で暮らしていた人間が家を建てるようになったのはいつからなのだろう?
    山や川、木や石などに神が宿っていると信じていた頃からの心の習慣が、日本建築の中にはそこはかとなく生き続けている。
    柱とは?
    屋根とは?
    天井とは?
    建築史家であり、建築家でもある著者が、初学者に向け、屋根、床、柱、窓、雨戸、ヴェランダなど建物の基本構造から説く気鋭の建築学入門。

    [ 目次 ]
    1 目からウロコ!?古代の建築術(石器で丸太は伐れるのか?―磨製石器 魔法的先端技術“縄”―しばる技術 弥生的なるモノ―竹 「夏は樔に宿」とは―樹上住宅 ほか)
    2 アッと驚く!!住宅建築の技(家は夏をもって旨とすべし―住宅 シック・ハウスの代わりにシックイ・ハウスを!―建材 引き戸とドアーを隔てる歴史的事情―戸 日本建築の生命は床にあり―床 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 勇ましいタイトルがついているけれど、建築の雑学書です。
    「基礎と土台はどっちが上か」など、知らなかったことを知るのはいい気持ち。
    著者の空想の部分を「楽しい」と思うか「無駄」と思うかがこの本の評価の分かれ目でしょう。

  • 縄文時代の人々がどのような住居に住んでいたか、という考察から始まり、屋根に草花を植える芝棟の話、柱、床、窓といった建物を構成する要素ひとつひとつの話、を、藤森氏らしい闊達かつ軽妙な論調で短いエッセイ形式にまとめている一冊。
    自分で作った石斧で樹木を伐ろうとした、といったエピソードも出てきて、この方って昔っからこういう実践派だったんだなあ、としみじみする。
    楽しく読んだ。

  • 住宅のパーツ一つ一つを歴史を紐解きながら解説。筆者の交友の深さからくるエピソード、ユニークなキャラクターもあり、飽きずに楽しく読めました。

  • 家のそれぞれの部分の歴史や意味合い、日本独自の捉え方など、それぞれのつながりも知ることができて面白かった

  • 家の仕組みについて歴史的な経緯をもとに解説している。
    縄文時代の人は石器でどうやって木を切ったのか。
    石器で切りやすいように栗の木を使う。鉄器が出てきて針葉樹を使うようになる。
    正倉院は湿度を一定に保つのではなく、急激に湿度の変化をさせないところがポイント。
    ドアは海外は内開がほとんど。日本が外開きなのは平和だから。
    欧米は天井に蛍光灯はつけない。

  • 「弥生よりも縄文」
    から始まる建築史。
    想像してたのと違ったけども、面白く読ませていただきました。

  • あとがきにもあったけど、建築学というより、著者の視点から見た建築史(マイ建築史)だった。
    学問的と言うよりはエッセイに近いかな。
    途中で退屈する部分もあったものの、人との小話に使えるような建築雑学を知ることが出来たような。

  • 全体は2部に分かれており、第1部では、縄文時代の住居についての考察が、著者自身がおこなったさまざまな実験をまじえつつ展開されています。第2部では、床、畳、窓、廊下といった、現代の住宅建築にまつわるテーマについて語られます。

    建築の歴史や思想についての入門書ではなく、著者が過去から現在に至るまでの建築のさまざまなテーマについて自由に語ったエッセイといった感じの本でした。もう少しオーソドックスな建築入門の本を予想していたので、ちょっと期待はずれでしたが、それでも楽しんで読むことができました。

  • 途中。縄文人の樹上住居云々は眉唾。憶測のどあいが強すぎるかも。もうちょっと裏付けしてほしい。切り口はすごく面白い。あまり真面目に読むべきではないのかも。

  • ユーモアたっぷりの建築エッセイ集。
    軽く読めるとはいえ、知らないこともたくさんあって、楽しかった。

    縄文の竪穴式住居。
    夏はツリー・ハウスへ移っていたのではないか、とのこと。
    石器で加工するには、栗の木のような硬い木の方が向いていたという、考証も面白い。

    そこから、高床式とか、柱といった建築方法に関わる話から、家具や冷暖房といった、周辺的な問題まで、日本の住宅の変遷が、エッセイ特有の自在さで繰り出される。

    雨戸って、世界にはないものだともあった。
    ヨーロッパの鎧戸は、むしろ暖かい地方の、日よけの機能を持たされたものであるとも。
    台風のときの守り神のように思ってきた私には、ちょっと衝撃的だった。
    東南アジアの台風対策って、じゃあ、どうなっているんだろう?

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:521.85||F
    資料ID:95080097

  • 藤森節炸裂の一冊。実用的な本ではないが読み物としては面白い。

  • 筆者もあとがきで述べているが、見事なまでの「My建築史学入門」であり、すなわち藤森照信の建築に関する考察が凝縮されている本となっている。言うことが極端だったり、一部の事例からの推測が多いように見えたりするが、きっと書いてあることの何倍もの知識を持っているからできることなんだ、と勝手に思って楽しく読ませてもらった。

  • あとがきにも書いてあるが「建築学」ではなく「マイケンチク学」というものなのだろう、だからこそこちらも斜に構えず、読み進めていくことができたように感じた。そこには、押し付けがましさはなく。むしろ小汚い居酒屋で自分の好きなもの(建築)を楽しく話しているような、イメージで本を読んでいけた。こちらも素直な気持ちで、読んでいけば自然と心に残る。好きなものを好きと胸をはって言える。藤森の素直な気持ちが伝わってきて、新しい発見がある。自分も建築が好きだったのだなという素直な気持ちで読み終えた。

  • 難しいことはひとつも書いていない(讃辞である)。専門的なことへの説明もないが、ケンチクを面白く見るヒントをたくさん教えてもらった。
    曰く、天井はなぜあるのか、曰く、暖房は数万年の歴史があるが冷房は数十年、曰く、ドアと引き戸の選択について。
    専門知識なんてなくても(もちろん筆者は建築家ですが)考えをめぐらすだけでこれだけ面白くなるなんてすごい。

  • 新書としては、きちんとした記述になっていてよい本だと思います。
    入門書にありがちな、薄っぺらい表現もあまりなく、
    かといって専門用語ばかり使った分かりにくい本でもありません。

    窓、廊下などの建物の部品の考え方と、暖房などの機能について知見を得ることができます。
    建物を建てたり、借りたりする前に読むと良いと思いました。

    縛る技術が建築学の一部であることを知りませんでした。
    建築学の辞書に縛るがあるとは思いつきません。
    足場などを縛って作る技術は見たことがあるので、そうかと思った。

    赤瀬川源平の試作についても触れていたので一度見てみたいと思った。

    建築学というよりは、薀蓄額という感じでした。

  • その昔、屋根には花が咲いていたという。
    芝棟というらしい。

    屋根に花が咲くなんて、なんて平和。

  • トピック形式でさくさく読みやすい。藤森照信は文章がわかりやすいし面白くていいね。同年代の建築家の本とかは、まだまだ難解で何言ってんのかよくわからないし(本人も分かってないんじゃないかと思うくらいな)。建築史家、と本人もさんざん自称しているのは、そのへんの「ケンチクカセンセイ」と一歩距離を置きたい気持ちがあるからじゃないだろうか。

全27件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は近代建築、都市計画史。東京大学名誉教授。現在、工学院大学教授。全国各地で近代建築の調査、研究にあたっている。86年、赤瀬川原平や南伸坊らと「路上観察学会」を発足。91年〈神長官守矢史料館〉で建築家としてデビュー。97年には、〈赤瀬川原平邸(ニラ・ハウス)〉で日本芸術大賞、2001年〈熊本県立農業大学校学生寮〉で日本建築学会賞を受賞。著書に『日本の近代建築』(岩波新書)、『建築探偵の冒険・東京篇』『アール・デコの館』(以上、ちくま文庫)、『天下無双の建築入門』『建築史的モンダイ』(以上、ちくま新書)、『人類と建築の歴史』(ちくまプリマー新書)、『藤森照信建築』(TOTO出版)などがある。

「2019年 『増補版 天下無双の建築学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤森照信の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×