保守思想のための39章 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 49
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059666

作品紹介・あらすじ

バブル崩壊と冷戦の終焉から十年すぎた。しかし今なお、経済の立て直しから有事への対処などに至るまで、依然として議論だけが続いている。しかも、その空疎な対立と不毛な論争の蔭で、学級崩壊、官民を問わない不正行為の続出、各種犯罪の増加など、日常の社会そのものは緩慢な自死の過程をたどりつつある。そして、資本主義の挫折と帝国主義の再来、それが世界の大状況となっている。この危機に、私たちはどう臨めばよいのだろうか。単なる郷愁やかたくなな復古ではなく、美徳と良識にもとづいて公共空間を再建するため保守思想の真髄をさぐる。

感想・レビュー・書評

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  • 先生。所有している御本半分以上未読です。
    先に逝かれるとは思いませんでしたよ。
    著者の方って死んでしまった気持ちになりません。まだ何処かで存命されているような気持ちになります。
    渡邉昇一氏に続いて今年度は重たい年です。

  • 著者の考える保守主義について、原理的な考察をおこなった本です。

    著者によれば、保守主義はただ伝統を形式的に墨守するだけの立場とは異なります。保守主義とは、伝統や慣習のうちに、現在の生の活動にとって重要な平衡の基準を見いだそうとする立場でなければなりません。

    人間は、現在の状況の中で自由に決断することを迫られています。保守主義は実存主義とともにこのことを認め、しかしそうした決断に際して私たちを支えてくれる良心を伝統の知恵の中に見ようとする点で、単なる決断主義的な実存思想とは区別されることになります。

    また、保守主義は正統と異端のせめぎ合いが存在することを認めます。しかも、自分自身が伝統の正統な継承者であるかどうかということに関して、健全な懐疑を忘れることもありません。この点で保守主義は、正当と異端の区別そのものを廃棄し、いっさいの伝統から離れてしまおうとする急進主義とは区別されますが、同時につねに自分自身を疑ってみる謙虚さとユーモアの精神を忘れることはないとされます。

    さらに著者は、チェスタトンの「死者の民主主義」という言葉を紹介して、伝統の知恵に基づきながら現在の状況に適切に対応する姿勢が、保守主義のあるべき姿だと述べています。

    保守の思想の精髄を哲学的に掘り下げており、単なる状況論を超えた保守主義の魅力が語られています。

  • (「BOOK」データベースより)
    バブル崩壊と冷戦の終焉から十年すぎた。しかし今なお、経済の立て直しから有事への対処などに至るまで、依然として議論だけが続いている。しかも、その空疎な対立と不毛な論争の蔭で、学級崩壊、官民を問わない不正行為の続出、各種犯罪の増加など、日常の社会そのものは緩慢な自死の過程をたどりつつある。そして、資本主義の挫折と帝国主義の再来、それが世界の大状況となっている。この危機に、私たちはどう臨めばよいのだろうか。単なる郷愁やかたくなな復古ではなく、美徳と良識にもとづいて公共空間を再建するため保守思想の真髄をさぐる。

  • [ 内容 ]
    バブル崩壊と冷戦の終焉から十年すぎた。
    しかし今なお、経済の立て直しから有事への対処などに至るまで、依然として議論だけが続いている。
    しかも、その空疎な対立と不毛な論争の蔭で、学級崩壊、官民を問わない不正行為の続出、各種犯罪の増加など、日常の社会そのものは緩慢な自死の過程をたどりつつある。
    そして、資本主義の挫折と帝国主義の再来、それが世界の大状況となっている。
    この危機に、私たちはどう臨めばよいのだろうか。
    単なる郷愁やかたくなな復古ではなく、美徳と良識にもとづいて公共空間を再建するため保守思想の真髄をさぐる。

    [ 目次 ]
    地球の危機―帝国主義が蔓延する
    情報の空虚―ITが空回りする
    「戦後」の完成―アプレゲールの末路
    感情の優位―合理の前提はどこにあるのか
    葛藤の遍在―感性は錯綜している
    平衡の必要―健全な精神は精神の曲芸を要求する
    幻覚の不可避―精神のはたらきはすべて仮想である
    持続の意義―リアリティの根拠を求めて
    成熟の希求―常識という「死者の書」
    愛着の必然―手段へのこだわりが生をゆたかにする〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 「葛藤の遍在」を述べた章が印象的です。

    「自分がとくに打ち込んでいる狭い領域の外にある一切のことを知らないのを美徳だと公言するに至り、全体的知識にたいする好奇心をディレッタンティズムとよんでいる」とオルテガは専門家を批判しますが、そこには葛藤の遍在がないからです。

  •  古いものを好む、という性格が私にはあったりする。
     そういうのもあってなのだろう、こういう本に惹かれたりするのは。
     そしてその性格は今でもあまり変わりようは無い。
     そこで思う事を述べれば、
     表層にあるものに囚われる事無く、
     深層にこだわろうとし、それを見出す事、
     その作業に従事する事、さすれば人は自然に保守化していくのではないかと思う。
     単なる懐古趣味を気取るのが保守ではない...いや保守であったとしてもよいにしても、その場合、保守は信用できる概念であると私は考えない。
     ともかくそうした態度を有していれば、流行・新奇なるものを嫌おうと意識的に努める事はなく、無意識的に流行・新奇なるものを退ける構えが熟成されていくのではないかと私は考える。
     そしてそれは、気づけば歴史・文化・慣習・伝統といったものへの愛着へとなり、むやみやたらに文明に流さない生を確保し、精神の安定へと導くのではないか。
     その橋頭堡を築くための参考になる一冊ではないかと思う。〔平成22(2010)年2月14日〕

  • 【本書を買ったきっかけ】西部邁氏の著書「国民の道徳」に影響を受け、保守思想というものに興味があったので買ってみた。
    【著者プロフィール 発売日時】1939年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学教養学部教授を経て、現在、『発言者』主幹、秀明大学教授。著書として、『経済倫理学序説』(中央公論新社、吉野作造賞)、『生まじめな戯れ』(筑摩書房、サントリー学芸賞)。93年、正論大賞を受賞。第一刷発行 二〇〇二年九月二十日(アマゾン、著書から引用)。【感想】西部邁氏の著書のいつもながらの特徴だけども、容易に理解はできない。だが、繰り返し読むうちにだんだん理解できるようにはなってくる。内容は深いので、私には損の無い一冊。保守思想に興味のある人には良いと思う。

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著者プロフィール

西部 邁(にしべ すすむ)
1939年3月15日 – 2018年1月21日
北海道生まれ。北海道札幌南高等学校卒業後、東京大学入学。60年安保闘争に参加し、新左翼運動を先導。しかし61年3月に左翼過激派と決別。東京大学大学院経済学研究科理論経済学専攻修士課程修了。

東京大学教養学部教授時代の1988年に中沢新一さんの助教授採用をめぐる採決(否決)に抗議して大学を辞職。以降評論活動を続ける。「朝まで生テレビ」に出演してお茶の間にも名を馳せた。
主な受賞歴として、1983年『経済倫理学序説』で吉野作造賞、1984年『生まじめな戯れ』でサントリー学芸賞、1992年第8回正論大賞、2010年『サンチョ・キホーテの旅』により芸術選奨文部科学大臣賞。
(2018年5月10日最終更新)

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