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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480059826
みんなの感想まとめ
戦争に関する倫理や正義について深く考察した本書は、さまざまな視点から戦争のルールや目的を探求しています。著者は、反戦の立場を明確にしつつ、実在する憲章や条約を基に「平和」や憲法についての議論を展開して...
感想・レビュー・書評
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一読して、「引用とそれに対する是非が多く、筆者の独自の意見が見えにくい」と感じたが、遡ってみれば反戦メールや巻末の詩など、筆者の立場を明らかにする要素は多かった。単に印象に残りにくかったというだけであろうか。
序盤で小林よしのりの著作が引用されているとのことで、筆者の態度、引いては本書全体の信頼性について警戒したが、いざ読んでみると小林よしのりの著述に対して強く批判的な立場を取っており安心できた。
戦争(/武力行使)容認派、無差別主義、憲法九条反対派……などなどの立場の者からは批判を受けるであろうが、実在する憲章条約、憲法、既存の反戦論や憲法解釈·意見など、人文学的知の集積や現行の法に立脚して「平和」また本書後半では「憲法(9条)」についても考えられており、評価に値する1冊であったと感じる。
一点だけ批判するならば、筆者は「現行の憲法では自衛権の言及がなくわかりにくいので(自衛権の有無、有るならばその発動条件について)言及するものに変える(改憲す)べき」と述べているが、改憲に当たっては憲法九条を疑問視する者が手をつける可能性が高く、「自衛権に言及する」だけでは済まないであろうと考えられ、交戦権の否定部分が削られる可能性などが高く危険であるため改憲は避けるべきであると思う。
全体として難しい単語やわかりにくい言い回しなどもなく、わかりやすく読みやすかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルの"倫理"が国際法に基づいた形だけの議論が中心であったように感じる。
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途中まで
授業用に -
911の影響を強く受けて出された本だけど、改憲議論やトランプ政権のことを客観的に考えるガイドが欲しいと思い一読。
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[非熱狂の道標]時代とともに変化する性質とともに発展してきた戦争に関する倫理や思想。その流れを踏まえた上で、21世紀の国際社会が戦争について考えるために土台とすべき共通見解は何かを紡いだ一冊です。著者は、生命・環境等の倫理学を専門とし、ヘーゲルに関する研究で和辻哲郎賞も受賞されている加藤尚武。
戦争をめぐる思想史にも光を当てながら、なんとも重いテーマを前にして縦横無尽に思想を広げていく加藤氏の筆は圧巻。それだけに、執筆に当たっての時間が限られた中で、過去の作品の加筆・修正版を多く取り入れたためか、切り貼り的なつくりになってしまっているのは残念でした。
本書の中で特に興味深かったのは、東京裁判、特にパール判事の無罪論の真意を探ったところ。とかく感情論を避けながら、いわゆる「日本無罪論」とは何かについて論じている箇所は戦争倫理学そのものに興味がなくとも一読の価値があるかと思います。
〜世界中の「世論」が、戦争に向かって走り出したときに、踏みとどまって、世界が狂気に陥っており、自分こそが正気であると言えるために、私たちは自分自身の位置を正確に測定できるような、羅針盤を持たなくてはならない。それが「戦争倫理学」である。〜
なんとも新鮮な角度からの指摘でした☆5つ -
戦争をテーマに倫理学の立場からの考察をおこなっている本です。
新書なので分量的にやや厳しい制約がありますが、いちおう国家主権の絶対性という思想の来歴を紹介し、ロックからカント、ヘーゲルと、近代の思想家たちの戦争論を踏まえて議論が展開されています。また後半では、東京裁判におけるパル判決書や憲法9条などをテーマに、戦争と平和についての原理的な観点からの考察が展開されています。
比較的イデオロギー・フリーな立場からの、戦争についての倫理学的な考察の一端に触れることができたという意味で、個人的には有益な読書だったように思います。 -
戦争のルールについて考える、それが戦争倫理学であると著者は説く。
実際戦争にルールなんてあるのか、という疑問が出てきそうだが、本書はそんな根本的な疑問を中心に進む。存在する戦争のルールが何故今まで無視されてきたのか、これからも無視され続けるのか。アメリカのアフガン戦争を発端にした現代暴力について考える手助けをしてくれる一冊。
ただどうも本書はいくつかの論文を編集したものであるらしく、全体像が掴みづらい印象を受けた。章ごとに別の話をしていると思って読んだほうがいいかもしれない。 -
戦争は無い方がいいですか?との問いに、あなたはどう答えるだろうか?「人がたくさん死ぬから無い方が良いに決まってる!!」と答えたあなた。では「目の前で誘拐されそうな友人を、実力で救い出してはいけないと思いますか?」との問いにはどう答えますか?
戦争に関する既存の「まやかし」の議論に惑わされずに議論するために、知っておくべき論点が提示されている。例えば、戦争をする権利やルール、第二次世界大戦における日本の罪、憲法9条の問題点等々、複数の観点から見ると浮かび上がってくる矛盾も示されている。
以下はメモ
12〜13頁:
この章はある引用から始まるが、これを読んで何を思っただろうか。どれほど残虐なものであっても「慣れ」が生まれてしまう。そこで著者は「正気の判断を維持するためには、『慣れ』に抵抗できる仕組みが必要である」という。
102〜123頁:
ここは8・9章に相当。カントやヘーゲルの考え方が出てくる。他の章と比べると(個人的には)、読んでもそれほどには興味を持てない部分だった。
183頁:
「改釈」の文化は憲法9条の「改釈」から始まったのではないか、と著者はいう。国産肉、安全な食品、危険な原子炉…
様々な解釈・趣旨に照らしていくと9条の不明な点が見えてくる。特に自衛権。 -
倫理学者が戦争と倫理について語る15章。過去に書いた小文をまとめて出版したものらしく,全体のまとまりには欠ける。
基本的に反戦の立場から,9.11後の米国の対テロ戦争や,小林よしのりの『戦争論』を批判している。
反戦といっても現実を見ていない理想主義的なものではなく,戦争を有効に終結させる平和的手段がないときに,既発の戦闘を停止させるための戦闘行為は正当としている。時代を経るにつれて,平和的手段の選択肢は増えていくと信じたい。楽観的に過ぎるだろうか。 -
各章が示すように、戦争に関する概念及び法的解釈の適用に従い、戦争開始規定と戦争経過規定について、ブッシュ大統領のイラク派遣の是非を始めとして解説している。
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アメリカの所謂対テロ戦争を契機にまとめられた,著者の戦争に関する短文集といった体裁か.そのため,ところどころ話が行ったり来たりする感じはある.ただ,あるべき反戦・平和の形を考える上では実に参考になる良書.
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戦争についての論点を見事なまでに整理して目の前に並べられて、僕の「戦争観」の迷妄ぶりをぎゃふーんといわされて、恥じ入るばかりである。
トーマス・モアの処刑、ヒロシマ・ナガサキ原爆投下、湾岸戦争とイラク戦争、民主主義は平和であるという誤解、東京裁判、正当防衛と自衛権、憲法九条などなど、当代随一の倫理学者の立場からするどい論評を加えていて、かたよらない論述になっている。
しかし、著者は多くの人が「人間は闘争本能をもつから戦争は永遠になくならない」というあきらめの議論(僕もそう思っていたのだが...)に対しても、4項目を挙げて、これらが不可能なことを証明しなくては「戦争は永遠になくならない」ということの証明はできないし、そのためにはかなり込み入った論議になるという。著者は人間として、「戦争を永遠になくならせることは可能だ」という希望を与えてくれる。
これは無責任な絶対平和主義者の理屈とは違い、僕らが謙虚に傾聴しなければならない主張だ。 -
[ 内容 ]
九・一一以後、世界は戦争に向かって地滑りを起こしているのかもしれない。
こうした状況にあって、ともすると人は、戦争が生み出す悲惨な現実に慣れてしまい、正気を失ってしまう。
まやかしの議論に乗せられないためには、戦争に関する最低限の議論を知っておかなくてはならない。
本書は、そうした重要論点を整理し、戦争抑止への道を探る戦争倫理学の試みだ。
同時多発テロに端を発する米国の軍事行動、ロールズの原爆投下批判、憲法九条問題などが取り上げられており、いま、戦争について冷静に考え、実りある議論をするための、重要な手がかりを与えてくれる。
[ 目次 ]
戦争に関する正気とは何か
戦争の二種類のルール―戦争目的規制(jus ad bellum)と戦闘経過規制(jus in bello)
連続テロに対する報復戦争は正当か―私の第一の反戦メイル
国家という猫には誰も鈴をつけられない―トーマス・モアの処刑とグローティウスの戦争論
アメリカの良心は「ヒロシマ」に「ノー」と言った―ロールズの原爆投下批判
ゲルニカを忘れないで―私の第二の反戦メイル
鉛の兵隊さんはどうして美しい制服を着ているのか―傭兵軍から国民軍への転換
カントの「永久平和論」
人は共和国のために命を捧げる―ヘーゲルの考えた国家と戦争の関係
戦争をした日本は有罪か―「東京裁判史観」と東京裁判の問題点〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
加藤尚武は好きだけど・・
この新書、内容薄いと思う・・・
正直新書・文庫はもう読む気にならないので、論文のほうを探そうと思う。
ものすごく優れた倫理学者だと思うので残念。
翻訳物の『愛と正義の構造』(シューメーカー)は面白かったのに。 -
はっきりしていてなかなか面白かった。引用が多くて勉強にはなるけれどもその分著者の主張も少なくなるから少し物足りなくも感じる。原爆投下や非戦闘員への攻撃についてはその悲惨さを彷彿とさせるものがあった。でも今更九条について作りが甘いだのそんな文句を言っても全く意味がないと思う。
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なんかの講義で本読んで感想提出しなさい見たいなのがあって、その関係で読んだ本です。
どう考えても「戦争」と「倫理」が結びつかないのですが。ちょうどイラク戦争が始まった頃に読んだのだったと思います。戦争の意味とか政治家の思惑とか色々考えていた時期でした。考えさせられる本です。 -
確かに戦争について倫理の側面からさまざまな考察を加え、9/11に対する報復への意見等はうまくまとまってると思う。しかし、ほとんどの部分が他著の引用と問題提示に終わっており、また理想主義の面も見える。平和学を多少なりともかじっている身からすれば個々の問題に対する、広い視野を持った実践的な解決策こそ重要でありこういう尻切れトンボの意見は正直役に立たないと思う。まぁ、戦争とは何かを知る入門書としてはその役目を果たせるとは思うけど。
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9・11以後の対イラク攻撃を起点にして、戦争の是非について論理的考察を行ったもの。
といっても「戦争は是が非か」という実にナイーブな問題を扱うので、著者の意見よりも、作者の倫理的観点に合う他著作の引用の寄せ集めの感がいなめない。
それでもまあ、「戦争はなぜいけないの?」「戦争をしていいの?」どちらにしても、戦争について思う素朴な疑問に、一つの答えらしきものを提示してくれるものではある。
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