やぶにらみ科学論 (ちくま新書)

著者 : 池田清彦
  • 筑摩書房 (2003年11月発売)
3.42
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  • レビュー :10
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061409

作品紹介

クローン人間作ってなぜ悪い?地球温暖化なんてホントにあるのか?科学とオカルトって、どう違う?…オソロシイ勢いで進歩し専門化してゆく科学に、多くの人びとはついてゆけない。そのくせ、いかがわしい科学(まがい)は無根拠に信じてしまう。かように厄介な科学的現実から虚飾を剥ぎ取り、本質を見極めるにはどうしたらいいのか。そこで、生物学の風雲児(?)池田センセが最新の科学トピックに縦横に斬り込み、徹頭徹尾「論理」で腑分けする。

やぶにらみ科学論 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 科学論というよりも、「科学に対する人間」論。

    “人々は科学の成果を利用する権利を有するが、科学がよしとするものに従う義務はない、と私は思う”

    私が子どもの頃、科学は今よりもいい生活に向かって延びていくレールのようなものだった。
    今は、科学は万能ではないし、必ずしも人間のためになるものばかりではないこともわかってきた。
    では、人間は科学とどう向き合えばいいのか。

    今の科学は細分化されすぎてしまって、全てに対して専門的であることは無理だ。
    だからこそ、基礎をきちんと学習することが大事だ。
    マスコミが無責任に垂れ流す似非科学、国や企業が自らの利益のために恣意的に押し付けてくる科学論理。
    そういうものを見極める目。それが必要だ。

    世間一般の風潮を、いったん立ち止まって考えてみると、流されてるな~と思うことしばしばである。
    著者はあえて世間を敵に回すような立ち位置で物申しているけれど、言われて見れば納得のいくことばかり。

    「自然保護と原理主義」原理主義とは手段を目的にしてしまうこと、と考えるとわかりやすい。
    「地球温暖化論のいかがわしさ」ひと月先の天気予報だって無理なのに、地球が温暖に向かっているのか、寒冷に向かっているのかなんてわからない。
    「クローン人間作って、何が悪い」生物の形質はDNAのみによって決定されるわけではない。クローン人間と元になる人間は一卵性双生児ほどにも似ていないと考えられる。
    「加速するバカ化」日本の大学生の大半は智への憧れも畏れも皆無である。
    「死ぬことと生きること」たくさんの死の上に自分の生があることを認識して、人はやさしく上品になれるのだと思う。やさしくても上品でも、いずれ死ぬことに変わりはない。

    特に強く同感したのは「定期検診は病気を作る?」
    定期検診でがんを早期発見できた人が、私のまわりにも何人かいる。
    それを踏まえたうえで、あえて言いたいのは、定期検診の結果として出される数値の正常異常は、あくまでも国が決めた目安であるにすぎないのである。
    そこに個体差は考慮されてはいない。
    どういう状態がその人の最適な状態なのかは、平均的な数値からは出てこない。
    だから、自覚症状の伴わない多少の異常値に、無理やり病名(疑い)をつけて再検査や精密検査を強要するのはいかがなものか?

    2000年まで日本に高血圧の人は1600万人しかしなかったのに、21世紀になった途端3700万人になった。
    なぜか。
    日本高血圧学会が、高血圧の基準値を160/95mmHgから140/90mmHgに引き下げたから。
    60歳以上の6割以上が高血圧症というのなら、むしろ高血圧の方が普通なのではないの?

    病気は数字が作り出すものではないはず。
    あきらかにレントゲンや内視鏡などに異常が見られたときは別として、数字で線引きされる異常については、もう少し体の声を聞いてみることが大事なのでは。
    つまり何事も盲信するのは危険だね、ということ。

  • 池田清彦の毒舌が痛快。
    科学に関する考え方も示唆に富むものが多々あり。

  • BSEや地球温暖化、クローン技術など、さまざまな問題を扱った著者の科学エッセイを24編収録している。

    著者の議論を支えている柱の一つは、著者が「好コントロール装置」と呼んでいる近代国家のパターナリズムに対する批判である。ただし本書は「リバタリアンのすすめ」といったような内容ではなく、科学的な装いを施したパターナリズムに対して科学者の立場から問題点を指摘するというもので、勉強になるところが多かった。

    本書の議論を支えるもう一つの柱となっているのが、著者のいう「構造主義的科学論」の視点。これは、あらゆる科学の理論は「同一性」というものに依拠して組み立てられているという科学認識論上の立場だと言ってよいだろう。そして著者は、唯脳論の養老孟司とともに、この同一性を構築するのは脳の働きだと述べている。

    個人的には、この2つの立場のどちらに対しても、全面的に賛同できないと思うところはあったのだが、それでも本書はおもしろく読むことができた。ただし、読者によっては著者のシニカルな語り口が好きになれないと感じるかもしれない。

  • 本になる前の連載を読んでました。2002年9月「加速するバカ化」
    読みやすく、興味深いエッセイだったと思います。

  • 科学と人間の関わり方や、科学と社会の依存関係について、かなり自由な立ち位置から書かれたエッセイ集。いわゆる某某原理主義者のような、科学の上澄みをすくった都合のよい解釈の押し付けに、断固異論を叫んだり、さまざまな権威から強いられた「常識」や「良識」に反論してみたりと、歯に衣着せぬ発言が気持いい。そうかと思えば、「無常」という感性と、科学的な同一性の論理を対峙させた哲学的思索もあったりする。著者の専門分野である生物学には囚われず、いろいろな話題があって読み進めても飽きのこないラインナップだ。
    《…人々は科学の成果を利用する権利を持つが、科学がよしというものに従う義務はない…》

  • 科学エッセイ。どうも視点と内容はいい気がするが、エッセイというかたちのせいか若干内容が薄いのと、皮肉な感じがして星二つ。
    皮肉ならとことんユーモアにして頂きたいし、科学視点ならとことんいってほしい。

  • [ 内容 ]
    クローン人間作ってなぜ悪い?
    地球温暖化なんてホントにあるのか?
    科学とオカルトって、どう違う?
    …オソロシイ勢いで進歩し専門化してゆく科学に、多くの人びとはついてゆけない。
    そのくせ、いかがわしい科学(まがい)は無根拠に信じてしまう。
    かように厄介な科学的現実から虚飾を剥ぎ取り、本質を見極めるにはどうしたらいいのか。
    そこで、生物学の風雲児(?)池田センセが最新の科学トピックに縦横に斬り込み、徹頭徹尾「論理」で腑分けする。

    [ 目次 ]
    若者の理科離れ
    自然保護と原理主義
    狂牛病
    市民バイオテクノロジー情報室の発足
    好コントロール装置と健康
    セカンド・オピニオン
    科学的知識の確実性
    食い物とエスノセントリズム
    地球温暖化論のいかがわしさ
    科学はリアリティーを喪失した?〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ・「論」とあるが余り論理的ではない。
    ・温暖化やクローン、理科離れ、自然保護、狂牛病等々、幅広い内容。

  • 日ごろのニュースを科学的な視点からみるエッセイ的な本。2003年。若者の科学離れから職の安全まで、日常的な出来事を多岐にわたり解説していく。ガンの主原因はタバコではなく車であること、危険な肉を食べるよりも昆虫を食べたほうが安全で栄養価が高いこと、などマイノリティな主張となっているが面白い話が多い。確かに喫煙者が減っているのに、肺がん患者が増えているのはタバコによるものではないことの裏づけだろう。しかし、日本は車メーカーが一部支えているところもあるから、国、マスコミも追及できないのか。普段のニュースの一般的な見方ではなく、やや斜めからみている点が面白く、オススメである。

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