禅的生活 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061454

作品紹介・あらすじ

生きにくい世の中である。不況、雇用不安などの外圧もさることながら、個人の内部に深く根差した、生きるための目標、足場の固め方までもが見えにくくなっている。だけど、しょせん人はこの身と心で生きてゆくしかない。それならいっそ、ものの見方をがらりと変えて、もっと楽に生きるための思考法を身につけてしまおう。作家にして禅僧である著者が、禅語をもとにその世界観をひもときながら、「今」「ここ」を充実させるための様々な智慧を、坐禅なしに伝授してしまおうという画期的にしてフラチな人生指南&禅入門の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 一般の人の視点にたった言葉遣いで書かれているからか、禅に関する他の書籍と比べて分かりやすく、あっという間に読み終えた。おかげで、もう少し禅について学んでみようと思った。

  • 「不立文字」「教外別伝」といわれる禅ですが、これまで禅僧たちはかぞえきれないほど多くのことばをのこしています。本書は、これらのことばを題材に、禅と人生についての考えをつづったエッセイです。

    「悟り」の心理状態に脳科学的アプローチでせまる研究などにも言及しているのが特徴的といえるでしょうか。脳科学で明らかになるのは、しょせん脳のなかの出来事にすぎないのではないかという気もしますが、脳科学万能主義の時代にあっては、それらの成果をある意味で無節操に利用するのも「方便」ということなのかもしれません。

  • 若干理解が誤っているかもしれないが、
    ・本来の自分は動物的なもの。
    →p.64 本来の自己は傷つきもしないし汚れもしない。しかし作り物の自己は作り物であるが故に傷つき汚れやすい。迷いも、この作り物の自己に特徴的な現象なのだと思う。…禅が否定するのは学習や経験によって形作られた価値判断やスキキライによって、今の出逢いに余計なものが介在することだ。「先入観」なく、出逢えというのである。

    煩悩とは…p.119
    1.全体視機能(いっしょくたに見ちゃう)
    2.還元視機能(細部ばかり気にする)
    3.抽象機能(概念に溺れて具体を見ない)
    4.定量機能(数えたり計ったりして、もっと欲しがる)
    5.因果特定機能(ついご褒美を期待しちゃう)
    6.二項対立機能(つい比べちゃう)

    風吹けども動ぜず

    p.130
    日日是好日

    晴れの日だけでなく、雨の日でも風の日でも曇りの日でも、独立した瞬間と新鮮な出会いをする。一瞬一瞬が新しく、ありがたい。

    禅とは、無理をせず、自分を、自分の感情の変化をも含め突き放して考えることなのかな、と思った。
    自己の充足、というか受容の上に、利他や慈悲がある…のかな?
    全ては自己の中にある、とはそういうことかしら。

    禅は究極の個人主義というくだりもあったような気がする。
    自分には合うと思う。

  • NHKブックレビューで高泉淳子さんのお薦めということで読んでみました。
    とても難しかったです。
    知らない言葉がたくさんで、知っている言葉でも禅語として
    読み方が違ったり、意味がちがったり。
    何度もやめようかと思いましたが、どうにか読み終えました。

    他の方のレビューを読むと、意外と簡単に読めたようなものもあるので、理解するにはある程度の知識が必要なのかなと思います。

    でも読み終えてみて、この本を読んでみたことが
    自分にとって禅的生活だったかなと。

    「百尺竿頭に一歩を進む」
    「知足」
    「回向返照」
    「行雲流水」
    「日日是好日」

    さらに、読むことに苦労したその辛さは
    風流(一般の意味とは違います)を味わうということ。

    もう少し易しい本で
    もっと禅を知りたいし
    この著者の本も読んでみたいです。

    でも当分読みたくないですが

  • ざっくばらんな語り口。 だが内容は手強い。
    繰り返し読んでじっくり咀嚼したい中身の濃い一冊。

    禅語の解説もほどほどで、バランスが良い。
    前半の章では、認識や自己といった脳科学や西欧哲学の成果を織り込みながら、悟りの地平を探求する。
    そして後半、筆者は現代社会を生きる心得を求め、以下の如く提言する。
    天職に「三昧」し、苦難に遭いて「風流」の心持を思え… 
    禅の本としては親しみ易い入門書でもある。

  • この本で禅が解るほど浅い世界ではないが、禅の世界を垣間見られる。
    一つ一つの事象は独立していると考え、その事象を楽しみ、佳いと感じる「因果に落ちず今を楽しむ」と云う教えが心に残った。
    ・残念な事象の連続でも将来まで悲観しない。
    ・今の行為の果報を期待しない。
    ・因(原因)でもあり、同時に果(結果)でもある瞬間としての今を味わいつくす。
    実践はなかなか難しいが…。

  • 禅の世界観で日常を解釈していくエッセイ。

    禅の源流となる莊子は、アリストテレスと同時代(紀元前4世紀)に「神の否定と理性への反逆」から思想を練り上げていたが、西洋哲学は今ごろ追いついた。
    禅は、今を大事にするので、将来の価値判断の拠り所とするには限界がある。

    文章の構成として、禅語の定義が最初に出てこないため、よくわからないまま読み進めていくことになることが難点ではある。最後の索引は助かる。

  • 禅の考えをわかりやすく紐解き、それを実生活に反映させるとはどういうことかをフランクな文体で説いていた。
    実際に読んでいくなかで得た考え方を実生活に活かしてみると心が少し楽になるところもあった。ちょうど今が辛い時期だっただけに、日々の生活を気楽にすることができた。

  • 世界を変えたくば、心に、心を許すな。世界は所詮お前の心を通して作られる。何者にも囚われない心で世界を見れば、良いも悪いもなく、全てを瑞々しく感じることができる。現実生活に、禅的な視点を差し込むことでもっと世界は生きやすくなる。

  • 一部難しくてわからないところもありました。
    苦痛や煩わしいことを「風流」と捉えるというのがいい考え方だと思います。
    どんな状況に置かれようとも自分が望んでそうなったのだと捉えるというのも大事ですね。人のせいばかりにしている人はいつも愚痴ってばかりでつまらない人生だと思います。

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著者プロフィール

一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。

「2020年 『なりゆきを生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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