ことばとは何か (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.25
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本棚登録 : 49
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061638

作品紹介・あらすじ

ことばが初めから完璧なものなら、それは変わらないし多様な形をとることもないはずだ。しかし実際には時間とともに姿を変えるし、地上には何千種類ものことばがある。社会規範に取り込まれながらも逸脱してゆく。このとらえどころのない対象に十九世紀言語学は生物学のように接近し、二十世紀構造主義はことばの変化に目をつぶったが実はこの変化にこそ本質があるのではないか。ことばを、自らの意思を持たない自然の性質と同時に、技術といった文化的性質をあわせもつものととらえ、当面する言語問題について考える。

感想・レビュー・書評

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  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA6655934X

  • 著名な社会言語学者である著者が、言語学史を渉猟しつつことばをめぐる諸問題について語った本です。

    著者には『言語学とは何か』(岩波新書)という本があり、著者自身の言語学についてかなりまとまった形で解説されています。それに比べると本書は、もう少しまとまりのつかない、著者自身にとってなかなか答えの出ない問題を考えあぐねている姿を、そのままに差し出した本という印象があります。

    社会的・文化的な側面を持ちながらも、いくぶんかは自然に近いところがあるという、ことばの特有のあり方が、さまざまな問題を引き寄せていることが印象的に語られており、興味深く読みました。

  • 言語学についてのわかりやすい概要

  • 2014.09.04 再読
    (再読に気付かず書評を書いてしまった)
    「言語学」という学問は何なのかについて書かれている。そういうと陳腐な説明になってしまうが、想像以上に広くて深い世界。科学であって(科学であろうとして)、科学でなかったり(科学になれなかったり)、哲学のように純粋に抽象的な問題かといえば、そうでもない。そのくせ、地政学や政治や思想に関与する強力な実用道具であったりする不思議な学問だ。




    2012.03.01
    言語学者が書いた本。言語学の内容そのものではなく、言語学史といったほうがよく、過去の言語学者がどんな立場で、「言語」や「ことば」に対峙してきたかという視線で、著者の思いが綴られている。
    言及内容は様々で、また多方面を飛び交うので、著者の言わんとすることの的を絞るのはちょっと難しい。ただ、時間(歴史)と言葉の変遷についての話題が多い気がする。
    研究書というより、エッセイに近い個性ある文体で、あちこちに(一言多い)挑戦的な言い回しがあって面白い。

  • [ 内容 ]
    ことばが初めから完璧なものなら、それは変わらないし多様な形をとることもないはずだ。
    しかし実際には時間とともに姿を変えるし、地上には何千種類ものことばがある。
    社会規範に取り込まれながらも逸脱してゆく。
    このとらえどころのない対象に十九世紀言語学は生物学のように接近し、二十世紀構造主義はことばの変化に目をつぶったが実はこの変化にこそ本質があるのではないか。
    ことばを、自らの意思を持たない自然の性質と同時に、技術といった文化的性質をあわせもつものととらえ、当面する言語問題について考える。

    [ 目次 ]
    第1章 言語学史から何を学ぶか(言語と言語学史;規範と体系;誤りの中にこそ真実が;近代言語学はことばをどう扱ってきた ほか)
    第2章 言語変化の問題―ことばはなぜ変ってはいけないのか(ことばは変ってはいけないか、なぜ変るのか;構造への逃走;「社会的事実」とデュルケム ほか)
    第3章 当面する言語問題(言語はコミュニケーションの道具にとどまらない;言語の絶滅にいかに対処すべきか;生物の分類学と言語の分類学 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 言語学史から現在言語が直面している問題まで著者の考えを述べた本。
    言語学史ではソシュール以前の言語学者や、
    彼らの論文などの紹介をしている。
    中国語などの最も粗野な孤立語が
    多少整備されると日本語のような膠着語となり、
    最も整備された言語はヨーロッパ語を中心とした屈折語であるという
    以前の考えられ方の紹介もある。
    また、言語学が誕生するに当たり、
    自然科学の考え方を模倣しながら
    いっぱしの科学としての地位を渇望する様も説明されている。
    クレオールの説明で、
    言語はクレオール化すると多くは屈折語のクレオール化ならば
    日本語のように膠着化するという説は面白かった。
    そのため、著者は歴史的事実はさておき、
    日本語をクレオール的な言葉と呼んでいる。
    神が最初の人類アダムに言葉を与えたという考えがあるが、
    万能の神が与える言語は同じく万能なはずであり、
    言語が変化するという万能ならざる事実に一致しないということから
    第二章の言語変化の問題へと進んでいく。
    動物は、種が起きた時から同じ鳴き方をしているという仮設から、
    言語変化は人間の自由から生じる現象だというのが興味深かった。
    ただ、二章は抽象的なことも多く、あまりよく理解出来なかった。
    三章は、英仏独などの文明語と、
    それに付随するとみなされた言語の独立への歩みや、
    言語を用いた政治的なことまで記されている。

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著者プロフィール

一橋大学名誉教授

「2021年 『ことばは国家を超える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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