天才はなぜ生まれるか

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061669

感想・レビュー・書評

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  • (「BOOK」データベースより)amazon
    日本人にとって「個性的な=独創性を備えた人間」を育てるという目標は、半ばトラウマのようについてまわる事柄である。では、その個性を彩っている独創性は、どのように形作られるのだろうか。ここで厄介なのは、それが、ある能力の欠如による結果として生み出される場合が多いということである。歴史に大きな足跡を残した六人の個性的な生涯をたどりながら、様々な障害が逆に独創性を形成していく意外なプロセスを解き明かす。

  • 「落ち着きがない」「集中力がない」「ボーとしている」「記憶力が弱い」などなど・・・あまりほめことばで使われることはない。しかし、それは現在の学校教育の中でそう思われているだけなのかも知れない。レオナルド・ダ・ヴィンチという人は「万能の天才」と言われる人だ。そして彼はメモ魔(メモばかりする人)だったらしい。しかも、左右反対向きの文字を使って。それを後の人々はこう評する。「たくさんのアイデアを人に盗み見されることのないように、わざと文字を反転させて書いていた」と。しかしよく考えると、鏡に映して見ればすぐまともに読めてしまう。本書の著者は、レオナルドがもともと文字をそういうふうにとらえていた、彼自身もっとも書きやすい方法で書いていたに過ぎない、と述べる。文字がひっくり返って見えるという、脳の障害があるのだそうだ。現在であればおそらく学校で文字の書き方などはどんどんただされていくことだろう。しかし、ルネサンスの時代はそうではなかった。また、レオナルドは短期的な記憶能力が非常に弱かったらしい。だからこそメモをとり続けた。詳細にスケッチをした。計算は苦手だったが、新たな芸術の世界で花開いた。そしてどうも、アインシュタインにも似通った障害があったらしい。だからこそ偉大な発見ができたのだろう。本書には他に、小学校に3ヶ月しか通えなかったエジソン、人付き合いが下手なベル、外国語が苦手なアンデルセン、終始落ち着きのないディズニー。などが登場する。スヌーピー(もとは落ち着きがなく暴力的なキャラクターだった)は自分をモデルに創った作品のようだ。これらの人々は後世に名を残す天才といわれる人々だ。しかし今の学校教育の中では完全に落ちこぼれだろう。有名になることだけが幸せとは思わないけれど、今の学校システムの中でうまく過ごしていけることが幸せとも限らない。何がその人にとって幸せかはその人にしか分からない、あるいはその人にすら分からないのかも知れない。教育に携わる人間は、障害ということも含めて、その子どもの良さを見抜き、伸ばしていけるよう、常に心がけたいものだ。

  • エジソン、アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アンデルセン、ベル、ウォルト・ディズニーという天才と言われた彼らが、何故天才になり得たのか、その生い立ちや資質から検証している。
    著者の説によると、彼らは皆障害を持っており、それが天才の要素であるという。
    「障害があったにもかかわらず」ではなく、「障害があったからこそ」後世に名を残す業績をあげたのだという。
    劣っている面の存在が、その他の能力の発揮につながっているのである。
    また、彼らが障害を持っていたことが広く知られていない理由として、その時代の状況が影響しているようである。
    「多動症」を例にとると、当時は現在のように必ずしも学校教育を受けなければいけない状況でなかったので、症状があまり目立たず、少々風変わりな子という評価に留まっていたからだと思われる。
    逆に言うと、現在の社会におけるストレスが障害を障害たらしめているのかも知れない。
    医学的見地からすると因果関係があるのか不明だが、とても面白い説であると思う。
    また、障害は必ずしもハンディキャップとして作用するとは限らず、反対に弱みとして働くこともあり、それを弱点と捉えてしまうのは健常者の思いあがりであるという著者の言葉が印象に残った。

  • 歴史に残る発明家や科学者、彼らの持っていた障害を取り上げた本。

    作中にも書いてあるのだけど、「ハンデを克服して成功をした」のではなく。「ハンデがあったからこそ成功した」という趣旨の物。

    アインシュタインやダヴィンチにディズニー・・・六人の人間をそれぞれ持っていた障害とそれ故に生み出された個性・成功という様に書かれています。

    個々人の物語として、読んでいて大変おもしろかったです。

    ・・・が、実際にそうなのかな?と、やや障害の検証に首を傾げる部分も多かった気がしました。

    故人の人生、伝記的な物でもありますので、自分はあくまで筆者さんの解釈という様に、物語として楽しんで読みました。それに、ちょっと攻撃的な言い方をしている印象でしたね(苦笑)。

    科学的に詳しく検証されたものを〜という方にはイマイチかもしれませんね。

    ほめてるのかけなしてるのかよく分からない書き方をしてしまいましたが、自分はこの本が好きです。

  • [ 内容 ]
    日本人にとって「個性的な=独創性を備えた人間」を育てるという目標は、半ばトラウマのようについてまわる事柄である。
    では、その個性を彩っている独創性は、どのように形作られるのだろうか。
    ここで厄介なのは、それが、ある能力の欠如による結果として生み出される場合が多いということである。
    歴史に大きな足跡を残した六人の個性的な生涯をたどりながら、様々な障害が逆に独創性を形成していく意外なプロセスを解き明かす。

    [ 目次 ]
    第1章 うわの空のエジソン
    第2章 癇癪持ちのアインシュタイン
    第3章 外国語のできないレオナルド
    第4章 古典嫌いのアンデルセン
    第5章 付き合いべたなベル
    第6章 落ち着きのないディズニー
    第7章 知的障害はなぜ進化したか

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    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • アインシュタインやダ・ヴィンチといった天才たちと多動性障害などといった障害の関連性について述べた本。
    障害はただのハンディキャップではなく、同時に能力を生み出しもするという意見が面白い。

  • 大学での授業「障害児心理学」の課題の本でした。
    課題だと思わなくてもなかなかおもしろいです。
    自分の中にある気付かなかった”偏見”に気付き、見直すことができると思います。
    今求められている教育とは、教師としての教育の考え方や子どものとらえ方が学べると思います。
    学級経営にも直結するでしょう。

  • 読み物としてはとっても読みやすかった。構成がとても上手いし、よく分かる。ただ、やっぱり所々こじつけなんじゃないかなーって思うところもある。まぁ、そうだと言われたらそうなのかもしれないんだけど、やっぱりそれは、タイムマシンでもなくっちゃ分からないよね。

  • エジソン ADHD
    アインシュタイン LD
    レオナルド・ダ・ビンチ LD?
    アンデルセン 文法が理解できない障害
    グラハム・ベル アスペルガー
    ディズニー ADHD

    有名な6人の方々をピックアップし、実は障害があったという事実。

    一番興味をひいたのはレオナルド・ダ・ビンチ。

    波瀾万丈だ。

  • 正高信男の天才はなぜ生まれるかを読みました。脳の一部の機能に障害がある場合は、生物的なしくみにより、その回りの部位が障害のある部位の機能を保障しようとします。このような場合に、その保障しようとする回りの部位が発達することにより、ごく一部の機能については障害のない人より能力が高くなってしまうことがあります。歴史に名を残した偉人の中には障害を持って苦しんでいた人も多いのですが、正高信男は後世の伝記作家が「彼は障害を持っていたにもかかわらず、やがて物理学者に...」と書いているところは「彼は障害を持っていた<FONT COLOR=#FF0000>からこそ</FONT>、...」と書くべきである、と主張しています。この本を読んで思ったのは、いま、学力の低下などが叫ばれていますが、日本の教育体制自体が硬直化してしまい、ゆとりや包容力を失ってしまっていて、このような人たちを受け入れることができなくなっているんじゃないかな、ということでした。私は教育の現場にいるわけではないので単なる想像なんですけど。""

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著者プロフィール

大阪生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。米国立衛生研究所、独マックス・プランク精神医学研究所などを経て、現在は京都大学霊長類研究所教授。著書に『コミュ障 動物性を失った人類』(ブルーバックス)『音楽を愛でるサル』(中公新書)など多数。

「2017年 『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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