公共哲学とは何か (ちくま新書 469)

著者 :
  • 筑摩書房
3.14
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061690

作品紹介・あらすじ

人びとの間に広まるシニシズムや無力感、モラルなき政治家や経済人、やたらと軍事力を行使したがる大国-こうした大小さまざまの事態に直面して、いま「公共性」の回復が切実に希求されている。だがそれは、個人を犠牲にして国家に尽くした滅私奉公の時代に逆戻りすることなく、実現可能なものだろうか?本書は、「個人を活かしつつ公共性を開花させる道筋」を根源から問う公共哲学の世界に読者をいざなう試みである。近年とみに注目を集める「知の実践」への入門書決定版。

感想・レビュー・書評

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  • ・「滅公奉私と滅私奉公の共犯関係」
    ・公私二元論が、現代のリベラリズムが持つ思想
    ・「政府の公・民の公共・私的領域」の相関三元論
    ・石田梅岩は、商人を「天下の相(たすけ)」という公的な
     役割を担う「市井の臣」とみなした。
    ・「学会の業界化」 同業者仲間のピアレビューや、
     ネポティズム(縁者びいき)によって、学問が「私化」されていく。
    ・デューイの影響を受けた佐藤学の「学びの共同体論」
     対話的実践を組織化するため、チャイム、校内放送、
     全校集会、校長訓話、反省会など、学びに不必要なものを
     すべて廃止し、学校におけるカリキュラムと時間割の変更を必要とする。
    ・哲学の不在

  • 英米よりの話だと思っていたが大陸系も満遍なく紹介されていた。これは15年前の本で、それから公共哲学関連の本はたくさん出ているのだが、どれくらい見どころのある話なんかな。あと言葉遣いが独特。立場の偏りも相当あると思う。

  • 公共哲学は何を論じ、何を批判し、何を目指すのか◆古典的公共哲学の知的遺産◆日本の近・現代史を読みなおす◆公共世界の構成原理◆公共哲学の学問的射程◆グローカルな公共哲学へ向けて

    著者;山脇直司(1949-、青森県八戸市)[一橋大学経済学部→上智大学大学院哲学研究科→ミュンヘン大学]〈公共哲学〉東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻教授

  • 公共哲学の日本における第一人者である著者が、公共哲学の理念と概要をわかりやすく解説している本です。

    本書の前半では、哲学や社会学、政治学といった諸学問を横断的に見渡しながら、東西の思想家たちの取り組みを公共哲学という観点からまとめています。また後半では、政治、経済、社会、科学技術、教育、宗教といった諸分野において公共哲学の理念がどのように追及されるべきなのかという問題が論じられ、さらにグローバル時代においてローカルな立場とグローバルな立場の相克を乗り越える「グローカル」な立場を確立するという目標が語られています。

    公共哲学のマニフェストといった感じの内容で、一つひとつのテーマに関してちょっと掘り下げが不十分なように感じてしまいました。掲げられている理念はすばらしいと思いますが、それを実際に追及していくうえでどのような問題があるのかといったことにまで言及してほしかったように思います。

  • この本が必ずしも「公共哲学」の教科書ではなく、「山脇公共哲学」が記されていることに注意したい。
    学問とは、それを構築しようというプロセス(試行)こそが学問なのだから、歴史上の様々な人物の思想・主張の各々を、「公共哲学的」であるか否かなどと批評(評価)する作業は、あまりエキサイティングには思えない。

    とはいえ本書の表す「山脇公共哲学」には、随所で共感させられた。実際、ケア・福祉、コミュニケーション、地域単位の階層性と「地域性」、官民のはざまの存在(中間集団)、市場経済と公共・・・といった概念が、概念的・抽象的にも導出されていることが印象的。

  • 公共哲学への入門編で、たしかにですます調てわ平易に解いているのですが、もう一度、キチンと行間を睨みながら読んだ方がよさそう・・・

  • 大雑把、若干左翼臭。

  • CSRのサイトで、著者である山脇直司氏の名前と、「公共哲学」なる言葉を見つけ、本書を選んで読んでみた。
    「公共」という観点からは、社会学のフィールドのイメージが濃いが、本書で指摘される通り、社会学では、「価値」や「正義」の問題は扱わないのだろう。現実社会の分析のみならず、世の中がどうあるべきかを問うには、哲学的な考察が不可欠となる。
    また、現代社会においては、国家である公(おおやけ)と、個人的な私(わたくし)の間に、どちらでもない「公共」世界が大きく開けている。経済活動の担い手である会社組織や、NPO・NGOなどである。
    これら、多様な機能をになう組織社会と、個々の現実を背負う人間を包括的に対象としない限り、現代の問題の解決には程遠いのだと思う。
    そういった意味で、著者のいう「グローカルな公共哲学」という概念は、グローバル化した社会に生きる人間として、組織人として、何に価値を置き、どうふるまうかを考えることの重要性を再認識させてくれた。

  • 安藤昌益すごいなあ

  • 教育まわりのお話がおもしろかった

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著者プロフィール

東京大学名誉教授。1949年生まれ。一橋大学経済学部卒業、上智大学大学院哲学研究科を経て、1982年ミュンヘン大学にて哲学博士号を取得。1988年4月から1993年3月まで東京大学教養学部助教授、1993年4月から2013年3月まで同教授および1996年4月以降東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻教授。2013年星槎大学教授、2019年から2023年まで同学長。
主な著書に、『ヨーロッパ社会思想史』(東京大学出版会、1992年)、『公共哲学とは何か』(ちくま新書、2004年)、『グローカル公共哲学』(東京大学出版会2008年)、『社会とどうかかわるか』(岩波ジュニア新書、2008年)、『社会思想史を学ぶ』(ちくま新書、2009年)、『公共哲学からの応答』(筑摩書房、2011年)、『教養教育と統合知』(編著、東京大学出版会、2018年)などがある。

「2024年 『ヨーロッパ社会思想史 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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