丸山真男 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061843

作品紹介・あらすじ

「進歩」が輝いた戦後の一時代は、丸山真男の時代でもある。『日本政治思想史研究』によって気鋭の思想史研究者として注目された丸山は、また時論の人ともなった。「超国家主義者」、「日本ファシズム」批判に始まる論考と発言は、進歩的論壇の流れをつくり、今も広く読者を集める。講和問題や朝鮮戦争、ベトナム反戦や憲法九条、天皇問題などに現われる軌跡をたどり、丸山に「持続する気分」をとおして、戦後日本の夢と悔恨をふりかえる。

感想・レビュー・書評

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  • 東西冷戦期が単純な二項対立を前提とする時代とみれば、丸山さんの考えも腑に落ちる(個人的には違う気がするが)。とはいえ、本書の四章、終章は興味深く、著者の見解も尤もと思うことが多い。本筋と離れるが、将来の検討課題として①フルシュチョフ期の「雪解け政策」が、強制収容所などの管理機構の経費増大と強制収用政策の効用性の低減、これらの経済的負担にソ連が耐えられなくなったことを原因とする点、②フランス革命の「自由・平等・博愛」の原理が、実は後付けの意味付け・解釈で、後の歴史に与えた影響も単純なものではないという点。

  • [ 内容 ]
    「進歩」が輝いた戦後の一時代は、丸山真男の時代でもある。
    『日本政治思想史研究』によって気鋭の思想史研究者として注目された丸山は、また時論の人ともなった。
    「超国家主義者」、「日本ファシズム」批判に始まる論考と発言は、進歩的論壇の流れをつくり、今も広く読者を集める。
    講和問題や朝鮮戦争、ベトナム反戦や憲法九条、天皇問題などに現われる軌跡をたどり、丸山に「持続する気分」をとおして、戦後日本の夢と悔恨をふりかえる。

    [ 目次 ]
    第1章 先生と私(江戸との出会い;大学紛争 ほか)
    第2章 思想家と思想史家―だれが一流思想家か(「一身にして二生を経る」;世代交代と二つのデモクラシー ほか)
    第3章 戦争と平和―朝鮮戦争から憲法九条まで(戦後神話は死なない…;『世界』と丸山 ほか)
    第4章 リベラルと反共―「反・反共主義」をめぐって(反共ということ;「反・ファシズム」と「反共国家」ソ連 ほか)
    終章 天皇と美学(「天皇制」と「執拗低音」;叙勲と美学)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 水谷三公『丸山眞男 ある時代の肖像』ちくま新書、読了。戦後日本の思想史とはそのまま丸山眞男の歩みとそれに対する反応だったのではあるまいか。その奇蹟を自らの歩みと照らし合わせながら振り返る戦後日本思想史論。「尊敬するのと担ぎまわるのとは、確かに違う」。宣揚でも全否定でもなく、等身大の思考として丸山の諧謔をあぶり出す一冊。

  • 当初は丸山批判本の類だろうと思って食しが延びなかったが、AMAZONの書評が案外によさげだったため、急遽購入。一読して、著者の丸山に対する敬愛が伺え、また東大紛争前後の丸山をめぐる人間関係の綾にひかれた。学術的な観点からの批判については、個人的にいいたいこともあるが、参考になった。なお、著者本人は辻清明を指導教官とし、辻の代表作である『新版日本官僚制の研究』にその名を見つけることができることを付言しておく。

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著者プロフィール

1944年生まれ。東京大学法学部政治学科卒業。東京都立大学教授を経て、現在、國學院大学教授。専攻は行政学、日英近代政治。著書に『英国貴族と近代』(東京大学出版会)、『貴族の風景』(平凡社)、『王室・貴族・大衆』(中公新書)、『江戸は夢か』(ちくま学芸文庫)、『ラスキとその仲間』(中公叢書)、『日本の近代13 官僚の風貌』(中央公論新社)、『丸山眞男』(ちくま新書)などがある。

「2012年 『読書三酔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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