公安警察の手口 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.22
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本棚登録 : 212
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061980

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    コナン映画内の公安の描き方はそんなに間違ってないのかもしれないと思いました。目暮警部が風見さんにギスギスしていたわけもわかりました。納得です。

    文章が読みやすく、かつ体験談を交えてくれるので非常にわかりやすい。警察組織がいまいちわかっていない私のような初心者でも読めました。
    しかし作中、一般人になったという鈴木さんの体験談がちっとも一般人のそれじゃなくて、読みながら「いやいやいや!」とツッコミを入れてしまいました。

    この本の中の参考文献を今度は読んでいこうと思ってます。

  • 警察は信じちゃいかん、と最近は思っている。迷子の世話や遺失物の取り扱いなんて付帯サービスに過ぎなくて、その実、警察ってのは人々を監視するのが本業だと思ってる。なかでも公安ってほんと、姿かたちがはっきりしないだけより怖いなと思っていて、だからこの本を読んでみた。そしたら、やっぱりはっきりしないまま。
    著者は新右翼として活動していた関係から公安といろいろ攻防があったそうだけど、そんな彼にしたって公安の全容……どころかわからなことだらけで厚い秘密のベールに隠されていることがわかった。著者のいわんとするところは、「公安がいるために日本の治安が守られているのではない。逆に、公安が事件を起こし、治安を攪乱させているのだ。~中略~公安があるから日本の治安が守られているなんていうのは真っ赤な嘘だ。逆に公安があることによって不必要な事件が起こり、治安が乱されているのだ」ということ。不必要な事件というのは、著者によれば新左翼の内ゲバだったりって感じなんだけど、(確かに公安には何だか腹立つんだけど)そこまで公安のせいにするのは、さらには自分が殺人死体の埋め直しをしたのとかまで公安のせいにするのは、さすがに責任転嫁でしょって思った。
    ほんとは公安を痛烈かつ冷静に非難するような感想を書きたかったんだけど、ちょっと無理。がっくり。

  • 安保法案のデモの様子が連日TVを賑わす中、チラリと映る警察官が何の目的で、どのような方法で逮捕を行うかについて知れる

  • 【読書感想】「公安警察の手口」鈴木邦男

    公安とか秘密の組織とかそういうダークサイドなお話は、どこまでが本当なのかわかんないぶん好きなんです。
    で、小説じゃなく、本当のことが書かれてるものはないかなーと探してみたらこんな本があったのでKindleで購入。

    こわいよ。

    この本が本当なら(本当なんだろうけど)、こんな本買っちゃって読書感想文とかオープンにしちゃったら、
    私もこれから公安にマークされちゃうかもしれん。
    と、思ってこの本は己の中だけで封印してしまおうかと悩みましたわ(笑)

    作者の人は元新右翼の代表だった方で、公安に何度も逮捕、ガサ入れ、尾行などなどをされているようです。

    なので話は右とか左とかオウムとか共産党とかそういう話がメインなんですわ。
    公安もそういうところを監視しているそうなんですが、
    私は右と左の違いもよくわかんないし、革マル派と中核派とかも???だし、
    途中で読むのやめたくなりました(笑)

    なんかもそっと派手な組織を監視してんのかと思ってたので、
    (いや、多分この人が右翼だから話の中心がそっちなだけで公安自体はもっと色々監視してるんだと思います)
    共産党とか右翼とか左翼とかには悪いけど監視対象がなんか昭和で。
    私、さっぱりわかんない世代だし。
    イマイチ、こう自分の盛り上がりに欠けたというか。。。勝手に期待してた自分のせいなんだけど。

    まぁでも実際スパイを育てて情報引き出したり、自分がスパイになったりっていうことはしてるみたいです。
    いるんだね、日本にも本当にそういう人たちが!!

    この作者も言ってたけどわかりやすい右左より、潜在的な方々が増えてるそうで。
    心の中だけで思想を待ってたら公安にマークもされないだろうけど
    ネットでなんか書いたりしてたら割とナチュラルに公安の監視対象になりうるんだなぁ。
    おっかないなぁ。

  • 著者にはまるで同意できなかったが、右翼に対する公安の体質は分かりやすい。
    満足度6

  • [ 内容 ]
    急速に監視社会化が進む日本。
    少しでも体制に楯突けば逮捕される時代となりつつある。
    こうした状況のなかで、不当逮捕を繰り返し、統治機構の末端で暴力を行使しているのが公安警察である。
    しかし、その捜査手法は謎に包まれており、実態は明らかになっていない。
    いったいヴェールの向こう側では何が起きているのだろうか?
    かつて赤報隊事件で公安警察に濡れ衣を着せられた経験を持つ著者が、その捜査手法や権力構造を照射し、知られざる公安警察の“真実”を追究する。

    [ 目次 ]
    序章 やりたい放題の公安警察
    第1章 公安警察の論理
    第3章 「潜在右翼」の発見
    第4章 共産党へのスパイ作戦
    第5章 新左翼へのスパイ工作
    第6章 ガサ入れ、尾行、張り込みの実態
    終章 監視社会のゆくえ

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ちょっと主観的な書き方で抵抗があった。

  • うーん。確かに国家権力っていうのもあると思うんだけど、終始、筆者の考案に対する恨み節のようにも読めてしまった。
    客観的に公安警察を考察するのには別の本のほうがいいかも。

  •  一水会という右翼団体の幹部だった著者による。公安警察伝家の宝刀「転び公防」も写真付きで紹介し、自身の悔しい経験も多くふまえた内容で、文章も読みやすい。転び公防とは、身柄を確保したいときに、活動家を取り囲んだ警官が、触れただけで勝手に転んで「公務執行妨害」として現行犯逮捕することらしい。国家権力恐るべし!
     警察には刑事と公安という全く別の分野がある。国民の安全のために犯罪を取り締まるという点では共通するが、その組織、活動の実態はかなり異なる。刑事警察は何か犯罪事件が発覚したときに、捜査にあたって証拠を集め、被疑者を取り調べ、検察に引き渡す役目。報道に多く登場したり小説・ドラマになるなど華やかな分野だ。一方公安警察は、犯罪が発覚する前から常時各種団体について情報収集に努め、陰謀段階で摘発したり、デモ行進を警戒監視したりする。要するに治安警察だ。任務の性質上、あまり表に出てこないので活動の詳細は不明であり、不祥事も隠蔽されるという。警察の暗部といわれる所以である。
     日本の警察は都道府県の自治体警察が基本である。刑事も公安警察官も、地方公務員として都道府県から給与をうけている。しかし公安警察は、実質上警察庁が束ねており、極めて中央集権性が強い組織である。警察庁が活動費を支給し、情報をまとめる作業をしていて、県警本部を飛び越えて指揮を行うという。活動の基本となる内偵は、警察官自らが集会などに入り込んで行うこともあるが、監視する組織の構成員を買収して協力者(スパイ)とし、そこから継続的に引き出す情報も重要な部分を占める。協力者が良心の呵責から自殺するなどの悲劇をうんだりするが、秩序維持のためには少々の弊害は気にしてもいられない。目的のためには何とやら、時には違法な盗聴も辞さないといわれる。
     あまり目に触れない公安であるが、警察内での力は大きい。警察トップに公安畑出身の人間がなることも多い。実際に有能な人間は公安に配属されるらしい。「日本の治安を守っているのだ」という彼らのエリート意識は高い。確かに六七十年代、過激派の活動が盛んだった頃には公安が未然に防いだ事件も少なくなかったろう。公安の存在は大きな抑止力だったといえる。公安の影に怯えるあまり、協力者でない構成員が協力者と疑われ、総括と称して粛正されるという狂気まで現出する。
     それにしてもあの悪名高い特高警察はとうに解体されたはず。なぜ再び似たような性格の組織がつくられ、今に至っているのか。その理由はこうだ。公安警察は、占領後期の逆コースの中、共産党対策として発足した。当時の共産党は、戦前の非合法闘争から脱し、合法的な政党を標榜していたが、赤色革命を憂慮する当局は党員・シンパを公職から追放した。レッドパージである。当時共産党の脅威はとても大きかった。
     時代は移りかわりソ連も崩潰したが、時代錯誤なことに今でも公安は共産党を重点的にスパイしている。一時過激派の活動がすさまじかった左右両翼の各団体も、破壊的な非合法活動に訴えることはもはやほとんどない。しかし、公安の人員は、最盛期からほとんど減らされていない。デモ隊より多人数でデモを二重三重に囲んで監視したり、公安は今も地道に働いている。さすがに一部で無用論も出たらしいが、オウム事件でまた息を吹き返したそうだ。自己防衛本能はどんな組織にもあるが、公安の場合内部の不透明性が、組織の延命に大きく買っているのであろう。
     共産党を含め、監視される団体と公安との間には、いまや一種の共存関係があるという。このような団体がなくなってしまったり、社会にとって無害であることが明らかになってしまうと、公安という組織の存立が危うくなる。だから公安はこういった組織を完全に撲滅しようとはしない。組織が続くようにほどほどに観察して泳がせておく。その一方、市民にはまだまだこんなに危険な思想の団体が町に潜伏していると吹聴する。監視される団体側は、強大な国家権力につけねらわれていることを自己のアイデンティティにして、結束を固め、日々活動に勤しむ。何かロマンチックでさえある。
     思想が原因の破壊活動は、最近では団体構成員よりむしろ孤立した個人が散発的に起こすことが多くなっている。そういった潜在的な思想犯は、心のうちに秘めた思いを突然暴発させる。公安の力をもってしてもこれを事前に捕捉するのは難しい。ますます公安の存在意義が疑われている。思想犯罪以外でも、昨今は経済的・社会的に追いつめられた個人の通り魔的犯罪が、市民生活への大きな脅威となっている。公安がこの方面に活路を見いだすことはよもやあるまいが、そういう画策がされているとしたら恐ろしい。

  • 経験者談というやつでして

    交通違反の多い方ぜひ右翼になりませんか?

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著者プロフィール

1943年福島県郡山市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。72年「一水会」を結成。

「2020年 『彼女たちの好きな鈴木邦男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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