子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書 511)

著者 :
  • 筑摩書房
3.48
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本棚登録 : 374
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062116

作品紹介・あらすじ

少子化が進んでいる。このままでは日本が危ない。そう危ぶむ声もある。これに対し、仕事と子育ての両立支援などを行い、男女共同参画社会を実現させれば少子化は止まる、と主張する人たちがいる。本書は、こうした主張には根拠がないことを、実証的なデータを用いて示してゆく。都市化が進む現代にあって少子化は止めようがなく、これを前提とした公平で自由な社会を目指すべきだと主張する本書は、小子化がもたらす問題を考える上で示唆に富む一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 煽り系のタイトルに驚きますが
    中身はいたってまじめな統計のからくりを
    ほどいていく本でもあります。

    有意差等懐かしい言葉が出てきて
    ちょっとにんまりした本でもあります。
    (一応多少なりとも統計学は学んだので)

    要するに、いかにも説得力がありそうな
    少子化に関する統計が
    ちょっと条件を変えてみるだけで
    データなんぞはいくらでも都合よくできるということ。

    そしてそれを鑑みて大事なのは
    どの選択肢を選んでも、問題ないような
    社会を作らねばならないということ。

    ま、今の上世代のがいたら無理だわな(笑)

  • この本を読んで、改めて、少子化対策がことごとくうまくいっていないのは、「各対策にそもそも効果がない」、あるいは「前提が間違っている」という思いを強くしました。

    少子化は、ある意味、自然な流れなので、それを前提にした社会設計には大賛成です。
    もちろん、男女平等の実現は大前提。

    以前読んだ、『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』や『デフレの正体』の内容とも合致しており、非常に納得できる内容でした。

    「誰が正しいか」ではなく「何が正しいか」という視点の大切さを改めて感じた、という意味でも有意義な本でした。

  • 少子化問題について、ひらきなおりか?
    著者の明確な主張が、いまいちよく分からなかった。
    「性への自由」と「性からの自由」とは。
    結論、少子化問題への解決策などない。子供を生む、生まないは、選択の自由がある。しかし、少子化に伴い、デメリットとなるのは、年金問題が挙げられる。老人=もらえない。若者≒負担増。産む女性からすれば、機会費用の減少(性差別ともからむが)。また、何をもって、少子化とするか、データの取り方、使い方にも疑問が残る。重回帰分析?よく分からず。原因の無いところに結果も無い。

  • 名著!!

    新書でここまで説得力のある
    本に出会ったのは久しぶり。

    リサーチリテラシーの観点から、
    「男女共同参画が進めば、出生率は上がる」
    という欺瞞を見事に暴いている。

    フェミニズムについても言及しており、

    『「性からの自由」と「性への自由」は等価であることが理想である』

    は至玉の名言。
    その他にも

    ・男女共同参画と出生率回復の理念的欺瞞
    ・特定ライフスタイルへの政府の偏った支援
    ・子育てフリーライダー論
    ・保育・育児支援政策の欺瞞と偏り
    ・アファーマティブアクションの矛盾
    ・「無限という病」=アノミー論
    ・「産みたくても産めない」の嘘とメカニズム

    etc...興味深い考察が目白押し。
    統計の解説部分は文系にはちょっとしんどいけど、
    そこさえ飛ばし読みすれば文章も明確で◎。


    少子化を是と捉える筆者の哲学にはそもそも異論があるが、
    それを差し引いてもほぼ満点を差し上げたい。

    女性の社会進出、高学歴化、晩婚化が進めば
    子どもは減り少子化は加速する。

    女性を犠牲にするか、時計の針を100年戻すか、
    少子化を受け止めて新しい世界を築くのか。

    近代社会の明日はどっちだ。

  •   男女共同参画社会が出生率を上げると言われている。そんなことはないと少子化問題の専門外ながらセクシュアリティの社会学者が少子化問題の根本について爆弾を投げかける。

     社会調査の結果をはデータの扱い方や解釈の仕方で色んな見方ができてしまう。作者は公表されている素データから違う考察を見出してみせる。
     男女共同参画は出生率上昇の為にやることではない。子どもを産むかどうかは個人個人の意思で決めることであって出生率を上げること自体目的とすべきではないと作者は訴える。
     全くもってその通り。変えるべきは出生率ではなくて出生率が上がらないと成り立たないシステムの方であるべきだ。

     真っ当な理論に加え文体が痛快。作者の他の本も読んでみたくなる。
     

  • 100222

  • タイトルの過激さは置いておいて、最近流行りの統計学に関する内容で、特にリサーチ・リテラシーの持ち方について論じている内容となっている
    専門家による「統計」であっても、その専門家の主義主張により都合のよい形に歪められていることがある点について、なんとなく感じていたことを実例により説明している点が良い

  • データリテラシー入門。個人的には『「社会調査」のウソ』よりこちらのほうが好みです。

  • リサーチリテラシーを軸に、子供が減るということの本当に意味するところを問い直す。決して少子化を積極的に推進しようとしている訳ではなく、あくまで少子化の意味するところって、本当に世間一般に言われているようなものなのですか?ってことを、真摯に再考している内容。

  • 再読。
    一つ一つの主張にしっかりとデータをつけ、実名を挙げて反論する論の進め方は、やはり説得力があるし痛快。
    ただ、今って著者の予想とはちょっと違って、ゆるやかに少子化は解消してきてるよね。
    これをどう考えるべきか。「パート2」をぜひ執筆してほしいなあ。

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科教授

「2022年 『社会の解読力〈歴史編〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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