日本経済を学ぶ (ちくま新書 512)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062123

感想・レビュー・書評

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  • 初版は2005年。
    岩田規久男のちくま新書『経済学を学ぶ』、『マクロ経済学を学ぶ』、『日本経済を学ぶ』、を「経済3部作」と独自に名付けて、続けて読んだ。読んだ目的は、毎日読んでいる日本経済新聞をより深く理解するため、より世界を知りたいためとシンプルに言えるけれども絶望的に難しいことはわかっている。
    1作目「経済学を学ぶ」は経済学とミクロ経済学の基礎理論について、2作目「マクロ経済学を学ぶ」はマクロ経済学の基礎理論について書かれている。
    今回読んだ3作目『日本経済を学ぶ』は、第1、2章で戦後復興から高度経済成長を経て、バブル景気から「失われた10年」へ至る2004(平成16)年までの日本経済の歩みについて、第3~7章で、日本的経営とその行方、日本の企業統治、産業政策と規制改革、構造改革と少子・高齢化、日本経済の課題と経済政策、の順に書かれている。

    つい先日GDPでドイツに抜かれ世界4位に落ち、昨日あたりの情報によると近々インドに抜かれ世界5位になることが確実視されているようだ。アメリカを抜いて1位になった時、[Japan as no.1]と日本では騒いでいた。そしてまたアメリカに王座を譲ると、そのうち中国にも抜かれ、ドイツにも抜かれ、そして現在に至る。今「失われた30年」という言葉を時々聞くので、2004~2024年の20年間もそれほど日本経済が隆盛しなかったということになる。先日日経平均が史上初40000円を超えたが、バブルの時のような熱気はない。不良債権問題もいつの間にか聞かなくなった。リーマンショックも大きな事象だし、コロナ禍もあった。何といっても人口減少もあるし環境問題もある。

    著者を信じてちくま新書の「経済3部作」を読んだのはよい勉強になった。経済学は神の視点から見て、世界は広いと感じさせてくれる。例えば、物理でもモノを点として考える状況があるが、経済学も似ているし、ゲームのプレイヤーのような感じでもある。色々な状況や条件を考えているとき、頭の中に様々な経済の要素を使って世界を構築し、日本を浮き彫りにするのが経済の醍醐味だと思う。現状を把握して日本の経済政策を考え、舵を取って行くのが凄い。

  • 戦後の高度経済成長期から失われた10年と言われる平成の長期経済停滞期までの日本経済の道筋を分かりやすくたどる。日銀の政策に2〜3%のインフレ・ターゲット政策を強く求めると書かれている。現在の日銀の政策はこれに沿っているのだろう。

  • 2021/04/13良本

  • 現在、日銀副総裁としてアベノミクスの金融政策にたずさわっている著者が、高度成長からバブル景気、平成の長期不況、小泉改革までの日本経済を、明快に解説した本です。

    本書では、行政指導は産業界の意向をおおむね受け入れる形で決定されていたとし、戦後の高度成長に政府による産業政策が大きな役割を演じたとする見方を批判しています。

    また、平成の長期不況からの脱却には、市場の機能を活用する構造改革だけでは十分ではなく、デフレからの脱却を伴わなければならないという主張がはっきりと押し出されています。本書の刊行は2005年ですが、この頃から著者がすでにインフレ・ターゲット導入の必要性を訴えていたことが分かります。

    本書の立場に対して、経済政策はより広い意味での社会政策の観点を考慮に入れるべきだという批判は当然ありうるかと思いますが(私自身も個人的にはそうした見方に共感しているのですが)、本書にそれを求めるのはないものねだりというものでしょう。一定の立場から、日本経済の歴史と現在の問題についてのクリアな見通しを示しているという意味で、良書だと思います。

  • 授業用

  • 高度成長期から2004年あたりまでの経済の歴史、また日本の経済の
    問題点、課題について書かれています。
    とても勉強になりました。
    また本書では今後どのような政策をとればよいか提案しています。
    その提案のひとつに「インフレ目標設定」を挙げていました。
    これは、いま安倍総理が行おうとしていることです。
    この著書は2004年時に出版されています。このころは経済が上向いて
    いたようですが、2013年時点ではまだまだ不景気です。
    この政策が(他にも要因はあると思いますが)うまくいく政策なら
    もう少し早い段階で行えたらよかったのにと思ってしまいます。
    まだ結果は分かりませんが、円高もとまり株価も上がっていっている
    ので、岩田さんの見解は正しかったのかと思っています。

    この本は日本経済の歴史を勉強するには最適ではないかと思います。
    岩田さんの本はこれで2冊目ですが、分かりやすいので他の著書に
    ついても読んでみようと思います。
    経済についてもっと勉強していこうと思います。

  • (後で書きます。理論の切り貼り。文献リストあり)

  • 通産省が行った産業政策は効果が無かった、行政完了や政治家には事業を育成する本当の誘引(インセンティブ)が無いので成長産業を見極めできない。
    自由な市場で人々が創意工夫することこそ成長に繋がるなど、、いわば正統的な経済学の知見を易しく説いています。
    今話題の金融政策については、インフレ期待形成について強調していますが、日銀の国債直接引受は明確に否定していますし、規制緩和や財政政策の組み合わせも大事と、あまり過激な金融政策一辺倒の話はしていません。ただし、どう金融緩和が実体経済に波及するかは簡単にしか説明されていません。
    新書という制約もあるかと思われますので、また翁-岩田論争を読み返してみないと(前に読んだときは経済学の基礎がわかっていなかったので、理解が足りなかったと)。
    2004年に書かれた本ですので、やや古いですが、今読んでもじゅうぶん面白かったです。

  • 2回ほど読みました。日本経済の概要を理解するのに最適の書。日本経済の関する基礎知識を身につけたい方に最適の本です。

    文章は平易で、バブルの問題、企業統治、産業瀬策などの現象を、非常に分かりやすく解説しています。

  • 少し前に読了.
    こういう経緯が知れる本は良い.
    理論の勉強よりも好きだ.

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著者プロフィール

学習院大学経済学部教授。金融論、経済政策専攻。主な著書に『金融入門』『経済学を学ぶ』『金融危機の経済学』など。

「2010年 『初歩から学ぶ金融の仕組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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