感じない男 (ちくま新書)

著者 : 森岡正博
  • 筑摩書房 (2005年2月8日発売)
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  • レビュー :48
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062215

感じない男 (ちくま新書)の感想・レビュー・書評

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  • 【概要・粗筋】
    男の不感症(=射精後の空虚感)をキーワードに、ミニスカや制服、少女たちに欲情する男性心理やメカニズムを筆者自らの体験・感覚に基づいて掘り下げた男のセクシュアリティ論。

    【感想】
    筆者が指摘する男のセクシュアリティにおけるふたつの根本問題である、射精後の空虚感・虚無感(これを不感症、または「感じない」とするのはしっくりこないけれど)と自分の身体への否定感については、とても共感できる。私自身同じような感覚を持っている。ミニスカ、制服、ロリコンに対する具体的な分析もさることながら、このふたつの問題を指摘しただけでもセクシュアリティ論として素晴らしい。

    もっとも、本書は著者の自分語りという体裁をとっているので、細かい部分で共感できない部分がある。例えば、「とくにどの部分が一番汚いと感じるかというと、(中略)精液が出たあとのペニスの周辺である(P146)」は首肯できるけれど、汚いと感じる理由を思春期の射精に対する否定感と結びつけることには共感できない。

    著者と私では異なるセクシュアリティを有するのであるから、共感できない部分があるのは当たり前であるから、細かいところで共感できなくても問題はない。けれども、本書に通底する男のセクシュアリティに対する否定意識は共感できないどころか反発すら感じる。この否定意識は「男の性行動はこれから変えていくことができるし、変えていかなければならない(P49)」と無根拠に云いきっていることからもわかる。このフェミニストへの迎合ともいえる筆者のバイアスは、見逃すことができない本書の瑕疵だと思う。

  • 娯楽としてよんだほうがよい。

  • とてもしっかりとした本。
    自分をちゃんとみてる。

  • 「感じない男」とは、映画『空気人形』(是枝裕和監督)における「男性」性が屈折してしまった「後」の男性のことだ。あの映画における「男性」たちは、みんな「ぼく」でなのだ。そして世の男性が、密かにしかし常に視線を馳せているが、語ることは、はばかるようなものだと感じている、自分自身のセクシャリティに向き合い分析した赤裸々な個人史でもある。だからこそ、悲しいかな共感してしまう。自分の異性に向ける視線が、内面に向き合う視線を得たからこそ変わった(気がする)。

  • 2005年刊行。著者は大阪府立大学総合科学部教授。◆中身の良し悪しは兎も角、露悪的に内省的に、自らの性やリビドーを開陳できたものだと感心する。本書を善悪で論じるのは恐らく無意味だろうし(大半の人間はこういうリビドーを抱えつつも、リビドーを顕わにする行動をすることなく生活している)、著者は外形的行動に表れにくい心性の問題を議論しているのだろうから。ゆえに、女性が読めばどう感じるか(多分、嫌悪感なんだろうけど)は興味がある。男性は、ある点は自分とは違うけども、ここは納得できるという読み方をするだろうから。

  • 普通は恥ずかしくて言えないようなことを、バンバン書いているのがこの本です。森岡先生は哲学者でありジェンダー問題などにも精通しているので、その辺の知識にも触れることができます。難しい話をわかりやすい(男ならわかってしまうであろう)話で書いているので、読みやすいです。

  • うーん、何だか思っていたより早く読み終わった。本の厚みのわりにいい紙を使っているのか、ページ数が少なかったというのもあるけれど、この本の言わんとするところを直視できずに読み飛ばしてしまった感もあり。本書では、イクとき感じているということになっているけど、実は「男は感じていないんじゃないか」と問題提起。そして、感じていることになっているのに、実際には感じていないから、ミニスカートやロリコン写真集みたいなものに執着する(つまり、感じるものを探している?)といったことを果敢にも自分を俎上に論じていく。正直なところ、著者のミニスカートやロリコン(らしきもの)が自分にある感じはしない(んだけど、そこは前述したように自己分析を避けている可能性があるし、より自分は倒錯してるかもしれないのでとりあえずおいておく)。
    全体通すとよく理解できた気がしないんだけど、部分的にはいろいろとうなずけるところがあった。アイドル写真集などを例にロリコンが半ば公認されているかのような日本を憂うところとか。
    常々、男ってほんと、「男とはこういうもんだ」っていうのに縛られて、生身の男は誰もそうじゃない「男らしさ」を追い求めて男ぶってると思っているので。自分たちだけでそういうことしてるならいいけど、「男とはこうあるもんだ」から転じて「女とはこうあるべきだ」って話にしちゃうから、なお始末悪い。ちょっと簡単にまとめすぎだけど、本書がいうとおり、自分と向き合って自分らしく生きる勇気をもつべき。

  • 「オレ、射精って実はあんまし気持ちよくないんだけど」から始まって、「ミニスカの下は白の綿パンでなきゃ」とか、「ロリペドの気持ちもわからんじゃないつーかオレもすこしそう思う」とか……そういう著者の「セクシュアリティ」をさらして語ることを通じて、オトコのとらわれとか、生き方不自由にしてる思いこみとか、そういうのに気づこうぜ、なんか変えてこーぜという本である。
     で、自分についての考察を深め深めていったその結果、「ロリコンとは、少女の体に入れ替わってそのうえで精液ぶっかけてもっぺん母親ヌキで自分自身を産み直したい、ということである」というところまで著者は到達してるんですが……ロリコンの皆様、どうでしょうか?

     「壁に卵」の例になるか、オトコのセクシュアリティについてなにか有益な話ができるようになるか……。留保はいっぱいつきながら、ここから考える本、として評価できるし、他に類のない一冊であることは間違いない。

  • 著者が、みずからの意識に問いかけて、男の性に関する意識の歪みを明らかにしようとした本です。

    ミニスカートや制服、ロリコンといった現象を、外から考察するのではなく、そうしたものに惹かれる著者の意識のあり方に分け入っていくという形で議論が進められています。そして、男が自分自身の身体の汚らわしさから逃れるために、「もう一人の自分」としての少女の身体へと性欲を向けるのではないかという仮説に至っています。

    こうした自分の意識の中の醜さを直視したところで、解決策がどこにもないのであれば、やりきれないではないか、という思いもあります。

  • 図書館で憲法の本を探していたときに、たまたま目に留まり読むことにした本。

    「男の不感症」というものを定義して、それに関する考察が大半を占めている。「男の不感症」というのは、射精の快感が大したものではないということ、マスターベーション後の空虚感や虚無感のことの2つを指す(32頁)。

    制服、ロリコン、アイドルといったような切り口から「男の秘密」なるものを考察している。

    ・なぜ少女に性的なイタズラをしてしまうのか
    ・どうしてAVを見てしまうのか
    ・なぜ中高生を買春する教師が後を絶たないのか

    等々の問題に、理屈付けを試みる著者独自の観点が面白かった。そうして著者が導き出したのは、「自らの肉体を汚いと感じている男」だった。

    しかし残念なのは、著者も自ら言及しているが、「仮説が多い」という印象をどうしても拭えない点で、説得力に決定的に欠けるように思われる。確かに、著者が立てる仮説や結論に、大きな誤りがあるようには思えない。が、これは単に、自分個人の感覚の域を出ない判断だとも思う。いっそのこと、著書の自伝を読むという気持ちで臨んだ方がいいかもしれない。繰り返しになるが、「男の秘密」に対する、今までとは異なる物の見方を提供してくれている点は評価できると思う。

    この点を考慮して星は3つにした。

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