現場主義の人材育成法 (ちくま新書 (538))

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062383

作品紹介・あらすじ

「若者に夢・希望がない」-そんな通説を覆すような、グローバルに考え地域を足場に行動するたくましい若者が育ちはじめている。「地方は衰退している」-そんな俗説をものともしない、地域経済の核となるリーダーが続々と誕生している。学校で、仕事場で、地域でどうやって人を育てるか。一番効果的なのは、「現場」の風にあて、最先端に触れさせ、彼らが自ら考え、動けるような環境作りをすること。これまで、労務管理あるいは教育論としてしか語られてこなかった「人材育成」「後継者養成」の本質を、三〇年にわたる著者の実践を通して明らかにする待望の書。

感想・レビュー・書評

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  •  地域活性化ということが言われて久しい。「こうすればよい」の議論は多いけれども、「こうやっている」は少ないような気がする。
     科学に書斎科学、実験科学、野外科学があるといったのは川喜多二郎かと思うが、研究室を飛び出し果敢に地域で実体経済を担っている人と接点をもち、学生(院生)の教育をゆだねている点が、ユニーク。

     国の内、外(中国)を舞台に、実学の機会を体験しながら研究書を手に、理論化をめざす姿勢は、今や必要なのかもしれない。
     かつて家に職業教育があり、男親が伝来の家業発展のために幼少の折から職業教育を施すという機会は解消と言うより、欠落したというべきであろう。

     そこのところに著者は、「目標を持つ」、就職したら「経営者を目指す」「スペシャリストを目指す」と、提案する。
     そのうえで、経営者の家庭で育った子女にこそ「代わって期待を満たしてくれる仕事ぶり」が、期待できるとする。
     親が給料日を前に、「(従業員の)給与支払いをめぐり夫婦が喧嘩する場面を見ている子」は、「違う」のだとする。

     本書が必要とされるほどに、「仕事をする」が「有力企業に採用されること」に置換される、現実に思いめぐらす点が多いーと、思う。 

  • 企業関係者でこの人の本を一冊も読んでいないのは異常だ! と、ある有名な方が講演でおっしゃっていたので、さっそく読んでみました。
    といっても会社の隣の人がたまたま持ってたのを借りたのですが。

    うん。なかなか面白い。
    関氏は一橋大学教授で、現場主義の経済学者。
    非常に高名な方らしい。

    とにかく熱血。
    読んでいると、たしかに元気が出てきました。

    こういうストレートな本も嫌いではないです。

    猛烈に働くというのは、じつはなかなか面白いものです。

  • 著者の本が他の類書よりも際だって優れているように見える点は、タイトルにもあるように「現場」に身を置き、全身を使って考察をしている点だ。
    本書もその著者の姿勢はいかんなく発揮されている。

    僕なりに受け取った人材育成の鍵は「同質性と多様性のバランス」だ。
    他者との交わりによって、人は成長していく。
    その交わる人、あるいは場、は、成長への意志を持つという意味で「同質」であらねばならないと同時に、まったく違う個性や特技を持つという意味で「多様」であらねばならない。
    だから「上」の人は単に「現場」に若い人を放り込むのではなくて、その「現場」がどういう質のものであるかをしっかりと吟味する必要があるのだ。

    ただ一点、わずかに不満があるのは、
    「たいしたことない人が、たいしたことない人を育てる」
    という、日常においてはもっとも多いシーンについて、ほとんど触れられていなかったことだ。まあ本書の性格から言って、無い物ねだりであることはわかっているつもりなのだけど。

  • 人は「目標」がなければ生きられない。
    これに惹かれて読み始めた本。
    要は「現場」が大事!ということなんやけど、日本の各地に頑張ってる人たちがいることがわかった。
    私も負けてられないぞ。

  • [ 内容 ]
    「若者に夢・希望がない」―そんな通説を覆すような、グローバルに考え地域を足場に行動するたくましい若者が育ちはじめている。
    「地方は衰退している」―そんな俗説をものともしない、地域経済の核となるリーダーが続々と誕生している。
    学校で、仕事場で、地域でどうやって人を育てるか。
    一番効果的なのは、「現場」の風にあて、最先端に触れさせ、彼らが自ら考え、動けるような環境作りをすること。
    これまで、労務管理あるいは教育論としてしか語られてこなかった「人材育成」「後継者養成」の本質を、三〇年にわたる著者の実践を通して明らかにする待望の書。

    [ 目次 ]
    序章 中国の「現場」で修業する女性後継者
    第1章 「現場」が学生を変える
    第2章 「私塾」と「現場」が人材をつくる
    第3章 「地域」の「現場」が人材をつくる
    第4章 「私塾」が「後継者」を変える
    第5章 「最後尾」の「地域」が日本を変える
    終章 「現場」に立って自分を「勇気」づける

    [ POP ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 著者の存在は、中小企業関連の論文などを通して前から知っていたけど、まさか新書まで出しているとは思わなかった。

    内容は、著者がこれまでどのような形で日本の各地域の中小企業(および地域全体)を「元気」にしてきたか、というお話。
    自身が教鞭をとっている一橋大学のゼミの話などは、僕自身にとってもかなり身近で刺激的だった。
    しかし何より驚いたのが、地域を活性化させる上で、市役所勤務の公務員などが非常に重要な役割を担っているという事実。
    本当に衝撃的だった。
    僕は今の大学に来た時点で、あるいはゼミに入った時点で公務員という選択肢はほとんど捨ててたけど、「実は地方公務員も非常に魅力的な職業なのではないか」と本気で思えてきた。

    折りしも今日、メールのやり取りがきっかけで、高校の友達(文系)が大学院を目指しているということを知る。
    これで僕がよく付き合っていた弓道部の友達5人は(医学部除いて)全員大学院進学希望(文系2人含)となる。
    彼らは本当に学問を学びたいのか、たださらなるモラトリアムを漫喫したいだけなのかよくわからない。しかし彼らが「そう決意した」というのは現実であり、それについては本当にすごいことだと思う(特に文系なら、普通就職を選ぶもの)。
    そういう彼らを前にして、自分は将来のことについて実は何も考えていないのではないか、本当にこのまま漫然と就職に向かっていいのか、と思ってしまった。
    何も院進学を希望しているわけではないが、公務員含め、自分は本当は何をやりたいのか、真剣に考えなければいけない時期にさしかかってきたのかもしれない(これが「自己分析」?インターンも全くしてないし、よく知らないが)。

    本の内容については、著者自身が体験したことを著者が感じたように書いているんだけど、本当にそれだけなので、全体として話が単調で、本としてはいまひとつ面白みに欠ける。
    著者は本当に「現場」の人間なのでしょう。
    全国のやる気ある「現場」の方々には本当に頭が下がるが、自分もいずれそこに投げ込まれる身になるので、うかうか「頭が下がる」とも言っていられない。
    (2007年09月28日)

  •  産業の現場に伴走するという学のあり方に敬服します。

     私塾のようなゼミの記録はすばらしいです。

  • 人は目標がないと生きられない、毎日自分を奮い立たせる。専門能力を身に付けて、70歳、80歳になっても仕事を続けたい。

  • タイトルにある人材育成というものについて詳しく述べられているのではなく、意欲ある人材をどのようにして生み出すのか、そのような人達はどのような過程を踏まえどのような結果を出したのかについて述べられている印象を受けました。そのための例として、一橋大学関ゼミナールの学生や三鷹市、岩手県、島根県等の職員の例が挙げられています。関満博教授は本書を人材育成を体系化するにおいてメモ書き程度の位置づけと言っていますが、体系化したテキストを近いうちに著してもらいたいです。

  • 熱い本だった、起業を目指そうと思ったときか、中小企業の経営者になったらまた読みたい。
    ・・・予定は無いけど ヾ(゚ω゚)ノ゛

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著者プロフィール

1948年富山県生まれ。成城大学大学院博士課程修了。東京都商工指導所、東京情報大学助教授、専修大学助教授、一橋大学教授を経て、2000年から一橋大学大学院教授。。主な著書に『現場発 ニッポン空洞化を超えて』『北東アジアの産業連携』『現場主義の知的生産法』などがある。1997年にサントリー学芸賞、1998年に大平正芳記念賞特別賞などを受賞。

「2009年 『キラリ!輝く元気企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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