- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480062604
感想・レビュー・書評
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建築家の著者による法隆寺建立の謎。
一つはまずあの怨霊を封じるといわれた門中央の柱なのだけれど。
新旧法隆寺の建造時期の違い、周辺や関係寺社伽藍配置、当時の権力構造などからその謎を追う。これで解決というよりも今後の探求の際に言及すべき一冊となるか。
前半がやや冗長に感じるが、後半それを基にした展開で納得はする。証拠というより伽藍を巡るという実運用や、実際に立った際の感覚に由来することも多い。
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建築家 武澤秀一氏が法隆寺について論じた2006年の著作。現存する世界最古の木造建築物群として世界遺産にも登録されている法隆寺については、梅原猛氏の「隠された十字架」や再建か非再建か、聖徳太子の存在など多くの歴史学者らが色々な説を発表していますが、謎が謎を生む結果になっています。本書では、建築家としての観点から、それらの謎に挑戦しています。こういうちょっと違う視点から物事を再度見直すというのは必要なことだと感じました。やはり歴史はロマンです。あぁ、法隆寺に行きたい。
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★2008年2月11日 9冊目読了『法隆寺の謎を解く』
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「柱の位置」と「回る」をキーワードに、著者の過去の経験や主観をもとに、法隆寺にまつわる謎のいくつかを解き明かしていく。なかなか面白い。
データをもとに、年代や時代背景などについても詳しく書かれているので、そういえばそんな話もあったなーと随所で思いながら読み進めた。
法隆寺には二度ほど訪れたことがあるが、もう一度訪れることがあれば、その前に読みたい本のうちの一冊。 -
伽藍配置の変遷から読み解く。祈りで回る行為から見ると中門の真ん中にあう柱を入口出口と読みとくのは納得。
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巡る、廻るという祈り方を中心に、
建築家が法隆寺の謎を解く。
虚空の双龍を読んで、興味を持ち読みました。 -
法隆寺最後の棟梁、西岡常一氏の飛鳥の宮大工としての視点とも、大正時代の哲学者、和辻哲夫氏の感じ方ととも、1970年代に一大議論を巻き起こした梅原猛氏の「法隆寺たたり寺」説の視点とも異なり、現代の建築家としての立場から、法隆寺を考えた一冊。
和辻氏の非常に官能的で饒舌な表現や、西岡棟梁の宮大工としての誇りと仏教を尊ぶ姿勢、または梅原氏の法隆寺を怨霊を封じ込めるために祭り上げた寺とした見方のどの視点とも異なり、仏教そもそもの(仏)塔=祈りをささげる対象に対する、インドのめぐる作法「プラダクシナー・パタ」と、建築と政治(血統と天皇後継問題)からみた法隆寺「突然変異論」は非常に興味深い。
改めて歴史というのは、見る者によってさまざまな見方、解釈の仕方があることを楽しめる一冊。 -
歴史家じゃなく、建築家の目からみた法隆寺の謎。
でも結局、謎なんだよね。 -
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アジア独特の風習である「めぐる」から中門の柱にまつわる推理を展開。法隆寺を創建と新創建に分け、消失した創建の完成以前に新創建のほうは完成したとする。伽藍の配置を大陸の南北型、日本の東西型に分類し、後者は天皇家の意思によるものであり、山背大兄皇子が創建で集団自殺したため、これを消失させて新創建を建設したと考える。中柱があるから、塔、金堂という東西型伽藍に秩序が生まれるという意見は、建築家ならではのもの。面白く読めたが、「隠された十字架」ほどの謎解きとしての興奮は得られず、全体的に地味。