医学は科学ではない (ちくま新書 572)

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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062789

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  • 米山公啓 著「医学は科学ではない」、2005.12発行。内容は、①統計学が医学なのか ②医学は芸術であった ③医者は科学的根拠で治療しているか ④人間的だからこそ科学ではない ⑤医学を科学と誤解する人たち ⑥患者は医療に何を求めるのか ⑦健康食品と代替医療 ⑧医学をどう考えるべきか の8つです。ちょっと難しかったです。大きな流れは、治療から予防にシフトしてきているのでしょうか・・・。予防は個人個人の生活習慣に負うところが大ですね。

  • <概要>
    臨床医学は一般的に科学的なものと考えられているが
    実態には医者自身の医療観であったり、患者の希望により
    非科学的な治療が行われることが多々ある。

    近年では統計的名データを元に行われるEBMが主流となっているが、
    実際の臨床医療でEBMが採用されるケースは5割にも見たない。

    EBMの採用率の低さとして
    一つは基礎データを集めることのできるケースというのがかぎられているということ
    もう一つは最終的には医療判断を患者自身が拒否する可能性があるということ。

    また医学研究とは客観的な事実などではなく、
    政治的な背景などによって行われることもある。

    また研究を行うのが人間である以上、どうしてもバイアスがかかるため、
    科学的なものとはいえないのが実態である。

    <感想>
    「医学は科学ではない」というストレートなタイトルで書かれた本。
    一般的には違和感を覚える内容だが、
    人体というのは個別性が強く、同じ人間でも違う反応がでやすいこと、
    人間の健康という非常に個人的なものをあつかうため、願望と事実が区別しにくいこと
    医療の最終的な決定権は患者にあること
    を考えると至極当然ともいえる。

  • 医学は科学ではない。科学によって発展してきた西洋医学はたしかに私達の健康に貢献してきた。しかし、医学と科学と捉えてしまっている以上、越えられない壁や患者との間に生じるコミュニケーションのズレを修正することは難しい。本書では医学を科学とすることで現在起きている弊害を紹介するとともに、医学は本当に科学なのかということを問い直している。もちろん答えはタイトル通り医学は科学ではないということになるのだが、そこに至るまでの展開が面白い。一読をおすすめする。誰のための医学か。もちろん、患者のための医学なのだ。それが科学であっても、そうでなかろうとも。

  • 2005年12月10発行の書。

    たぶんタイトルをみて購入したのだと思う。

    冒頭よりなんだかEBMに対する批判なんだけど、それはむしろ科学偏重の医療のあり方に対する批判であって、EBMを科学偏重ととらえた誤解から生じているんではないかと思う。

    『EBMには分析データを絶対視する傾向がある(p.19)』『EBMという平均値の医療(p.189)』などという言葉にその誤解が伺える。
    また、『医学』という語と『医療』が混在しているようにとれるが、著者がどのようにこの語を使い分けているのか、あるいは使い分けていないのがよくわからない。

    内容としては、EBM・NBMを推奨しているようにも思えるのだけども、「EBMのような科学偏重はイカン」というような意見も飛び出すので興ざめである。

    しかれども、医学(医療?)のあり方についての著者の意見は、時に冗長といえるほど解説されていて、見方によっては医療者やそれにふれる患者(潜在的な患者)への注意喚起や反省としてとらえることも出来る。

    現代において絶対的な医療行為は存在しないことや、行われる医療行為の曖昧さを指摘している点はよいと思う。
    けれども、世の中には、最良の医療の提供を目指している面々がいてその努力が存在していることを紹介してもいいのではないかとも思った。

    読了後の感想としては、不満足。
    「医学は科学ではない」
    たしかに、医学は科学ではないかも知れない。が、それをどうアートに結びつけるかという内容を期待していたのかもしれない。

  • タイトルの『医学は科学ではない』理由は、本文中に幾つかの根拠を示してくれている。ただし、医学の非科学性を論ずるだけが主旨ではなく、現代医学の限界と課題提起を幅広く含んでいる。特に日本の医療制度について警鐘を鳴らす。現代医療が苦手とする病気に医師自身が罹った場合には、代替医療(非西洋医学)に流れるケースが多いという。この真偽はどうであれ、ありそうな話である。

  • [ 内容 ]
    患者は病気を治すために薬を飲む。
    医者は病状を良くするために治療をする。
    その根拠は科学的であると考えられているが、実際には曖昧であることが多い。
    なぜか。
    科学的データにもとづく「平均値治療」が奨励されているとはいえ、臨床の現場では、すべてを科学で解決できるとはかぎらないからだ。
    むしろ、患者のほうが非科学的な治療を望むことも多々ある。
    科学的データか患者の声か、その狭間でジレンマに陥る医療は、進むべき道をどこに探したらよいのか?
    本書では、現場の生々しい本音を紹介しながら、臨床医学の虚構を暴く。
    医の根源を見つめ、科学的根拠も経験も踏まえた、よりよい医療を模索する試み。

    [ 目次 ]
    第1章 統計学が医学なのか
    第2章 医学は芸術であった
    第3章 医者は科学的根拠で治療しているか
    第4章 人間的だからこそ科学ではない
    第5章 医学を科学と誤解する人たち
    第6章 患者は医療に何を求めるのか
    第7章 健康食品と代替医療
    第8章 医学をどう考えるべきか

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    [ 参考となる書評 ]

  • 多分大学の課題図書

  • 病は気からと諺が倒錯した形で様々なドグマを生んでいるということ。諸問題の羅列だけが本書の意義。

  • 過去,治療が「まじない」レベルの時代と比べ,現代の医学は科学たるものと変化しているのだろうか.

  • 安くて平等な日本の医療保険制度。もう少し、平等のレベルを下げてもいいのに、こと生命がかかるだけに、下げにくい。こういう風に考えるお医者さんが増えれば、日本の医療も少しは変わっていくのでは?と思う。

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著者プロフィール

聖マリアンナ医科大学内科助教授を退職後、東京・あきる野市の米山医院で診療を続けながら、脳の活性化、認知症予防、老人医療などをテーマに著作・講演活動を行っている。『脳が若返る30の方法』(中経出版)などのベストセラーをはじめ、著作は280 冊以上に及ぶ。趣味は独学のピアノ演奏、油絵やイラストを描くことで、イラストは自身のエッセイとともに雑誌などにも掲載されている。

「2022年 『脳がみるみる若返るぬり絵 花といきもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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