大学生の論文執筆法 (ちくま新書 600)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 532
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063106

作品紹介・あらすじ

大学生にとって、論文を書くとはどういうことか。誰のために書くのか。何のために書くのか。大学での授業の受け方や大学院レベルでの研究報告書の作法、社会に出てからの書き方まで、論文執筆の秘伝を公開する。かつて流行った決め言葉の歴史や、カルチュラル・スタディーズが隆盛となったここ最近の学問の流れをも視野に入れた、実用書でもあり、読み物でもある新しい論文入門。

感想・レビュー・書評

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  • レポート書けん!と大学三年目にしてわめきだした私に父から差し入れ。実際、形式に関してのヘルプページは少ないので「引用?」状態の人にとっては肩透かし、かも。形式くらい知ってるわと自負する私にとっては、新たな考え方に接することメインなのがうれしかった。筆者はたびたび自虐的な態度を見せたり、遊んでばっかの大学生は大学辞めてしまえなど歯に布着せぬ発言をかましたりと、とにかく面白かった。知的好奇心は満たされた!しかし進まぬレポーヨ…。

  • 文系大学生向けに論文執筆法を説いた本だが、通常の論文執筆法の教本とはかなり異なっている。普通に論文を書くための作法・技術等だけ知りたい読者には不向きだと思われる。しかし、文系大学生なら一読の価値がある。
    第一部は、「秘伝 人生論的論文執筆法」と題されており、まさに著者の私見満載の「人生論的」な内容で、論文執筆についてだけでなく、文系大学生のあり方について語られている。多少、説教臭いことは否定できないが、著者独特の軽快な文体で、読んで損はない内容だと思う。
    第二部は、「線を引くこと―たった一つの方法」ということで、一流の論文がどういう方法によって書かれたのかを具体例に即して解説している。その中で、一流の論文はたった一つの方法、すなわち、二項対立を作って「線を引くこと」により書かれているということを解き明かしている。複数の論文の構造を解析しながら論文執筆の方法について論じるというのは類例がないと思われ、非常に参考になる興味深い内容になっている。

  • 正しいホッチキスの使い方を知っていますか?

    論文を書き始める以前の話(マス目の使い方とか)や「大学で勉強する」とはどういうことなのかという話からはじまるちょっと変わった論文執筆法の本。

    なぜレポートを書かなきゃいけないの?という疑問にも答えてくれる一冊です。

    (サポートスタッフ 文学 D1 )

    ▼名古屋大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://nagoya-m-opac.nul.nagoya-u.ac.jp/webopac/WB01688904

  • 題名のごとく大学生としての論文・レポートの書き方が書かれている。この本を今読んでおいて良かった。しかし、もし大学生になる前に読んでいれば…と何度も悔やみながら読んだのも事実。今まで提出したレポートを早急に書き直して再提出したくなった。特に1つのテーマで論じきることが今の自分にはできていないと感じた。構成メモを活用したいと思う。また、線引きは一見簡単なようで実は、引く位置で論点や立場が変わってしまうほど難しいものだと分かった。第二部は少し難しく感じた。

  •  この本を、大学の先生が「参考文献を提示しておきました、大学の先生やってるとみんなおんなじようなコト思うんだネ」とか言って奨めてきたので、興味を持った。

     前半は「ホチキスでとめろ」「参考文献の記し方」から始まって、「自分の立場をはっきりさせる」「きっちり二項対立させる」などといったことなどに話が及ぶ論文執筆方法。
     後半は、よくできた論文を載せて、その書き方批評しつつ、著者自身の考え(人生観に近い)が表されている。
     結局のところ、ハウツー本のフリをしたエッセイで(前書きにもそんなことは書いてあったけど)、それがすごく面白い。あっという間に読み切れた。

    メモ:石原氏いわく、蓮實重彦(はすみしげひこ)とか柄谷行人とか上野千鶴子とか三浦雅士とか吉見俊哉とか大澤真幸とか高橋哲哉とか宮台真司とか東浩典のような名の通ったプロの批評家を一人も知らなかったら、文科系の大学生としてはかなりヤバイ状況らしい。

  • ためになる!もっかい読みたい

  • 論文執筆とは全く関係ない学びの方が多かった...。

  • アカデミックスキルとかではなく、知的な文系学生向けのお説教本。こういうの好き。

  • 前置きが終わると急にはっちゃけた文章になります。そして、書きなぐっただけのような雑談が第一部は延々続きます。第二部からは、論述をどうやって展開していくのかという手段として、二項対立の技法を解説しています。例文がいくつか引用され、その文章で使われている技法を読み解いていきます。

    私は、大学の文科系科目の課題で設問の意図もレポートの書き方もよくわからなかったし、そのテキストや論述がどういう理屈で論じているのかさっぱり理解できず論点もわからなかったので、もっと手前のこういった入門書を読めば何かわかるかなと思って読んでみた次第です。(私自身は芸術系で理系思考です)
    論文という物には二種類ある。一つは実証。誰が見ても確かである発見や証明だ。そしてもう一つは「ふつうそう思われているような常識を覆すような論を展開すること」(p143)とあった。しかも論を展開する前提となるルールは一つではない例もあげられていて、その前提となるルールを知っていないとその論述を論理的に理解することはできないようだった。(p184-186)
    文科系の論述ってすごい高度なんだなあ。難しいなあ。と感じました。

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著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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