現代語訳般若心経 (ちくま新書 615)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 1053
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063199

作品紹介・あらすじ

人はどうしたら苦しみから自由になれるのだろうか。私たちは、生まれ落ち成長するにしたがって、世界を言語によって認識し、概念を動員して理解する。それは、社会で生きる以上不可欠なものかもしれないが、いっぽうで迷いや苦しみの根源でもある。『般若心経』には、そうした合理的知性を超えた、もうひとつの「知」が凝縮されている。大いなる全体性のなかに溶け込んだ「いのち」のよろこびを取り戻すための現代語訳決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 般若心経の訳本として分かりやすい。仏教の基本知識である四諦や十ニ縁起、六根、六境についても説明がある。
    また、音唱することこそが、本来の意義であることも書かれており、実践の道を示してくれる良書。

  • カミさんが出かけていない昼下がり、ナポリタンを作って三男と一緒に食べる。なんとなく家でダラダラ。

    般若心経の新書を図書館から借りて読む。ジャンルはバラバラ。その時の気分で何でも読んでしまう雑読男子。

    京都旅行では写経をしたし、谷中のお寺で坐禅を組んで唱えたこともあるが、般若心経がなんたるかは全く分かっていなかった。

    この新書が分かり易いという評判を知り読んでみた。
    薄ぼんやりとなんとなく分かった様な気がしただけで、正直、身に染みては分からない。

    そもそも、分かろうとする行為自体が「私」に囚われている。すべては「空」なのに、空を私で解釈しようとするから、悩みや迷いや苦が生じるという。

    般若心経は、空を悟り、涅槃の境地にたどり着くための咒文なので、暗唱して、何度も唱え続けることが本来の意義である、とのことであった。

    あー、書いてみてなんか違う様な気がする。やっぱり読みこなせて無い、理解できてない、と思う。

    でも、暗唱して音読するのが本来の意義というのは間違ってないと思うので、この300文字程の短いお経を、
    脳トレも兼ねて覚えてみようかと思って本を閉じた。

  • 量子力学を調べていくうち、なぜか本書に辿り着いた。

    ゴーダマさん凄い。あの時代に弦理論やら超ひもやら相対性理論を悟りで感覚的に理解していた訳だ。シッダールタまじ凄い。

    私が今まで日本語を学び、本を読んできたのは般若心経に出逢う為だったのではないかと思うほど。
    あまりスピってるとも思われたくないが、真理を志すのは良いことではないか。
    いや、そんな事を思っているから実相を空と捉えられないのだ。

    名づけのなかで、最も罪深いものが「私」という代物。
    考えてみれば、私たちは物心がついたときにはすでに生まれていたわけで。そしてそれまで「私」など関係なく生きていた「いのち」を、あるときから「私」だと思い込んだ。
    物心がつき、知恵づき、そしてさまざまな分別を身につけることでそれが肥大化していく。
    そうして「いのち」の実相に関係なく、いつからか「私」という名の何者かを中心にモノを見るようになっていった。
    当然、「花」のように、実物の「いのち」にはなかった自立性や恒久性が「私」にも付加されることになる。
    大胆な言い方をすれば、これこそがあらゆる「苦」の根源かもしれない。

    もしも今まで読書をしてこず、あらゆる先人の思想、アイデンティティを学んでいなければ私の知能では一ミリも理解できなかっただろう。本を読むことほど大切なことはないと改めて思う。

    色即是空 空即是色
    これだ。これ。

    宗教に興味はないが、釈迦はヤバい。語彙が乏しくなるほど奴はヤバい。尊敬する。

  • 遅読なのに、わずか3日で読了。
    薄い本といえば薄いだろうけど、中身は結構分厚い感じがする一冊。
    たまたまあるコミュニティーの雑談で登場した「色即是空 空即是色」という言葉。
    音として知っているけど、それぞれの漢字の意味でなんとなく知っているつもりだったでど、ほぼ無知であることに気づき、そのままamazonで取り寄せた。
    現代語訳とのタイトル通り、何の障壁もなく頭の中に流れ込んでくる演出と文体。何も手に着かない時には、つまみ食いでも再びページを開いて読みたい本。

    『般若心経』は、実際は知らないけど汎用性のあるお経ぐらいにしか思っていなかったし、全文をじっくり読むことも、見ることもなかった。そもそもお経なんて「昔の仏教徒が語った“ありがたいお言葉”」で、儀式の1つの作法として唱えるもの。唱えたからと言って、何が変わるわけでもない。あえて言うなら、読経は西洋音楽に対抗できる東洋の音楽の1つというのが取り柄だと思っていた。

    ところが、ところがである。
    それほど長文ではない般若心経だが、その背景、基礎となる考え方、西洋の哲学やら最新科学の話題を盛り込みながらの現代語訳は、軽妙な文体とは相反して濃厚な、訳というより解説書のよう。
    というより、般若心経自体が仏陀(この本では世尊)の考え(悟り)のエッセンスを過不足なくスマートに凝縮した解説に思えた。

    200ページそこそこの書籍だけど、今まで手を出してきたユダヤ教や複雑系、脳科学の話しと、しばしば繋がるからシナプスは発火しっぱなしだった。そして、以前読んだ鈴木大拙さんの「禅学入門」で感じた、「異次元」を再び感じたと同時に、全てが収束されていく感じがして、すごくワクワクする一冊。

    ついでに、「羯帝羯帝波羅羯帝 波羅僧羯帝菩提僧莎訶」は、なんでも呪文だそうで、般若心経を暗唱すること、音読することは、意味を考える以前に何らかの作用を及ぼすという。普段関わりの濃い「音楽」も、スルスルとリンクしてしまいました。

    やっぱり、般若波羅蜜多は凄い


  • 生のセンスデータに色を付ける
    「自分」。

    この本を読むことで「自分」を洗浄できたような気がする。

    •••あ!!
    「自分」を使ってしまった!という難しさσ(^_^;)

  • 般若心経について
    わかりやすく解説してくれている。
    仏教的な思想についても理解できる。

  • 苦しみとは何か、苦しみを生み出す原因は何か、苦しみから解放されるにはどうすれば良いか、これらが本書では非常に合理的に説明されていた。
    理知を用いて合理的に考え抜かれた末の結論が、理知を捨てることだということが、とても印象的だった。
    私自身、まだ理知(概念)から解放される涅槃には全く至っていないが、概念というものに支配されている”自分”を認識することができた点が、この本から得られた大きな学びだった。

  • 般若心経の現代語訳解説

  • 人はどうしたら苦しみから自由になれるのだろうか。私たちは、生まれ落ち成長するにしたがって、世界を言語によって認識し、概念を動員して理解する。それは、社会で生きる以上不可欠なものかもしれないが、いっぽうで迷いや苦しみの根源でもある。『般若心経』には、そうした合理的知性を超えた、もうひとつの「知」が凝縮されている。大いなる全体性のなかに溶け込んだ「いのち」のよろこびを取り戻すための現代語訳決定版。

  • 小説家でもある著者の書いた本なのでわかりやすくかつ惹きつけられるものも多かろうと手に取ったが、やはり自分にはしばしば難解な部分があった。認識するのでなく感覚でとらえる、ためには何度も唱えるしかないかも。挿絵のその時々でホッとする柔らかさが良かった。2021.10.7

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著者プロフィール

一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。

「2020年 『なりゆきを生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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