ダメな議論: 論理思考で見抜く (ちくま新書 628)

著者 :
  • 筑摩書房
3.28
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063328

作品紹介・あらすじ

ニート問題から財政赤字、平成不況まで、いかにももっともらしい議論がメディアを飛び交っている。じつは国民的「常識」の中にも、根拠のない"ダメ議論"が紛れ込んでいる。そうした、人をその気にさせる怪しい議論を、どのようにして見抜くか。そのための五つのチェックポイントを紹介し、実例も交えながら、ダメな議論の見抜き方を伝授する。論理思考を上手に用い、真に有用な情報を手にするための知的技法の書である。

感想・レビュー・書評

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  • 教養書を選ぶとき、「自分の知らないことを知る」「何かに役立てる」という目的以上に、「自分が読んで心地よい」ものであるという前提が大きく影響してくる…この話はなかなか深層に迫っていると思った。心地良くないものを最後まで読み通すのは結構辛い。

    そもそもその心地よさというのはどこから来るのか。どうやって何かを支持するという心理が生じるのか…を分析した上で、その心理のために論理的に誤った内容の議論でも受け入れてしまう事例の原因が何であるかについて、著者の挙げる5つのポイントを軸に検討している。

    ある議論について、その論調や言葉遣いから直感で(何となく信用しがたいな)という気がすることは今までもあった。当たり前といえばそうなのだが、データや用語の定義を調べることで、議論のどこがどう誤っているのかをより説得的に説明することができる。著者はダメな議論を見抜く術として色々と書いているが、他人といかにやりあう(議論しあう)かのヒントにもなると思う。妄信的な◯◯信者で、どんなに論理的な間違いを指摘しても梃子でも動かないような人には、結局効かないんだろうけど。

  • 世の中に多い「ダメな議論」に付き合わされないための方法を紹介している。機械的にチェックできるポイントが5つ紹介されているので引用。

    1. 定義の誤解・失敗はないか
    2. 無内容または反証不可能な言説
    3. 難解な理論の不安定な結論
    4. 単純なデータ観察で否定されないか
    5. 比喩と例話に支えられた主張

    身の回りだと、「2. 無内容または反証不可能な言説」が多い。話していて不利になると極論持ち出す人や、「結局幸せなんてひとそれぞれじゃん」と言って話を終わらせようとする人はこれ。

    それなりに教養と常識があればデタラメとわかるような話でも真に受ける大人が多いのを見ると、こういう本は必要だと思うのだけど、たいていの場合そういう人は自分で気づいていないから、きっと売れないんだろうなあ。

  • 占い師のような感覚で話すのではない、正しい議論に必要なものを解説する本

    個人的にはこの本にあるような感じで話したいと思いつつも
    コールドリーディング的な説得術が現実問題うまくいく例も多いので難しいところ。
    でもまあ自分だけでもチェックポイントを意識して議論に望むようにはしよう

    裕福・高い地位にいる人ほど「成功するかどうかは才能・努力によって決まる」と信じやすい。
    占い師のコールドリーディング
    ラポールを築く、ストックスピールで信頼を深める。悩みのカテゴリを探る、悩みの核心に迫る、未来の出来事を予測する。

    議論のチェックポイント
    単純なデータ観察で否定されないか:イメージとデータが違う時がある、少年犯罪件数
    定義の誤解、失敗はないか:定義が曖昧では結論も曖昧になる
    無内容または反証不可能な言説:抽象的な文は無内容になりやすい
    比喩と例え話に支えられた主張:その例は稀ではないか他にもできるものか気をつける
    難解な理論の不安定な結論:理論の適用範囲に合っているかを確かめる

    「その対策が誤りだった場合にどうなるか」を考えておく、リスクから受けるダメージを軽減する方法を考える
    「本当の、真の」は答えがなく正しいか検証のできない、初めから考えるだけ無駄な問題
    「自然な状態」には定義がなく発言者の思う良いものを自然と言っていて現実とも乖離している。

  • 論理的におかしい、内容のない議論は結構多い。政治の世界の議論はほとんどが突っ込みどころ満載だ。会社で行われている会議も結構当てはまる。本書では、そうした「ダメな議論」を解説し、それを見抜くためのチェックポイントを紹介している。また、後半では、実際に「ダメな議論」を挙げ、そのどこがどうダメなのか解説している。

    「議論」というと複数の論者がそれぞれの考えを述べ、論じ合うというイメージがあるが、本書で扱っている「議論」はむしろ「論説」に近い。

    自分が詳しい分野についての論説であれば、自然とおかしなところに気がつくが、専門外だったり知らない話だとそうもいかない。そうした場合に5つのチェックポイントに照らし合わせてみることが効果がある。
    (1)定義の誤解・失敗はないか
    (2)無内容または反証不可能な言説
    (3)難解な理論の不安定な結論
    (4)単純なデータ観察で否定されないか
    (5)比喩と例話に支えられた主張

    著者の主張はリーズナブルで解説は丁寧だが、その丁寧さがかえって文章としての読み易さを損なっている感じを受けた。練習問題としている後半もきちんとページを割いて、実践的なものになっている。

  • 経済政策の専門家である著者による、現代に蔓延る間違った解釈、無用な議論「ダメな議論」について書かれた本。「ダメな議論」とはどういうものか、どのように生まれるのか、どのように我々はそれを見極めれば良いのか、が解説される。

    情報過多で、フェイクニュースやなんちゃって評論家が跋扈する現代において「ダメな議論」を見抜く方法を知っておくことは非常に有用である。
    内容の妥当性も高く、理解に易しい。

    「ダメな議論」を見抜くためには以下の5つのチェックポイントがあるという。
    ①定義の誤解・失敗はないか
    ②無内容または反証不可能な言説
    ③難解な理論の不安定な結論
    ④単純なデータ観察で否定されないか
    ⑤比喩と例話に支えられた主張

    どれも冷静に考えれば当たり前のことだが、我々は往々にして「熱」によってこれを忘れてしまう。つまり、我々は自分の信条に沿った言説を無批判に受け入れる傾向にあるし、無意識に都合の良い議論を好んでしまう。
    だからこそ、自分が「ダメな議論」に巻き込まれることに常に細心の注意を向けなければならない。そして本書はそのための指針となる本である。

    さらに「ダメな議論」を避けるための基本姿勢として下記が有用である。
    ①問題を適切に分割し
    ②個々のターム(用語)の定義を明確にし
    ③パートごとにデータによる検証を行う

    問題に対して適切に対応し、無用の議論に巻き込まれないために、本書の内容を使いこなしたいと思う。

  • ダメと切り捨ててしまえば人生がちょっぴり味気なくなりそうですが、ビジネス上では無能な時間泥棒の烙印を押されるでしょう。


    2019.9.17 追記
    ちくま文庫で新版が出ました。

  • しょうもない

  • 思索
    自己啓発

  • 東2法経図・6階開架:B1/7/628/K

  • 【由来】
    ・amazonの2015年12月月間お安いKindleで

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

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著者プロフィール

1975年生まれ。エコノミスト。明治大学政治経済学部准教授。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程単位取得。内閣府規制改革推進会議委員などを兼任。主な著書に、『経済学講義』(ちくま新書)、『これからの地域再生』(編著・晶文社)、『マクロ経済学の核心』(光文社新書)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)などがある。

「2018年 『新版 ダメな議論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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