この国の未来へ: 持続可能で「豊か」な社会 (ちくま新書 641)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063458

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  • 残念ながら本書は前に読んだ同じ著者の「市場主義の終焉」ほどにはワクワクしながら読むことができなかった。たぶん専門用語が多く理解できない部分が多かったからだと思う。それと、地球温暖化対策についての考え方が、とても実際的で、自分が漠然と考えていたこととの差異が結構あったからかもしれない。著者自身、政府の審議会などに参加されていることもあるし、何より経済学者であるから、単なる「地球環境を守りましょう」的なスローガンだけで終わるような本ではない。実際に国を動かす政策として、個人や企業が、税制をはじめどういう仕組みをつくればCO2の排出量削減につながるインセンティブがはたらくのか、そういった具体的な内容が書かれている。アメリカが(単にブッシュ(当時)だけかもしれないが)京都議定書に反対している。そのもっともらしい理由が本書には書かれている。(具体的な内容は本を読んでみてください。私は単にアメリカがもっと金儲けをしたいからだと思っていました。)理由は確かにそうなのかもしれない。でも、だからと言って放っておくわけにはいかない。アメリカが参加しなければ、中国やインドも動いてくれない。それでは意味がない。大統領が変われば、政策も変わるのか? そんなに時間をかけていていい問題ではない。それだけは確かなようだ。それとは別に、一つ特に興味がわいたところ。自動車の市場とケータイの市場の違い。自動車は1台売ることによって、まずはたくさんの原材料が使われているし、さらにガソリンや、車があることで出かける場所にもお金がかけられるようになる。だから、自動車1台売れることによる経済効果は大きい。それに対して、ケータイは(もちろん値段的にもうんと安いわけですが)材料になるものも少ないし、ケータイがあれば、新聞がいらないとか、本もケータイで読むとか、ひょっとすると音楽やテレビもなんてことになって、売れていたものが売れなくなる可能性がある。なるほど、そう言われるとそうかもしれない。

  • 環境問題に関する本ということで読んでみたけど、
    まぜ書きが目に付いていちいち腹を立ててしまう。
    破たん、補てん、すう勢、ねつ造、ひっ迫…
    テレビのテロップや新聞ではおなじみのまぜ書きだが、
    新書にも出てくるとは。大勢の人に読んでもらいたいという
    筆者の希望の表れかもしれないが、読んでいて馬鹿に
    されているような気がしてどうもいけない。

    こういう本を読もうという人間なら破綻、補填、趨勢、捏造、逼迫
    どれも読めるだろう。これらは日本語の文章において頻出する
    語彙であり、假に読めないとしたら、読めるようになるべき語だ。
    そもそも読めないような人は「すう勢」と書かれて
    発音はわかっても意味を把握できるとは思えない。

    まぜ書きがこれだけはびこる世の中では、そのうち
    まぜ書きが正当な表記になってしまうのは時間の問題で、
    「趨勢」などの表記が異端とされてしまう。そんなのいやだ。

    そのくせこの本では「欺瞞」「喧しい」「億劫」「躊躇」
    などを漢字のまま使用している。いったいどういう基準で
    著者はものを書いているのか理解に苦しむ。

  • 英、サッチャーは学校教育に市場原理(競争と格差)を持ち込もうとしたが失敗。

    失業率低下は景気の低迷のみだけでなく、若者の学力の低下、働くことの意識の低下によることも考慮に入れなければ

    すなわち教育が国を創る。

    自動車産業が発展していると部品産業、保険産業、税金も潤うが、携帯電話のように一体化したモノが発展したとしても潤うものは少ない。

    オイルショックは無資源国家日本の製造業をポストモダニズム化(省エネ、低燃費車など)









    公共交通機関の利便性の向上が持続可能な開発に資する技術革新の例として挙げられる。

  • 前半は未来の日本人にとっての(GDP以外の)「豊かさ」について、オーソドックスな提案がまとめられている。しかしむしろ参考になったのは本書の半分を占める「環境と持続発展」問題についての記述である。米国が指摘する京都議定書の「致命的欠陥」とはなにか。CO2削減のに向けて、国際的取組みにはどのようなことが挙げられるか。難しい用語は丁寧な解説を加え、今後の具体的な環境経済・政策について、大変わかりやすく解説している。

  •  ホットエアとは、次のことを意味する。京都議定書はロシア、ウクライナなど旧ソ連諸国に対し、0%の温室効果ガス排出削減義務を課している。ところが、80年代後半のソ連経済の混迷により、C02排出量は大幅に減少し、現時点で1990年比、約30%もの「意図せざる」CO2排出削減を達成している旧ソ連諸国は、いささかの努力をすることなく、議定書の定める目標を達成できるばかりか、余剰排出権が手元に残ることになる。(190ページ)

  • −「豊かさ」とは何か?この国が向かうべき方向はどこか?−これまで日本が歩んできた道を再確認し、現状がどうなっているかを考察し、未来への道を示す構成となっていて、全体的に良くまとまっており読みやすかった。環境問題を制約条件として科学技術や社会の仕組みを考えている所は共感できる考え方だと思った。教育についても賛同でき、自分の考えをまとめるのにとても役に立った。

  • これからの日本はどのような社会になるべきか。豊かさというものを再検討し、平等や環境について筆者の見解が述べられている。

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著者プロフィール

滋賀大学前学長。京都大学名誉教授。専攻は計量経済学、エネルギー・環境経済学。
『経済学とは何だろうか』(岩波書店)、『佐和教授はじめての経済講義』(日本経済新聞社)、『レモンをお金に変える法』(翻訳、河出書房)など、著書多数。

「2020年 『12歳の少女が見つけたお金のしくみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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