歴史学の名著30 (ちくま新書 654)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063540

作品紹介・あらすじ

日本や世界で日々起きている事件の背景を知るために不可欠なのは、日本史や世界史の知識である。ところが世界史の未履修問題で明らかになったように、歴史を学ばずに大学生や社会人になってしまう人も少なくない。他方、教科書の歴史知識だけでは満足できない人でも、古典や大著となると縁遠くなる。本書は多忙な現代人のために、紀元前の時代から二〇世紀にいたるまで、日本から中国やアジア、イスラームからヨーロッパなどで生まれた名著を厳選し、懇切丁寧に歴史理解への道を案内する。歴史の面白さと読書の喜びを伝えるブックガイドの決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。名著30シリーズ3冊目。
    「歴史の教科書」は知っていても、「歴史学の名著」は中々一般的には知られていない気がする。とは言え、目次を見てみるとなんとなく「~時代の~地方の話だな」とざっくり概要が分かるのは、ある程度歴史を知ったお陰か。

    この本の注意点は、「歴史書の名著」ではなく、「歴史学の名著」であること。
    「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」などは、著者も「これを歴史学とするかは意見が分かれる」と記されている。

  • 体系、理論、システマティックな歴史学の本の紹介を期待していたが、そうではない。
    良し悪しも言えず評価なし

  • ほんと読みたい本ばっかりです。

    ①歴史への問いかけ
    ヘロドトス『歴史』―脱線の名人
    トゥキディデス『戦史』―冷静無比の予言者
    司馬遷『史記』―「激励の書」天道、是か非か
    班固『漢書』―班馬の優劣はいかに
    原勝郎『日本中世史』―日本史の美意識、西洋史の方法

    ②叙述の魅力
    ギボン『ローマ帝国衰亡史』―ペシミズムと諸行無常の物語
    頼山陽『日本外史』―叙事詩の人気
    ブルクハルト『イタリア・ルネサンスの文化』―倫理的遠近法の歴史家
    ホイジンガ『中世の秋』―美しい歴史の世界を求めて
    ブローデル『地中海』―隠された「ヨーロッパ愛国心」
    (付録1)ロレンス『知恵の七柱』―人間観察の芸術品

    ③歴史を見る眼
    慈円『愚管抄』―深夜に語られる道理
    北畠親房『神皇正統記』―日本国とは何か
    新井白石『読史余論』―九変五変論、機勢の変転
    伊達千広『大勢三転考』―玄人好みの時代区分論
    ランケ『世界史の流れ』―19世紀西洋君主の「亀鑑」として
    内藤湖南『東洋文化史』―別種の中華意識の発露か

    ④歴史家の使命感
    『春秋左氏伝』―記録者の意地
    劉知幾『史通』―近代歴史学につながるエスプリ
    イブン・アッティクタカー『アルファフリー』―イスラム帝王学の歴史書
    イブン・ハルドゥーン『歴史序説』―経世済民の歴史家
    トインビー『歴史の研究』―「変わらない東方」の迷妄から文明相対主義の世界史へ

    ⑤大変動のなかで
    カエサル『ガリア戦記』―歴史家から執筆意欲を奪った書
    潘佩珠(ファンボイチャウ)『ヴェトナム亡国史 他』―南海遺民の革命史
    トロツキー『ロシア革命史』―昂揚と挫折の黙示録
    チャーチル『第二次世界大戦』―戦争には決断、平和には善意
    (付録2)石原莞爾『最終戦争論』―永久平和論と世界最終戦の異種交配

    ⑥現代への視座
    ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』―「歴史の名著」、社会科学と歴史学の間
    宮崎市定『科挙』―形を変えた選挙の効能
    バーリン『父と子』―非歴史学的な歴史家、自由主義者の苦悩
    フーコー『監獄の誕生』―毒か、それとも劇薬か
    網野善彦『無縁・公界・楽』―知の「浪漫的煽動者」

  • 30冊の幅が広い、という当たり前の印象。

    ちくま新書の名著シリーズはどれもクセが強いように感じていてそこが本シリーズの魅力でもあるのだけど、歴史学に疎い自分にとって本書もかなりクセが強く感じられた。

    目次をめくって30冊をまずは確認。マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』あたりはなんとなくわかるが、フーコー『監獄の誕生』となると、どう歴史学と絡めて名著として扱うのか、読む前からドキドキしてくる。
    ウェーバーやフーコーを、ギボンやカエサル、チャーチルあたりと同列の扱いで歴史学者が語るのだから面白くない訳がないだろうに。

  • 古今東西広く歴史学の名著を紹介してくれる。コンパクトにまとまっていてありがたい。ただちょっとてを出すには骨がかかりそうなホンが多いかな。読みたい気持ちは強まったが読むのは大変じゃあ。

  • 大分前に買った本ですが、積読の山から取り出して読みました。25年ほど前は歴史文化学科にいた私ですが、そういえばこういった古典をしっかり読まずに卒業してしまったなぁと。とはいえ、今は歴史を楽しむ立場なので、今後も読むことがあるかどうか……

  • ヘロドトス、トゥキディデス、司馬遷から、網野義彦の『無縁・公界・楽』まで、歴史学の名著30点を紹介している本です。

    近代以前の日本の本として、頼山陽の『日本外史』、慈円の『愚管抄』、北畠親房の『神皇正統記』、新井白石『読史余論』、伊達千広の『大勢三転考』が選出されており、いわゆる近代的な歴史学の枠組みに収まることのない、著者のメタ・ヒストリー的な関心が反映されたラインナップになっているように思います。

    ただ、どのような読者に向けて書かれた本なのか、ややわかりにくいという気もします。学問としての歴史学を志す読者にとっては、本書にあげられている著作はいずれも古典的名著であることには疑いがないものの、歴史学を学んでいくうえでの手引きとして本書を利用することはできないでしょう。また、一般の読書人に向けて書かれた本だとすれば、本書の解説を通じて紹介されている本の歴史的位置づけを簡潔に押さえることができるかという点に若干の疑問がのこります。むしろガイド・ブックのような形式ではなく、古今東西の歴史書について著者自身が自由に思索を展開したほうがよかったのではないか、と思えてなりません。

  • 図書館で借りた。歴史は深い

  • 作者と題名だけは聞いた事があるような名著が列挙されているが、これらを実際に読むのは歴史を専攻する学生か、ヒマを持て余す物好きな老人ぐらいで、日本人の99%は1冊も読まないで死ぬのだろうな。歴史は範囲と奥が深すぎて追っかけたらキリがないので、どの程度までやるのか自分で決めておかないと、あっと言う間に人生が終わる。

  • 本書で取り上げられているのは、以下の32冊である。

    『歴史』ヘロドトス
    『戦史』トゥキディデス
    『史記』司馬遷
    『漢書』班固
    『日本中世史』原勝郎
    『ローマ帝国衰亡史』ギボン
    『日本外史』頼山陽
    『イタリア・ルネサンスの文化』ブルクハルト
    『中世の秋』ホイジンガ
    『地中海』ブローデル
    『愚管抄』慈円
    『神皇正統記』北畠親房
    『読史余論』新井白石
    『大勢三転考』伊達千広
    『世界史の流れ』ランケ
    『東洋文化史』内藤湖南
    『春秋左氏伝』(作者不明)
    『史通』劉知幾
    『アルファフリー』イブン・アッティクタカー
    『歴史序説』イブン・ハルドゥーン
    『歴史の研究』トインビー
    『ガリア戦記』カエサル
    『ヴェトナム亡国史 他』 潘佩珠(ファン・ポイチャウ)
    『ロシア革命史』トロツキー
    『第二次世界大戦』チャーチル
    『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』ヴェーバー
    『科挙』宮崎市定
    『父と子』バーリン
    『監獄の誕生』フーコー
    『無縁・公界・楽』網野義彦

    付録1:『知恵の七柱』ロレンス
    付録2:『最終戦争論』石原莞爾


    「科挙」を取り上げたのは流石である。この本は比較的読みやすいので、興味ある方は是非とも読まれるとよいと思う。

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著者プロフィール

一九四七(昭和二二)年札幌に生まれる。
現在、東京大学大学院総合文化研究科教授、学術博士。中東調査会理事。
最新著書として、『岩波イスラーム辞典』(共編著、岩波書店)、『歴史の作法』(文春新書)、『帝国と国民』(岩波書店)、『歴史のなかのイラク戦争』(NTT出版)など。

「2004年 『イラク戦争データブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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