大学の教育力: 何を教え、学ぶか (ちくま新書 679)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063847

感想・レビュー・書評

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  • 2007年刊行ですが、現代の日本の大学教育の基本的な問題について、コンパクトにまとめられた1冊です。
    大学の歴史を概観したあと、アメリカと日本の大学を比較し、日本の大学の将来像を考察されています。

    結論として、大学と社会との関係を構築しなおすことがポイントであることが述べられています。
    大学教育について、社会と大学の双方が明確なイメージを作り、そのイメージを具体的に実現すること。
    次々と変化していく時代の中で大学が生き残るためには、認識を擦り合わせてわかりあおうとすることが大事。

  • 2007年出版から15年,出版時点で予想されたことは起きたのか,解決したのか。この間,さまざまな提言や政策誘導が行われた。さらに20年後は18歳人口が80万人を切る。これまでの延命策ではどうしようもない。世界基準を満たし,日本独自の大学を制度として作ることができるか。日本の国を守り維持発展させていくことを日本で完結できるか(するか)。高度な科学技術を追求する分野は開くことがスタンダードだろう。開いた上で,内外に貢献できる人材を輩出できるか。大学でしかできない教育とは何かを追究することが不可欠か。

  • 日本の教育では大学入学までの志向性が、大学の全てを規定する。自分のように何も考えずに大学に入った人は、毎日なんの興味もない講義を惰性的に聞かないといけない。最近大学よりも高校名で見た方が能力値がはっきり出るって本を読んだけど、これは日本の大学制度のせいじゃないかなあ。

    大学生の特徴 高同調型限定同調型需要型 阻害型 大学教育の
    目的をどこに置くか 職業準備 学術専門 教養
    アメリカ型 ヨーロッパ型

    大学教育の歴史
    アカデメイア ギルド フランス革命 国民教育 官僚養成 職業教
    リベラルアーツ 探究至向 古典志向
    フンボルト ドイツ 研究中心 文化国家 陶治
    教育の大衆化

    アメリカ教育
    イギリス植民地コミュニティから 聖職者養成 古典型リベラルアーツ
    個々の大学の多様性 全寮制 前期は教養科目 学習動機づけと基礎スキルに重点
    今は主体的学習への改革活動へ

    日本教育
    ドイツ型の東大 独立性の高い組織 探究型の重要性が認識されつつも、、、
    戦後一元化 民主主義の為に般教
    教員は研究が理念 職業教育への偏り リベラルアーツが希薄
    縦割 入学前から細分化された専門領域 社会に一定の要件を備えた人材を送り出すこと 限定同調型要請メカニズム

    大学教育の転換点
    知識量が爆裂的に増大 直接体験の希薄化 福祉国家によって教育は当たり前に 動機づけはさらに機能しない
    大学全入時代 学力の制限がない 大卒の価値
    大学の目的 プロセス メカニズムを再検討しろ!

    職業能力 コンピデンス 教養
    職業値モード jモード 現代社会の変化の要求に応えられない
    コンピデンス 職業上で重要な能力を定型化 自己一貫して構成
    教養の役割が基礎能力を果たすのでは?
    専門教育から教養教育へ

    教育力を作る具体的な案
    入学後に専門を選択 学部を超えた履修
    授業のシステム化 学生と教員のコミュニケーション 補償教育 目標の明確化 国際的な経験
    大学教育グッドプラクティス

    社会や大学全体がモニタリング 教員の自主的な努力も
    財政的な基盤 大学教育コストは
    1人あたりgdpと相関が 日本はアメリカの2分の1 競争による選択的配分だけだとダメ 既に競争してる 民間からの投資
    大学は人間の多面的な発達に

  • 大学の成り立ち、アメリカの大学モデル、日本の大学モデルについて概説したのち、日本の大学が教育力を充実させるための問題点や提言がなされる。

    競争原理がもちこまれ、安易な数値目標で大学を評価し、低コスト意識を敷衍させていくことは、大学の教育力充実のためにはそぐわない。教育力充実のためには、人的にも金銭的にもコストはかかる。しかし、それに悪い意味で開き直るのではなく、コストがかかり、国が国民へのアリバイづくりのような競争原理導入を推し進めるのなら、いかに、大学としては、大学にかかるコスト、必要性を説得できるか。そういう意味で、社会との対話の重要性は高い。読みながら、そんなことを考えた。はなしは逸れたが、大学に関わる人にはオススメの基本書、概説本である。

  • [ 内容 ]
    社会が変われば大学も変わる。
    大学全入時代をむかえ、いま大学の理念や組織のあり方が大きく揺らいでいる。
    今後も大学が未来の社会を考える場であり続けるためには、何が必要なのか。
    そして、学生は大学でいったい何を学ぶべきなのか。
    高等教育が直面する課題を、歴史的かつグローバルな文脈のなかでとらえなおし、大学が確実な「教育力」をもつための方途を考える。
    大学関係者、受験関係者、必読の一冊。

    [ 目次 ]
    序章 「教育力」の構造
    第1章 大学教育の歴史的潮流
    第2章 大学教育のアメリカ・モデル
    第3章 日本的特質
    第4章 大学教育の転換点
    第5章 職業能力・コンピテンス・教養
    第6章 教育力を作るもの
    第7章 教育力の基盤

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 正確な知識や背景をつかむという意味では有益な情報源とはなる。
    現場と少し離れているというか、雲の上的な感じがするのは残念。

  • 『大学の教育力』(金子元久、2007年、ちくま新書)
    大学教育の目的や方法、学習の目標から入り、アメリカと日本の大学の比較、今後の大学教育に求められる点について。

    (2009年10月27日)

  • 少し前に話題になった著書。大学の教育について述べられています。

  • 大学制度について各国の歴史や日本の現状を踏まえて、これからどのような制度がよいかという視点で書かれている。
    現状に対しての安直な批判などはなく、建設的に大学制度について論じている点で好感が持てる。

著者プロフィール

筑波大学大学研究センター教授。
1950年生まれ。東京大学教育学部卒業、同大学大学院教育学研究科修士課程修了。シカゴ大学大学院修了(Ph.D.)。アジア経済研究所、広島大学大学教育研究センター助教授、東京大学大学院教育学研究科教授、同研究科長・教育学部長、国立大学財務・経営センター研究部長を経て現職。中央教育審議会前委員、同臨時委員、日本高等教育学会会長。著書に『大学の教育力』(ちくま新書、2007)、『近未来の大学像』(編著、玉川大学出版部、1996)など。


「2013年 『大学教育の再構築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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