ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063878

作品紹介・あらすじ

現代は、江戸から明治に匹敵する「時代の大きな変わり目」だ。ウェブという「学習の高速道路」によって、どんな職業の可能性がひらかれたのか。食べていけるだけのお金を稼ぎつつ、「好き」を貫いて知的に生きることは可能なのか。この混沌として面白い時代に、少しでも「見晴らしのいい場所」に立ち、より多くの自由を手にするために-。オプティミズムに貫かれ、リアリズムに裏打ちされた、待望の仕事論・人生論。

感想・レビュー・書評

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  • お気に入りの一冊。

  • 福沢諭吉は明治維新を
    「あたかも一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるがごとし」と表した。
    それと同じようなことが現代で起こっている。
    それが"ウェブ時代の到来"である

    前作「ウェブ進化論」を著した梅田望夫 氏の本。
    前作ではネットの将来性と可能性を主に軸に記されてましたが、
    今作ではウェブ時代の新しい生き方が述べられてます。

    めまぐるしいスピードで進化するウェブの世界。
    その世界で生きるには、今までの価値観とは違うものが必要とされます。
    距離、時間、知識、の壁がなくなってくる時代
    働くこと、生きることの意味をもう一度考えなくてはいけない時がきたのかもしれない。

    単なるウェブの話だけでなく、人生論に関わってくる内容でした。

  • 自分のこれからの人生をどうするべきか。
    それを考えるにあたって非常に大事なヒントを与えてくれている、そんな本でした。

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    ※学習の高速道路の先の渋滞について
    大渋滞の先でサバイバルするには、大渋滞を抜けようと「高く険しい道」を目指すか、大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降りて道標のない「けものみち」を歩いてゆくかその二つの選択肢があると私は思う。そのどちらの道を目指すにせよ、自らの「向き不向き」と向き合い、自らの嗜好性を強く意識し(それが戦略性そのもの)、「好きを貫く」ことこそが競争力を生むと私は考える。
    ~~~
    なるべく早い時期に「好き」の核さえしっかりと認識できれば「自分にあった高速道路」を選択でき、大渋滞の程度がひどくない高速道路を選べるかもしれない。「好き」の郷土が強く才能に地震がもてれば「高く険しい道」を究めていけばいい。大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降り、自らの複数の嗜好性を意識的に発見しながら「好き」の複合技で「けものみち」を歩んでいくのもいい
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    ⇒ここで気になったのは、梅田さんはもはや「高速道路をのんびり走る」人はこの話の外に置き去りにしている、という点。普通の人、たいした目的もなく走っている人は、高速道路なのに30kmくらいでのんびり走り、渋滞までたどり着くことがないんじゃないかと思います。この話で対象となっているのはそんな人ではなく、150kmくらいでかっとばすことを意識的にやっている人が、渋滞にぶつかったらどうするか、という話。
    ⇒私は今の自分は「150kmくらいでかっ飛ばしたいけど、どの高速道路を走るか選びかねている」状態だと認識しています。まずは、「好き」の核を見つけなければ、走ることができない。エネルギーがあまってしょうがない。本当に150kmを出せるのかは、知らないけど、気にしない。走ればわかる。
    ⇒そして、次にくるのが「高速道路」か「けものみち」かの選択。高速道路は一芸に秀でて渋滞を抜けるということ。けものみちは自分の複合的な能力を生かして、誰も進んだことのない道を探して進むこと。

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    ※オープンソースの成功と失敗の違いについて、まつもとゆきひろ氏曰く
    「成功するかどうかは、人生をうずめている奴が一人いるかどうかですね」
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    ⇒少し前まで、オープンソースは誰でも気軽に参加できる「軽い」もの、そしてそれでも成功できる。と考えていました。しかし、ここに書いてあるように、本当にそのオープンソースを成功するためには人生を賭けるという「重い」ものが必要なんだと、最近は考えています。そして、これはオープンソースに限らず、社内のプロジェクトでも、mixiのコミュニティでも、みんなで何かをしようというときには必ず必要なことなんだなとも思います。ひとり、それに賭けている人がいて、その人が魅力的だからこそ、「軽く」手伝ってやろう参加してやろうという気になる。
    ※正直これは普通の人ならみんな感じていることなのかなぁとも思います。けど、根本的に「一人」を好む自分はあまり体感したことがありませんでした。反省。

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    若者のキャリアについて私と話をしていたときにロジャーは「若者はバンテージ・ポントに行くべきだ」と言った。「バンテージ・ポイント」とは「見晴らしのいい場所」という意味。その分野の最先端で何が起きているのかを一望にできる場所のことである。
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    ⇒前職が小さなWeb制作会社、今は日本のWebを代表するサービスを運営する会社。この2つの会社で一番違うと感じたのは、見える景色があまりに違うという点でした。たくさんのものが身近に見える。だけど、ただ、見えるだけではなく、見晴らしを利用して「狙いを定め」ないと駄目だろう、とも思います。見るだけじゃ、楽しくない。

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    ※ロールテールモデル思考法について
    荒唐無稽ながら私はホームズにおける何がいったい自分へ強い信号を発しているのかを徹底的に自問してみることにした。作品を繰り返し再読し、どの部分が強い信号を発しているのかを吟味した
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    ⇒なるほど、そんな「好き」の探り方もあるのかと。

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    ※ロールテールモデル思考法の実践について
    第一に、信号をキャッチしたら「時間の使い方の優先順位」を変えて、「勝負だ!」とばかりに好きなことに打ち込むことである。
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    第二に、「時間の使い方の優先順位を変えるにはまず「やめることを先に決める」ことである。それも自分にとってかなり重要な何かを「やめること」が大切だ。
    ~~~
    第三に、「長期「なりたい自分」と短期「なれる自分」を意識して、現実的であることだ。「好きを貫く」ことは長期戦である。「なりたい自分」が仮にイメージできたとしても、すぐ明日にはそれは実現しない。短期的には「なれる自分」を積み重ねながら「時間の使い方の優先順位を常に意識し、ロールテールモデルの引き出しも増やしつつ、こつこつと長期にわたってしたたかに生きること。
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    ⇒時間の使い方の優先順位、これは時間が足りなくなるような人生を送って初めて意識できることだと思いました。時速30kmで走ってる人には理解されない・・・

  • 主にインターネットがどう世界を変え,ゆえにこれからどのようにインターネットを使って生きていくべきかが書かれているが,”インターネット”を”AI”に置き換えても概ね成立する内容.
    ・どんな分野でも学習の高速道路を進めばある程度のレベルまでは誰でもスッと進める.ただしそこで大渋滞が発生していることがあるので,そこで粘るか高速道路を降りてその知識を別で活用するかを選択すればよい.まずは好きな分野でどんどん進もう
    ・グーグルが成功した理由は,広告産業をどう変えるかという「経済のゲーム」ではなく世界の情報をどう整理すべきかという「知と情報のゲーム」を戦ったから.
    ・流しそうめん型情報処理.そうめん(情報)は無限なので,食べたいときに食べ,それ以外は流しておく.「無限の情報」と「自らの有限の志向性」を直感的にマッピングする感覚=膨大な情報を遮断せず大切な情報を探し続ける能力=パーソナルカミオカンデ
    →信号をキャッチしたら行動に移す.①時間の使い方の優先順位を変えて勝負する②そのためにやめることを先に決める(時間は有限)③長期になりたい自分と短期になれる自分を意識する
    ・「in the right place at the right time(正しいときに正しい場所にいる)」が人生のすべて.突き詰めて言えば,誰かの心に印象を残し,大切なときにその誰かから誘われる力.そのためには,常識的に,少し積極的に日常を丁寧に生きることにほかならない.

  • 15年前に書かれた、ウェブによる社会変化の論考。
    今となっては当たり前になっていることもあるが、ウェブの本質をついていて錆びない内容も多かった。
    羽生さんが発案した「知の高速道路とその先の大渋滞」という概念。つまり、「あなたが望むのであれば、何かについて習熟するためにネットの高速道路をひた走れば良い、ただし、一定レベルになるとその先には大渋滞が待ち受けている」というのは的を射ている。
    とくに、この本が書かれた15年後である今は、YouTubeなどの各種プラットフォームで容易に情報収集できる時代になった。ある程度のレベルまでは無料で先人の知恵を参考にしまくることが可能だ。問題はそのあとで、高速道路をひた走った先で頭一つ抜けるには「大渋滞」が待ち受けていて、かなり大変ですよということと、大渋滞を避ける場合は自分オリジナルな「けものみち」を進むことになるよ、ということ。筆者は早々に「けものみち」を行くことを選んだ。自分なりの「けものみち」の選び方も参考になった。

  • 生き残り方について書いてある

  • 2007年出版
    没頭-群衆の叡智-オープンソース
    人生の幸福とは「好きを貫いて生涯を送ること」
    In the right place at right time.
    多様なロールモデルを見つける。どこに惹かれるのか吟味する。時間の使い方の優先順位を変える。やめることを先に決める。短期的に「なれる自分」を積み重ねる。

  • 2020年に読んで、2007年にこれだけの示唆を込めて書けていたのはすごいと思う。
    10年以上前の書籍なのでもちろん一部内容は今更感はあるのは仕方ないが、4章の「ロールモデル思考法」や6章の「大組織vs小組織」あたりは、自分の好きなこと、向いたこと、やりたいことの見つけ方や考え方が学べるため、時代に左右されず普遍的に参考になるような内容。
    その他は、もしWEB2.0の頃の話を読みたければおすすめ。(私は読み流したが)

  • ※感想は、「ウェブ進化論」とセットで記載してます。

    直近で読んだ本の中では、最も私を震撼させた本と呼べるかも!?


    93 大組織で成功できる人の要素
    96 ネット・アスリートに贈る3つの言葉
    103 けものみちを1人で生きるコツ
    114 正しい時に正しい場所にいる
    118 ロールモデル思考法とは何か
    143 行動という観点からRM思考法を見る
    147 ウェブ時代の知的生産
    164 文系のオープンソースの道具
    173 英語圏の強さとパブリック意識
    187 自分にあった組織選択の基準
    209 ウェブ・リテラシー
    210 右端

  • 整然とした文章で読みやすい、キャリアパスの指南書。2007年発行なのでこのタイトルだが、今なら人生100年時代をいく、でもおかしくない内容。

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